第十一回:記憶にあう<YUKI FUJISAWA>(後編)

『“1000 Memories of” 記憶のWorkshop』を写真で思い出す

連載:前田エマ、服にあう
テキスト・写真:前田エマ 編集:野村由芽
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「あなたの記憶をおもちください。記憶の風景をいただくかわりに、その抜け殻をお渡しします」。これは、2019年3月16日に原美術館で行われたYUKI FUJISAWAの発表に添えられた言葉です。このワークショップとモデルプレゼンテーションから構成される参加型イベント『“1000 Memories of” 記憶のWorkshop』を観に行った前田エマさんが、撮影した写真とともに、当日の記憶にあいに行きました。
記憶にあう<YUKI FUJISAWA>(前編)

3月だというのに暖かかった。
コートを着ずに、セーターだけで過ごした日のことを、
私はいつまで、覚えていられるのだろうか。

来年で閉館となる原美術館。
もともとここは、とある家族が暮らす家だった。

「あなたの一番大切な記憶をおもちください」
そう言われた人々は、一枚のなにかしらが印刷された紙を持って来た。
その記憶が金色の箔となり、服にプリントされ、誰かの一着になるという。
写真を持ってくる人、絵を持ってくる人、言葉を書く人……。
いろんな想いが、集まった。

私たちは、古びた絵はがきに似た、茶色くて薄いクッキーと
甘酸っぱい記憶を思い出したかのような、苺味のジャムを食べた。

夕方、雨が降って来た。
窓に散らばったビーズみたいな雨粒は、夕日に照らされて金色に光っていた。

雨は、すぐにやんだ。
それから何人もの女の子たちが、
記憶の破片を纏った服を着て中庭を歩いた。
いつかの誰かの大切だった服たちが
パラソルの下や、ベッドの上に置かれていたり
ハンガーにかけられたりしていた。

様々な人の記憶が、交差し合ったあの時間。
同じ時間に在ったとしても、同じものを見ていたとしても
嬉しいね、切ないね、私の記憶は私のものでしかない。

参考記事:marie Claire <art>第23回 原美術館の窓辺で。(前田エマ)

PROFILE

前田エマ
前田エマ

1992年神奈川県うまれ。2015年春、東京造形大学を卒業。オーストリア ウィーン芸術アカデミーに留学経験を持ち、在学中から、モデル、エッセイ、写真、ペインティング、朗読、ナレーションなど、その分野にとらわれない活動が注目を集める。芸術祭やファッションショーなどでモデルとして、朗読者として参加、また自身の個展を開くなど幅広く活動。現在はエッセイの連載を雑誌にて毎号執筆中。

INFORMATION

書籍情報

雑誌『mina』(主婦の友社)2019年9月号より巻頭連載「週末カフェ」を開始

第十一回:記憶にあう<YUKI FUJISAWA>(後編)

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