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蒼井優とタナダユキが語る結婚。自分が思う幸せを追求すればいい

蒼井優とタナダユキが語る結婚。自分が思う幸せを追求すればいい

『ロマンスドール』公開。結婚、母性神話、幸せについて

2020年1・2月 特集:これからのルール
インタビュー・テキスト:野村由芽 撮影:小林真梨子
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かつて自分も怒られてもおかしくなかったところで、待ってもらっていたことがきっとたくさんある。(タナダ)

ーお二人の今回のタッグが嬉しいのは、その感覚がにじみ出ているからかもしれません。おそらく「お互いだから」という理由がそこにあるんだろうなと感じるので……。

『ロマンスドール』でタナダ監督がラブドール職人を題材にした理由に、「職人が描きたかった」というのがあるそうですが、お二人も監督として、役者として職人である部分があるのではないかと思います。お互いの12年の変化を、どう感じますか?

タナダ:ちょっと感慨深いことなんじゃないかって思うのは、この仕事で、12年生き延びたってこと。蒼井さんは、昔から自分の考えを持ってたし、年下だけど尊敬するところしかなくて、もちろん全然なんの心配もないんですけど、再び組めるということは「そっか自分も12年頑張ってこられたからここにいるんだな」っていうのは、今回蒼井さんと仕事をして実感できて、感慨深いものがありました。

ー続けるのがやっぱりすごく難しいことであると感じる場面もこれまであったということですかね?

タナダ:あ~ありますね。しょっちゅうやめたくなって(笑)。ただもう潰しがきかないから。頑張るしかないっていう(笑)。

蒼井:そうですね~。

タナダ:もちろん好きな仕事ではあるんですけど、好きだからこそ腹が立つこと苦しいこと、変えようのない現実とも対峙していかなきゃいけない。好きなことやるってこんなつらいんだ……ということも味わってきたので、なんとかやめずにこれたんだなっていう感じはありました。

蒼井:お互いに言えることですけど、現場でのポジションが変わりましたよね。たぶん、12年前は泳がせてもらう立場だったのが、ある程度水槽側にまわったというか、自分たちよりキャリアの少ないスタッフさんたちがどんどん現場に参戦してくれるようになっていて、やっぱりその子たちの様子を見守るっていう立場になったなあ、と。感慨深いですね~。

タナダ:それは、かつて自分も怒られてもおかしくなかったところで、待ってもらっていたことがきっとたくさんあるからなんだろうね。だから今度は待つ側なんだなって。

結婚は、奇跡だなあと思います。(蒼井)

ーそうやって映画という場所が続いていくんですね。『ロマンスドール』のお話でいうと、蒼井さんが最初からこの作品をいいと思ったのはどうしてですか?

蒼井:すごく複雑なのにすっきりしたお話というか、かといって書き手側が「人生ってこういうものです」ってなにもかもを達観しているわけでもないっていう。その素直な読後感がわたしにとってすごく心地よかったです。

『ロマンスドール』 ©2019「ロマンスドール」製作委員会

ータナダ監督がコメントのなかで「登場人物は振れ幅の大きい、極端な人たちじゃない」ということをおっしゃっていましたが、さまざまな感情を抱えながらもその振れ幅をおさえて生きる人たちの繊細な機微が描かれていますよね。

この作品を観て、「夫婦や結婚、誰かと一緒にいるってなんだろう?」と改めて考える人も多いのではないかと思うのですが、蒼井さんは俳優として今回夫婦を演じてみて、そしてもし可能だったら個人として、結婚するということをどう捉えているかということをお聞かせいただきたいなと思いました。

『ロマンスドール』 ©2019「ロマンスドール」製作委員会

蒼井:演じているときは、自分は結婚していなかったし、相手と出会ってもなかったので、台本から読みとったあの二人の夫婦像を自分なりに想像して演じていました。実際に結婚してからまだ数か月なので、なんとも言えないですけど、わたしとしては、奇跡だなあと思います。

家族というのもいまいちよくわからないコミュニティだなとも思っているんですよね。生まれたときからの家族しか知らなかったのが、新しい家族と繋がっていくってびっくりするようなことだなって(笑)。でも、それがなんだか楽しいですね。

PROFILE

蒼井優

1985年8月17日生まれ、福岡県出身。01年に『リリイ・シュシュのすべて』(岩井俊二監督)ヒロイン役で映画デビュー後、『花とアリス』(04/岩井俊二監督)、『ニライカナイからの手紙』(05/熊澤尚人監督)、『フラガール』(06/李相日監督)などで主演を務め、『フラガール』で第30回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞、新人俳優賞をダブル受賞したほか、国内の映画賞を総なめにした。さらに17年に出演した『彼女がその名を知らない鳥たち』(白石和彌監督)では、第41日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞したほか、第42回報知映画賞主演女優賞、第30回日刊スポーツ映画大賞主演女優賞など数々の映画賞を受賞した。近年の主な映画出演作に、『家族はつらいよ』(16/山田洋次監督)、『オーバー・フェンス』(16/山下敦弘監督)、『アズミ・ハルコは行方不明』(16/松居大悟監督)、『東京喰種トーキョーグール』(17/萩原健太郎監督)、『斬、』(18/塚本晋也監督)、『長いお別れ』(19/中野量太監督)、『宮本から君へ』(19/真利子哲也監督)などがある。

タナダユキ

01年脚本・出演も兼ねた初監督作品『モル』で第23回PFFアワードグランプリ及びブリリアント賞を受賞。2004年劇映画『月とチェリー』が英国映画協会の「21世紀の称賛に値する日本映画10本」に選出された。2008年脚本・監督を務めた『百万円と苦虫女』で日本映画監督協会新人賞を受賞し、その後も映画『俺たちに明日はないッス』(08)、『ふがいない僕は空を見た』(12)、『四十九日のレシピ』(13)、『ロマンス』(15)、『お父さんと伊藤さん』(16)や、TVドラマ「蒼井優×4つの嘘 カムフラージュ」(08/WOWOW)、「週刊真木よう子」(08/テレビ東京)、「昭和元禄落語心中」(18/NHK総合)、配信ドラマ「東京女子図鑑」(16/Amazonプライム・ビデオ)、「夫のちんぽが入らない」(19/Netflix)など数々の話題作を世に放ってきた。またTVCM第一三共ヘルスケア「ミノン」洗浄シリーズの演出や、高橋一生が出演した資生堂ショートムービー“スノービューティー ホワイトニング フェースパウダー 2017”ショートムービー『Laundry Snow』の脚本・演出もつとめている。

INFORMATION

作品情報
『ロマンスドール』

2020年1月24日(金)から全国公開

監督・脚本:タナダユキ
原作:タナダユキ『ロマンスドール』(角川文庫刊)
音楽:世武裕子
主題歌:never young beach“やさしいままで”
出演:
高橋一生
蒼井優
浜野謙太
三浦透子
大倉孝二
ピエール瀧
渡辺えり
きたろう
配給:KADOKAWA

映画『ロマンスドール』公式サイト

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