自分が他人から扱われたいようなやり方で、相手に接してあげることが大切。
ーエリカさんは作品の制作過程においてもコミュニケーションを非常に大切にされていますよね。Netflixのドキュメンタリー(『ホットガールズ・ウォンテッド: オンライン・ラブ』)でエリカさんの撮影風景を拝見したのですが、撮影の内容について、非常に細部にわたって出演者に説明されている姿が印象的でした。
『ホットガールズ・ウォンテッド: オンライン・ラブ』(Netflixで観る)
エリカ:自分が他人から扱われたいようなやり方で、相手に接してあげることが大切だと思っています。だから、一緒に仕事をする方たちに対しては、事前にものすごく細かな説明をしているんです。
例えば出演者に対しては、作品内で、どのような相手とどのような行為をするかということはもちろん、お金の話や拘束時間などについても、撮影の何週間か前に必ずすべて説明するようにしています。だからこそ一緒に仕事をする方たちには、モチベーションを非常に高く持って参加していただけていると思います。
ーそうした制作の裏側における健全さは、きっと作品にも表れてくるものだと思います。
エリカ:そのようにしなければ、クオリティの高い作品をつくることは難しいんです。制作クルーについても、真摯な方たちを注意深く選んでいます。また、特にカメラマンですが、女性のスタッフを中心に起用することが大切だと思っています。私としては完成した作品の満足度が明確に高くなると感じますし、これまでのポルノ作品では得られなかった気づきがあるんです。
例えば、現在の多くのポルノにおいては、女性の大きな胸やお尻といった身体と、男性器ばかりが出てきて、男性の顔はほとんど映りません。しかし、ヘテロセクシュアルな女性がカメラマンを務めた場合、どうしても自分が見たいところにフォーカスしますから、それによって、これまで見ることができなかった男性の出演者の魅力的な面を引き出すことができるんです。
自分自身にとっての快適なあり方を見つけて過ごすために、自分自身が求めるものを主体的に探っていく。
ーこれまでフォーカスされていなかった男性の魅力を映し出すことは、ヘテロセクシュアルな女性のためだけじゃなく、男性自身の気づきにも繋がると思います。
先ほどエリカさんのサイトを見ているのは40%が女性だとお話されていましたが、つまり60%は男性が見ているということですよね。それはおそらく、男性の中にもいわゆる従来型のポルノとは異なる作品を求めている人たちがいたということだと思いますし。
エリカ:そうなの! 既存のポルノ作品の多くは、いわゆる男性的なマッチョなタイプの人たちが中心となってつくられてきましたし、出演する女性についてもだいたいが同じようなタイプの人ばかりになっていました。もっと人間をリスペクトした作品に、男性も飢えていたんじゃないでしょうか。
これまではポルノ作品を見ていることを恥ずかしい行為だと考える人が多かったですが、私の作品を見てもらうことで、ポジティブになれると思うんです。登場人物を一人の人間として尊重した作品であるという点に価値を感じて見てもらえているはずですから。
ーそのように他人を尊重しつつ、一人一人が、誰かから望まれた欲望の形に無理をして沿うのではなく、自分自身にとっての快適なあり方を見つけて過ごすためにはどのような方法があると思いますか?
エリカ:おそらくShe isのテーマとも繋がるのではないかと思いますが、自分と対話をして、自分についてよく理解することだと思います。そのためにも、性的な欲望というのはすごく大切なものです。
特に女性の場合、ポルノにおいては、性的な対象として扱われることが多かったですが、セクシュアリティにまつわることから、自分自身が求めるものを主体的に探っていくことは、自分に忠実になっていくためのひとつの良いきっかけになるんじゃないでしょうか。
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