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青柳文子、結婚してもしなくてもいい時代に自らつくる家族の形

青柳文子、結婚してもしなくてもいい時代に自らつくる家族の形

「まずは自分ありき」。モデル、女優、2児の母の家族像

2019年5・6月 特集:ぞくぞく家族
インタビュー・テキスト:飯嶋藍子 撮影:佐藤麻美 編集:野村由芽
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親、兄弟、姉妹、祖父母、子ども、パートナーや血のつながっていない誰か、一緒に暮らしている動物……いったい誰のことを「家族」と捉え、どんな風景を「家庭」と呼ぶのでしょう?

社会の最小単位とも言われている「家族」。近い存在だからこそ、とっても愛おしかったり、とってもわずらわしかったり、知っているようでじつはあまり知らなかったり。不思議な縁で強くつながった人たちとの関係性のなかで、あなたはどうコミュニケーションをとって、生きてきましたか?

She isでは5・6月の特集「ぞくぞく家族」でお送りするオリジナルプロダクトとして、モデル・女優の青柳文子さんと一緒に「家族のまんなかエプロン」をつくりました。お母さんとおばあちゃん、ふたりのお兄さんと妹の4人兄妹のなかで育った青柳さんが過ごした家族の風景。そして青柳さんが結婚、出産を経ていままさに自分で築き上げている新しい家族との関係についてじっくりお伺いしました。

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【後編】青柳文子が語る「母親の人権を確保する」ための日々の戦いと工夫

青柳家の空気は「ファンキーな人だった」というお母さんがつくっていた。

小さい頃に両親が離婚して、お母さんとおばあちゃん、兄2人と妹1人の6人家族で大分県で暮らしていた青柳さん。青柳家の空気は「ファンキーな人だった」というお母さんがつくっていたと語ります。

青柳:お父さんがいなかったので、おばあちゃんとお母さんに育てられた感じです。お母さんはアメリカナイズされていて、時代的にもヒッピーの風を浴びていた人で。昔、ハリウッドで映画制作の仕事をしていたり、クウェートで秘書をやっていたりとか、経歴がちょっと不思議なんですよね(笑)。

だから、家では英語で挨拶されたり、朝ごはんのときは英語で話す、みたいな育て方をされていました。「勉強しなさい」と言われたこともないし、「いやなら学校なんて行かなくていいよ」って言うような母でした。類は友を呼ぶじゃないですけど、母のまわりには変わったお母さんたちが集まっていて、楽しそうにやっていていいなって子ども心に思っていましたね。

青柳文子さん

「いま思えばけっこう型破りな母だったのかもしれないですね」と笑う青柳さん。

青柳:田舎だったし、ほかの家庭を体験できるわけじゃないから、これが普通だと思っていたんです。でも、大きくなるにつれて「うちってなんか変かも?」って、周りとの違いにだんだん気づいてきて。上京してからいろいろな家庭の話を聞いたり見たりすることが増えて、「うちって変だったんだな」ってより思うようになりました。

特に結婚すると、相手の育った家庭を深く見ますしね。家庭によって育ち方が全然違うとわかって、それに気づいてからは「この人はどういう家庭でどう育ったんだろう?」っていうことが気になるようになりました。

青柳さんが、自分が育った家庭と夫の育った家庭の違いを特に感じたのは、親との関係性なのだそう。

青柳:夫は反抗期が全然なかったらしいんですけど、うちは兄妹全員ありました。親に対する私の喋り方を夫が見て「親に対してそんな喋り方なんてありえない。斬新すぎる」って言われたり(笑)。私はお母さんのことも名前にちゃん付けで呼んでいるんです。

本人から呼んでほしいと言われたわけじゃないんですけど、小学生くらいのときに単純に「ママ」から「お母さん」に呼び方を変えることに違和感があって、「この人をひとりの人として扱おう」と思ったんです。名前で呼ぶことによってより仲良くなれたかなと思います。お母さんは当時はなにも言わなかったけど、いま思えば嬉しそうだったかもしれません。

わかり合えない部分があることがネガティブじゃないようにしたい。

「兄妹も互いに呼び捨てでした」という青柳さん。家族内の肩書きで呼び合うことで、無意識にその役目を果たさねばという思いが生まれてしまいそうですが、青柳家は個人の名前で呼び合うことで、まさにひとりの人間としてそれぞれが向き合えていたのかもしれません。しかし、反抗期もあり、兄妹げんかも多かったという幼少時代。けんかの理由はなんだったのでしょう?

青柳:抱えている思いをうまく出しきれない、自分でも得体の知れないなにかがあったんだと思います。それを「わかってほしい」みたいな気持ちはあって。ぜったいお互いにわからないなにかってあるじゃないですか。そこをわかってほしくて反抗していた時期を踏まえて、いま私がつくっている家庭では、わかり合えないということをわかり合えたらなと思います。兄妹は、やっぱり歳を重ねたから仲良くなったのかなって。家族が離れ離れになったからこそ、それぞれの大変さや兄妹のありがたみを実感しました。

自身が築く家族も「やっぱり兄弟仲良くしてくれたら嬉しいですね」と、その近い未来を思い描きます。

青柳:いま、私と妹は親友みたいな関係だから、自分たちの子どもも近い年齢で産みたくて。わかり合えないことも含めて、なんでも共有し合える家族になったらいいなと思います。個々に秘密があってもいいんですけど、わかり合えない部分があることがネガティブじゃないようにしたい。

自分の子どもも、「お母さんは僕のここをわかってくれない」ってネガティブになるとグレたりしてしまうと思うし……。そこで家庭の外に理解を求めるのもひとつなんですけど、根っこの部分はわかり合える家族でいたいです。言葉がなくても信頼し合いたい。お互い言葉で表現できたらなお良いですけどね。だから、そういう表現やコミュニケーションをするのが億劫にならないような空気をつくりたいなと思います。

兄妹との関係を振り返り、自分の子どもたちの関係を優しく考える青柳さん。お子さんに向ける眼差しは夫とも共通しているのでしょうか?

青柳:夫とはいちばんわかり合えてないかもしれない(笑)。夫が育ってきた家庭は、男兄弟の中で育ったからか問題を自分のなかで片付けるというか、言葉でいろいろなことを話し合ったりはそんなにしないみたいで、まだまだ未知の領域が多くて、これからですね。青柳家はかなり共有するほうで、悩んでいることがあると兄妹に相談するんです。私も結婚するかしないかくらいのときにまず兄妹を集めて相談しました。妹も私の夫のことを知っていたし、兄も友達なので、「どう思う?」って(笑)。

PROFILE

青柳文子
青柳文子

ファッションモデル・女優。独創的な世界観とセンスで20代女性の支持を集める。雜誌の他、映画、TVドラマ、バラエティ番組、アーティストMVと多方面で活躍中。企業商品プロデュースや執筆業など様々な分野で多彩な才能を発揮している。主な出演作品に『サッドティー』(2014年)、『知らない、ふたり』(2015年)など。

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