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『HEAPS』×『HIGH(er)magazine』×『Sister Magazine』座談会

『HEAPS』×『HIGH(er)magazine』×『Sister Magazine』座談会

ミレニアル世代が作るメディアって?女性編集長座談会

2017年9・10月 特集:未来からきた女性
インタビュー・編集:野村由芽 テキスト(本文):羽佐田瑶子 撮影:馬込将充
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時代が変われば、価値観も変わる。だけどやっぱり、目の前に立ちはだかる「世間の常識」や「こうあるべき姿」にぶつかり、立ち止まってしまうことがあります。そんななかで「私は私、あなたはあなた」という考えを、生き生きと、のびのびと、体現し発信しているニュージェネレーションたちが、これまでの正しさにしばられない「メディア」をつくり始めています。

ニューヨークに拠点を置く『HEAPS Magazine』の編集長・さこさん、現役大学生を中心としたインディペンデントマガジン『HIGH(er)magazine』の編集長・haru.さん、女の子たちのためのオンラインマガジン『Sister Magazine』を立ち上げたScarlet & Juneのつかささんとほのかさんは、全員がミレニアル世代とよばれる、20代の女性たち。「こうあるべき」にしばられずにメディアを牽引し、意見を表明する彼女らが、これからの時代の気持ちいい生き方、働き方、コミュニティづくりをアップデートする座談会。ニューヨーク、フランス、日本をスカイプでつなげば、新しい扉が開きます。ハロー、ニューワールド!

ひとりひとりがおもしろおかしく人生を生き抜くアイデアを届けたい。私たちの世代の目線で。(さこ)

─今日は集まっていただいた3組のメディアのみなさんは、既存のシステムやメディアの「こうあるべき」という価値観をアップデートして、考えを深めたり対話したりする場所をつくっていますよね。まずは、それぞれのメディアについてお話しいただけますか?

さこ(『HEAPS Magazine』):『HEAPS Magazine』(以下、『HEAPS』)はニューヨークに拠点があって、世界中のカウンターカルチャーをいち早く取材して、日本に紹介するウェブメディアです。カルチャーの語源は「土を耕す」という意味。一から土を耕して種をまいて育てるように、社会の当たり前に対して抗い、アイデアでチャレンジしている新しい取り組みを取り上げています。

『HEAPS』のメッセージは「時代と社会の、決まり文句にとらわれない」。具体的には、世界各地の同世代はいま何をしていて、どう生きているのか? 新しいライフスタイルは? 親世代までの常識を疑って、どんなことに挑戦するのか? 常識を覆してきた先人たちは? ……といったことを扱います。私たちの世代の目線で、自分たちが知るべきカウンターカルチャーのストーリーを伝えて、ひとりひとりがおもしろおかしく人生を生き抜くアイデアを届けたいなと思っています。

『HEAPS Magazine』(サイトを見る

さこ(『HEAPS Magazine』編集長)のInstagramより

haru.(『HIGH(er)magazine』):わあ、すごく共感します。『HIGH(er)magazine』もメッセージが似ていて、多様な生き方や考え方を伝えることで、自分の生き方を見直したり、こんな自由な考え方があるんだと知ってもらいたい。そんなきっかけをつくるマガジンになったらいいなと思って、始めました。

取り上げる内容は、自分の身体に起きていることから社会の動きまで、いま私たちが伝えたいことだけを伝えます。たとえば、前回の号では「どの生理用ナプキンが心地よいか」というレビューをまとめたり。

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mood😑✌🏼️

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haru.(『HIGH(er)magazine』編集長)のInstagramより

さこ:最高ー! おもしろそうな企画ですね。

haru.:意外とみんな、自分にとって一番心地よい生理用品を知らないんです。あとは、『BIGISSUE』を立ち上げた方にインタビューしたり、毎号テーマは広いです。ビジュアルも大事にしていて、衣装から撮影まで周りのクリエイターに協力してもらって、ファッションもカルチャーもごちゃまぜの雑誌ですね。

ほのか(Scerlet & June):私たちもみなさんと同じで、自分たちが書きたいことを書ける場所にしたいと思って、『Sister Magazine』をつくりました。きっかけは、子どもの頃から女の子がつくったブログやメディアがとても好きで。日本の大きなメディアには大人が書かせたいこと、言わせたいことを特集している空気を感じていたので、子供の頃初めてネットに触れたとき、同世代の子たちだけで自由に話す場があることに感動したんです。

