なにが向いてるかって、やらないうちは本当にわからないです。
いい意味でがんばらないことを意識しているMICOさん。今回She isと一緒につくった「がんばらないタンクトップ」のロゴはMICOさん自身がデザインしたものですが、なんとIllustratorの勉強を本格的にしたんだそう。しかしMICOさんは「それもがんばってないです!」と笑います。
MICO:クリエイティブスクールの「SHElikes」というところがあって、そこに学びに行ったんです。なにもわかっていなかったので、まずは基礎のIllustratorコースに3回行って、それからロゴコースを3回受けました。ロゴのコンセプトをどう考えるかとか、そのコンセプトをどうやってデザインに落とし込むか、それをどうやってIllustratorでデータ化するのかっていうのを学んで。
もともとロゴを見たり、デザインを見るのが好きだったというMICOさん。「もし音楽をやっていなかったらデザイナーになっていたと思います」と続けます。
MICO:もともと好きだったのもあるし、プロのデザイナーさんと一緒にジャケットのデザインをしたりするのがすごく楽しくて。作業を横で見せてもらったりすることもありますね(笑)。これまでは「こんな感じにしたい」っていうのを伝えてつくってもらっていたんですけど、全部自分でできるようになりたいなと思って、講座を受けに行ったんです。
「でももっとちゃんとしたのをつくろうと思うと、私の技術はプロの足下にも及ばないです」とMICOさんは笑いますが、自分のアンテナに引っかかったものを全部取り込んでいく行動力にとにかく驚かされます。
MICO:デザインは、実際にやってみたらただただ楽しかったんです。楽しいという気持ちだけで、がんばっていないんですよ。ジェルネイルもいいなと思ってジェルネイルキットを買ったことがあって。やった日はすごく楽しかったし、何回かはやったんですけど、途中でやめちゃいました(笑)。デザインの講座も途中で脱落していく人がいたんですけど、それは私のジェルネイルと同じなんですよね。やらないと得意不得意もわからないから、やってみるのは大事。私もそんなきっかけで実際にデザインもするようになったし、なにが向いてるかって、やらないうちは本当にわからないです。
opnnerとコラボしたMVは、その瞬間が永遠にそこにあるような感覚を生み出したかった。
講座に行ってからはSHE IS SUMMERのグッズデザインなども自ら手掛けるようになったMICOさん。クリエイティブの幅を広げ、自由度を増していく彼女ですが、新曲“Darling Darling”のMVは、自分ひとりではなく「opnnerとつくると決めていたんです」と話します。
MICO:この曲は片寄明人さんとつくったんですけど、「これまでのSHE IS SUMMERの曲を聴いて、君に会って、想像していた女の子と違ってびっくりした」って言われたんですよ。片寄さんが考えていた女性アーティストのイメージとはちがった面があったみたいで、そこが魅力だとおっしゃってくださって。それを一聴してわかってもらえるような曲を一緒につくりたいと言ってくださったんです。
それで生まれたのが“Darling Darling”。そういう、すごく大事な曲だったので、MVをどうしたらいいかわからなくなっていたんですけど、そんなときに思い出したのが、opennerのプロモーションビデオで。
opnnerのプロモーションビデオ
opnnerのプロモーションビデオを「不思議なビデオだったんですよね」とMICOさんは振り返ります。
MICO:宇宙の映像が合成されていたり、小さい化粧品を砂浜に並べて、すごく大きく見える女の子が登場したり、すごくコラージュっぽかった。私の今までのMVはストーリーのあるものが多かったんですけど、“Darling Darling”は、ひとつひとつの音を拾ってくれるようなコラージュっぽい映像にしたいと思っていたんです。だから、「あのプロモーションビデオのチームのままつくってほしい」とお願いしました。あんまり時系列がないというか、その瞬間にダイブできるような映像にしたかったんですよね。走馬灯ともまた違う、回想というよりはその瞬間が永遠にそこにあるような感覚を生み出したいんです。
SHE IS SUMMER “Darling Darling”
opnnerのIwaya KahoさんのInstagramの投稿
まるで時空を超えて旅をしながら、大切なものをつなげ、自分をアップデートしていっているMICOさん。それをかなえられているのは、無理にがんばるよりも「楽しい」という気持ちを一番に考えて行動しているからかもしれません。
旅をすると、自分の根本にあるものに気づくし、それを変えることになんの抵抗もなくなる。
旅とやすみを体現したようなこのタンクトップに「がんばらないタンクトップ」と名付けたMICOさんですが、MICOさんにとって「がんばらない」とはどういう状態なのでしょうか?
MICO:ストレスをなくした状態です。私はあんまり努力ができるタイプじゃないと思っているんですけど、それはストレスがあることができないだけで、楽しいことは努力とも思わずできるんです。人から見たら努力に見えることも、私自身は全然がんばってなくて、ただ楽しめる。どちらかというと、そういうものを見つけることを努力していますね。それをがんばれば、ストレスを我慢することに「がんばる」を使わなくてよくなると思うんです。
「じつはそのほうが簡単だと思いますよ」とMICOさんは続けます。
MICO:根本の考え方を変える難しさって、困難な課題をクリアする難しさとは全然別のところにあって。変えなきゃいけないのは自分そのものっていうことが多いんですよね。でも、それさえクリアすれば、すごく自由になれることがいっぱいあると思います。
「私もまだ全部をクリアできているわけじゃないけどね」とMICOさん。自分の根本にあるものは、きっと当たり前すぎて見つけづらいけれど、MICOさんのように、旅をしたり新しい価値観に触れたりすることで知ることができるのかもしれません。
MICO:そういう意味で旅をするって大事です。旅をすると、自分の根本にあるものに気づくし、それを変えることになんの抵抗もなくなるんですよ。今の社会に生きていて、自分の容姿にコンプレックスがあったり、自分のこういうところが嫌いだなと思うことってあるじゃないですか。でも住む場所を変えるだけでまったくコンプレックスに思わなくなることもあって。
普段はふくらはぎが太いことを気にしているのに、砂漠に行くと「なんでそんなこと気にしてたんだろう?」って思うし、逆に体力がないことがコンプレックスになったりもします(笑)。生きる環境によって戦える武器って全然変わってくる。だから、今の自分が嫌いなら別のところに行ってみるのもいいかもしれません。
体をやすめて体力を回復するのはもちろんですが、MICOさんがしているように、心が元気でいるために「やすみ」を充てると、やすんだあとの活動がより輝くのかもしれません。
MICO:心が元気でいるのが一番大事ですね。そのときは気づいてなくても、健康になったときに「あのときちょっと病んでたかも」とか思うことってありますよね。やすみにも活動にも、常に自分の見えていない高みがあるっていうことを想像しておかないと。元気でいるためには、想像に向かって働きかけ続けることが大事だと思います。
ゆっくりやすんだつもりでも、なんだか疲れてしまっているのは、もしかしたら心がやすまっていないのかもしれません。いつも忙しくがんばっているあなた。日々に息切れしそうになってしまったら、MICOさんのようにやすむことも楽しんで、身も心もリフレッシュさせてあげてください。あなたの人生を豊かにする時間を増やして、やすみやすみ、やっていきましょう。
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