みなさんは日々、どんなやすみかたをしていますか? 会社員のひと、学生のひと、フリーランスで働くひと、いくつもの仕事をしているひと、育児に励んでいるひと……いろんな活動があるから、やすみのかたちもきっとたくさん。でも、やすんでもやすんでも、なにかに追われている気持ちになったり、なんだか疲れが抜けなかったり、やすんだことを後悔してしまう、なんてことはありませんか?
She isでは7・8月の特集「やすみやすみ、やろう」のギフトでお送りするオリジナルプロダクトとして、SHE IS SUMMERのMICOさんと、リラックスするときにもおしゃれするときにもぴったりな「がんばらないタンクトップ」をつくりました。
SHE IS SUMMERとしての音楽活動を中心に、執筆活動や自らグッズデザインなども手掛けながら、頻繁に海外に旅に出るなど、やすみもしっかりとっているMICOさん。そんなMICOさんの活動とやすみのバランス感覚を紐ときながら、旅や日常への思いについてじっくり伺いました。
【後編】観光地を巡るのではない、がんばらない旅っていい。MICOの旅案内
やることがいっぱいあったとしても、「やすむ」ことも他のことと同じくらい大事。
できる限りやすんでいたいという人がいたり、逆に働き続けていないと不安になってしまう人がいたり……「やすみやすみ、やろう」と言っても、人によって活動のタイプも休息のタイプもさまざま。MICOさんは「やすんでいてもあまり不安にならないです」と話します。
MICO:よくやすんでいるほうだと思います。でも、やすんでばかりだと、やすむ楽しさもなくなってくるし、働くのもやすむのも、どちらもないとダメなんですよね。
私は、やすみは「ここでやすむぞ」と自分で決めないとダメなタイプで。たとえば、作詞で煮詰まったときとかって、なにか他のことをしないと新しい言葉が出てこないと体が感じ取るので、それでやすむようにしています。職業柄、予定が急に決まることも多いので、「あれ? 明日なにもない!」って突然気づいて急遽やすみの日ができたりするんですけど、それに気づいたら、どんなやすみにするか計画して、急でも思い切ったところに行くようにしているんです。
「この前は、当日に静岡県で開かれるフェス『RAINBOW DISCO CLUB』に誘われて行ってきました(笑)」とMICOさん。海外にもたくさん旅に出かけている姿を見ていると、そのフットワークの軽さに驚かされます。しかし、「フットワークが軽くなったのは大人になってからなんです」と意外な答えが。その源流にはお母さんからの影響もあるようです。
MICO:母はアクティブに外に遊びに行くというよりも、モノとして残るものにお金を使う人だったんです。それもあって、私は服はたくさん持っているけど、思い出をあまり持っていないと気づきはじめて。あとは大人になってからみんなが夏祭りに行っているのを見て「いつ行ってるんだろう?」と思ったのも大きいです。夏っていつも、始まったと思ったら終わっていて……そんな夏を何度か過ごして、これは良くないと思ったんです。それに気づいてからすごくフットワークが軽くなりました。
「フットワークが軽くなってからは、ものへの興味が少なくなりました」とMICOさん。
MICO:たとえば「あの日この服着てたね」っていう思い出も、体験と一緒に結びついていると思うんです。服だけを着た記憶ってあまり残らないから、その服を着てなにをしたかが大事なんですよね。人生で価値があることってなんだろうってよく考えるんですけど、高級なバッグをゲットできた嬉しさよりも、おばあちゃんになってからでも「あの日のあの山の上の風が気持ち良かった」って思い出せることのほうが、私はいいなって思っています。
MICOさんは「だからこそ、自分で自由にできる時間があったら、なにかを体験したい」と続けます。しかし、新しい体験をするための活力や体力はやはり休息しないと得られないもの。とってもアクティブに見えるMICOさんですが、「休息してますよ!」と笑います。
MICO:このあいだ撮影とレコーディングでタイに行ったんですけど、帰国した翌日は1日中寝てました(笑)。でも、やすむときもちゃんと「やすむ」という予定をつくるので、「ダラダラしているうちに1日が終わってしまった!」みたいなことはないですね。やることがいっぱいあったとしても、私にとって「やすむ」っていうのも他のことと同じくらい大事なんです。
家にいたら、家事もしなきゃいけないし、原稿も残ってるし、やろうと思えば曲のアイデアも考えられる……とか、いろいろやらなくてはいけないことがあると思うんですけど、「ベランダの椅子で2時間うとうとしてからにしよう」ってやすみの計画も事前に決めるようにしています。
無意識に過ぎてしまう時間を意識することがすごく大事だと思うんです。
「自分が自分でいられる場所にしたい」というコンセプトのもとSHE IS SUMMERとして活動しているMICOさん。やすみの日でも時間が流れていることに対して意識的でいる理由は、まさにそのコンセプトを叶えるためとも言えます。
MICO:そもそも、SHE IS SUMMERが掲げている「自分らしい」っていうのは、今の自分にジャストフィットする自分らしさではないんです。私は、「なりたい」と思っている像が、本当の自分の完成形だと思っていて。だから、SHE IS SUMMERはなりたい自分になる場所なんです。
つまり、今の自分よりも一歩先の自分にどんどん近づいていくというか、なりたい像の輪郭に自分のかたちを合わせていくように活動する場所。そのために一番大事なのは、周りの信頼できる友人たちと一緒に過ごしたり、「この子と一緒にやるんだったらやってみよう」と感じられた、自分だけではできない新しいことをしているときだと思っています。できるだけそういうことに自分の時間を使いたいという気持ちから、やすみの日も時間に対して意識的になったのかもしれないです。
今は自分なりのやすみ方を見つけたMICOさんも、やすまずにずっと忙しくしていた日々があったと語ります。
MICO:SHE IS SUMMERをやる前にバンドをやっていた頃は、すごくがんばっていて、やすんでいるヒマがなかった。日常生活の全部を、バンドに役立つ時間として過ごしていたかったし、バンドでアウトプットできるような刺激をどんなものからでも受けようと考えていました。でも当時はバイトもしなきゃいけないし、4時間寝て、バンド活動して、また4時間寝て、夜バイトして、っていうサイクルで生活していて。
「そのときは、本当に疲れていたからやすみの日はずっと寝てました」とMICOさんは続けます。
MICO:きっと当時の私みたいになってしまいがちな人も多いと思うんです。でも、「疲れすぎていたから、1日が過ぎちゃった……」っていうのが一番もったいない。私は寝ることが大好きなので、寝る前に「私は今からベッドに何時間いれる!」って噛み締めるようにしていて(笑)。大好きな寝る時間も、寝始めたら一瞬で終わっちゃうじゃないですか。
そういう無意識に過ぎてしまう時間を意識することがすごく大事だと思うんです。誰だって午後まで寝ちゃったことを後悔したくないですよね。それだったら最初から「夕方まで寝てやるぞ!」って思って寝て、起きたときにも「よっしゃ! 寝た!」って思いながらおいしいごはんを食べにいったりしたほうが気持ちいいと思います。
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