身体について正しい知識を得ること、医師や薬剤師などヘルスケアの専門家を味方にすることの大切さ
2日間にわたり、さまざまな視点から身体について話し合ってきた『わたしたちのヘルシー』。その締めくくりとして、『WHA×She isクロージングトーク「3人の医師から女性たちに今伝えたいこと」』に、慶応義塾大学名誉教授の吉村泰典医師、東京大学大学院医学系研究科産婦人科学講座教授の大須賀穣医師、初日にも出演した対馬ルリ子医師、She isから竹中万季、野村由芽が登場。2日間、計16のコンテンツを振り返りつつ、3名の医師が、それぞれのテーマについて話した。
まずは大須賀医師が、「未来の自分のためにはじめる、からだへの気遣い」と題し、「痩せ」や「肥満」と健康の関係性を示しながら、自分の身体のために日々生活習慣の改善や体調管理に取り組みつつ、生理痛や生理不順は健康状態を教えてくれる身体からのサインであるため、まずは病院へ足を運んでほしいと話す。
続いて吉村医師が「『マザーキラー』と呼ばれる子宮頸がんの予防」として、先進国では子宮頸がんワクチンが普及しており、たとえばオーストラリアでは2028年頃には子宮頸がんが排除できると言われている一方、日本では定期接種でありながら若年層が長らく子宮頸がんワクチンの接種を受けられなかったことや、検診を受ける人の少なさに触れ、「日本人女性だけが不利益を被ることがない状況をつくってほしい」と締めた。
最後に対馬医師が「昨日と今日、女性の健康問題についてみんなで話し合ってきたが、女性に対する暴力、性暴力も立派な女性の健康問題なんです」という言葉から話し始めたのが「誰にも相談できない事情をもっている女の子たちの救済」について。望まない状況で性行為をされた女性たちに対し、自分が悪いと思わないでほしいということ、自分の心と身体、生活と尊厳を取り戻すためにも、産婦人科医を自分の味方にしてほしい、とメッセージを送った。
医師らの話を受け、竹中が「いろいろな行動の仕方があるとあらためて思った。できることから少しずつ始めたい」と感想を話し、「このイベントが自分の人生をよりよく生きるきっかけになったら嬉しい」と野村が締めくくった。
イベントを通じて繰り返し発信されていたのは、自らの人生を自分らしいものにするために、身体について正しい知識を得ることと、医師や薬剤師などヘルスケア分野の専門家の力を借りることの大切さ。もちろん、知ったうえで日々どれだけ自分の身体を気にかけていても、心身の調子が揺らぐことは誰にでもありうる。だとしても、正確な知識に触れることは、生き方の選択肢を増やすし、その分だけ人生は主体的になる。また、弱ったときの自分自身を的確に労わることができるだけでなく、さまざまな状況に置かれた他者への優しさや理解の可能性を開く。
そして、最後のセッションにおいて対馬医師が話したように、人生の中ではときに予期せぬ重荷を背負ってしまうこともある。そうしたとき、このような場を通じて、一人では守りきれないこともある身体と心について「味方でいる、気軽に頼ってほしい」という力強いメッセージを送ってくれる存在がいることが、いま困難の中にある人や、これから先、苦しい状況に置かれたときに思い出せる一つの心強い選択肢として、どうか届いてほしいと感じた。
「わたしたち」と言うとき、ひと固まりではなく、一人ひとりの「わたし」の集合体であるように、身体も心も健康も、一つのあるべき姿かたちがあるわけではない。適切に専門家の力を借りながら、それぞれが自分らしいヘルシーのあり方を手繰り寄せるきっかけの種子がこのイベントを通じて撒かれたのではないだろうか。
>前編:バービー、たなかみさきも登場。性教育や生理を専門家と語り合う
※アーカイブ動画公開の終了に伴い、動画の埋め込みを削除しました(2021年4月1日追記)
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