『Sister Magazine』(サイトを見る

Skypeで参加するフランス在住のほのか(Scerlet & June)、NY在住のさこ

haru.:わかる! 日本のメディアは、自分たちが本当にやりたいことを特集しているというよりも、他の事情によって、やらされている感があるものが多いですよね。

ほのか:そうなんです。それで『ROOKIE YEARBOOK ONE』(11歳で立ち上げたファッションブログが世界の注目を集めたタヴィ・ゲヴィンソン。彼女が15歳で立ち上げたオンラインメディア『Rookie』を自ら再編集したビジュアルブック)の翻訳インターンでつかさと知り合って、楽しいことや悲しいこと、「女の子が姉妹のように語り合える場所をつくりたい」という思いで『Sister Magazine』をスタートして。自分の好きな映画や音楽について語りたかったり、部活をがんばっていたり夢があったり、家や学校で嫌なことがあったりとか、みんなに何かを話したいと思っている子たちに集まってもらって、それぞれの個人的な話を書いてもらっていました。

自分たちが正直になれる居場所をつくっているだけ。(haru.)

─「社会変革」のような大きな言葉ではなくて、モチベーションとしては、自分とその周りのコミュニティに発信している感じですね。自分たちのリアリティを大事にしながら、身近な違和感や気づきに向き合っている。

haru.:そうですね。結構意見をはっきりと言うので、よく「世界を変えたいんですか?」と聞かれるんですけど、そんなことは思っていないんです。ただ、自分たちが伝えたいことを伝えられる、正直になれる居場所をつくっているだけ。読んでくれた人たちが、社会と自分を少しずつ楽しんでもらえるようになったらいいな、くらいの願望はあるのですが。

つかさ(Scarlet & June)、haru.

さこ:『HEAPS』も世界中のおもしろい取り組みを取り上げているから、変革者のように思われがちだけど、全然そんな大きなモチベーションじゃないんです。どちらかといえば、個人それぞれが自分が納得のできる選択をしていけば結果的に社会は変わる、と思っています。haru.さんとおんなじ気持ち。

haru.:大人から「こういう若者がいて心強い」とかも言われるけど、自分たちのためにやっているんだから安心されても困る(笑)。どのジェネレーションも、それぞれ不安を抱えているんだから、それぞれのやり方で頑張ったうえでアイデアをシェアするのがいいんじゃないかと思っています。

PROFILE

SAKO.h

ニューヨーク在住、HEAPS Magazineの編集長。世界各地の若者が起こすアクションとムーブメントを独自取材しながらカウンターカルチャーシーンを日々、日本のみなさんにむけて配信中。

失恋して(あるいはその予兆を察して)真夜中におにぎりを買いに走るのは19歳くらいから変わらず、ただニューヨークではそれがピザになりました。

『HEAPS Magazine』instagram

haru.

同世代のメンバー5人を中心に制作されるインディペンデントマガジン『HIGH(er)magazine』の編集長を務める。『HIGH(er)magazine』は「私たち若者の日常の延長線上にある個人レベルの問題」に焦点を当て、「同世代の人と一緒に考える場を作ること」をコンセプトに毎回のテーマを設定している。そのテーマに個人個人がファッション、アート、写真、映画、音楽などの様々な角度から切り込む。また、雑誌に付随するトートバッグや缶バッジなどの制作も行っている。

Scarlet&June

女の子たちによるインディペンデントウェブマガジン「Sister Magazine」創立者のつかさとほのかです。「Scarlet & June」では私たちのより個人的な活動場所として文章やイラストなどを掲載しています。フェミニズムやシスターフッドなどをテーマに朗読イベントの実施やzineの制作も行っています。

INFORMATION

メディア情報
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『HEAPS MAGAZINE』

「時代と社会の、決まり文句にとらわれない」
ニューヨークに拠点を置く、カウンターカルチャー専門のデジタルマガジン。世界各都市の個人・コミュニティが起こすユニークな取り組みやムーブメントをいち早く嗅ぎつけ、深堀したストーリーを配信中。世界の若きマイノリティたちの生き様を届けます。

HEAPS MAGAZINE
instagram

『HIGH(er)magazine』

学生や若いクリエイターによるインディペンデントマガジン。ファッションや写真、カルチャーなどを自分たちの目線から発信。

instagram

『Sister Magazine』

2016年3月にオープンしたウェブマガジン。「女の子たちが姉妹のように語り合える場所を」をコンセプトに、インターネットを使って多種多様な女性たちが集い、様々な意見を交換できる場所を作ろうと活動を続ける。一時的な休止を経て、2017年クラウドファンディングが成功し、再開が決定。

Sister Magazine

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