あるがままの自分を肯定するグラフィックのメッセージ、東京の今の多様さを表したモデル撮影
OPEN/ENDでは、グラフィックに使用する言葉選びなどもよく考えて作りました。全体的に「あるがままの自分でいいんだよ」というメッセージを伝えています。
先日行われたモデル撮影では、東京の今の多様さを表すためにNEUT magazineにキャスティングを手伝ってもらい、6人の最高に個性的なモデルさんたちと撮影することができました。Tシャツのデザインのみを事前に渡し、スタイリングはそれぞれにお任せしてとてもカラフルなイメージを作りました。フォトグラファーの橋本美花さん、メイクアップアーティストの山本りさ子さんとも一緒に、多様性やその違いを認め合うことに共感する世代で作り上げたビジュアルです。
タイのアーティスト、Sundae Kidsにインタビュー。「多様性はタイ人にとっては真新しいことではありません」
デザインやコンセプトを考えるにあたり、今回のコラボ相手であるSundae Kidsともジェンダーというトピックについて何度も話し合い、ジェンダー平等をテーマに彼らに特別なコミックも制作してもらいました。また、この記事を書くにあたりSundae Kidsにタイでのジェンダーや多様性について聞きました。
Y: タイでは女性の社会進出が進んでいて給与や教育レベルの格差が少なく女性のビジネスリーダーが多いと聞きました。現地のジェンダー平等はどのように感じますか?
S: 男女と言う視点からざっくりと言うと、格差はそこまで大きくないように感じます。女性のビジネスリーダーや首相がいたり、教育格差は少ないです。もちろん完璧ではありません。特に上の世代は男性が前に出て女性は家事をすると言う考えの人もいます。ただそれも昔の世代という風に捉えられています。LGBTQA+の視点から見ると、これも完璧ではないですが、セクシャリティについてとてもオープンな社会だと思います。テレビに出る俳優や女優、歌手やデザイナー、ビジネスリーダーもLGBTQA+であることをオープンにしている人はたくさんいます。House of Representatives(タイ王国国民議会下院)にもトランスジェンダーの人がいます。
個々のセクシュアリティについてはオープンですが、社会的サポートが完備されているかというとそうではありません。
Y: 日本と比べるとタイは宗教や人種など色んな意味で多様に見えます。タイの20代はセクシャリティや多様性についてどのように感じているのでしょうか?
S: 多様性はタイ人にとっては真新しいことではありません。私たちの世代は主人公がLGBTQA+の映画や本を見ながら育っていますし、私たちの親の世代も理解があります。
Y: タイにはWomen Empowerment(女性の社会進出)の運動などはありますか? アクティブに活動しているアーティストなどいたら教えてください。
S: タイにもNaraphat Sakarthornsapというフォトグラファーのようにそのような活動をしているフォトグラファーやペインター、パフォーマーはいます。でもどちらかというと、社会の中でもっと大きな問題について扱っている人が多いように感じます。特に民主主義についての議論が活発です。2014年に発足した軍事政権による改憲について、多くの若者や他の政党が反対しています。軍事政権側に有利なように改憲されたことから、それに反対する多くの活動家が捕まったり行方不明になっています。
Y: 多くに人にとって包括性を持っていくには、タイがどのようになって欲しいですか?
S: 私たちはタイのジェンダーの平等だけでない真の平等を求めています。今は権力が一部少数に集中していて、社会のみんなの声が届いていません。権力のある人の声がより大きいという現状です。若い世代はそれを変えようと動いていて、私たちもアーティストとしてそれを伝え、みんな仲間であることを伝えようとしています。そのような変化を求める団体へのチャリティプロジェクトも行われています。
Sundae KidsのInstagram(Instagramアカウントへ)
多様性が進んだタイではまた別の問題も起きていたんですね。OPEN/ENDというブランドをきっかけに、ジェンダーや環境問題だけなく、社会問題はじめ色々な視点について議論をするきっかけになればと思っています。
サステナブルな消費の仕方が叫ばれる中、私たちが消費者の一人としてできることは、自分の好きなものを良く調べ考えて購入し、それを大事に長く使うことだと思っています。ファッションだけではなく、作り手のメッセージやコンセプトに注目して、自分が共感したものを使ってみることで自分の意識も少しずつ変えていくことができるのではないでしょうか。
こうでなくてはいけない、という強迫観念や枠に囚われるのではなく、みんながポジティブに選択を楽しめ、周りの違いや個性を受け止められるきっかけ作りをこのブランドでできればと思っています。そして、今後はチーム内やアーティストなど、もっと多様な人とコラボレーションでして繋がっていければと思っています。
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