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山崎まどかが語る「ロマンティックであることは生きる力であり希望」

山崎まどかが語る「ロマンティックであることは生きる力であり希望」

86歳の米最高裁判事ルース・ベイダー・ギンズバーグの魅力

2020年1・2月 特集:これからのルール
インタビュー・テキスト:飯嶋藍子 撮影:佐藤麻美 編集:野村由芽
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自分の感情を単純に感情として説明するのではなく、なにが自分の感情を動かしているのかをちゃんと調べるのは大事。

さまざまな制限や障壁があるなかで、希望を抱き続けるのはタフなことでもありますが、山崎さんは『雨に唄えば』などで知られる映画監督、スタンリー・ドーネンの死をきっかけに、自分の生き方の姿勢を改めて強く思い出したのだそう。

山崎:スタンリー・ドーネンが2019年に亡くなったときに、彼の作品のような明るくてかわいくて、「他愛のない」って言われるものーーロマンティックコメディやハッピーエンドで終わる映画を何よりも愛していて、そういうものに大きな価値を見出すのが私のスタンスだったと、強く思い出したんです。明るくてロマンティックなものを基盤として生きたい、そういうものを追求して推薦していきたいと改めて思いました。

直接的に政治的な行動をするだけじゃなくて、明るいものやかわいらしいものを信じることも、社会をよくするために役に立っていると私は信じています。「イマイチだ」とか「よくなかった」と切り捨てられることが多い作品に関しても、そのなかに楽しめるディテールやポイントを見つけられるほうが、人生は得だと思うようにしていて。発見できる喜びは多い方がいい。自分が見つけて美しいと思えるもの、愛を抱けるものの良さをなるべく上手に伝えていきたいですね。

喜びを見つける目を養うための精神性について、山崎さんはこう語ります。

山崎:個人的な考え方かもしれないけど、なにが自分の感情を動かしているのかを、ちゃんと調べるのは大事だと思っています。自分の感情を単純に感情として説明するのではなく、その感情の裏づけとなるものの基盤があるはずだから。

たとえばある映画を観て心が動いた理由は、カメラなのかもしれないし、演出かもしれないし、その物語に至るまでの文化的背景かもしれない。その理由がわかれば、それを手掛かりにして、自分の好きなものをもっと探していけるんですよね。ぼんやりと「あれが好き」と終わらせるのではなく、能動的に一歩でも二歩でも深く追っていくと、自分が大切にしたいもの、ひいては自分が大切にしたい生き方が見えてくると思います。

ひとりの手には余る大きな空気やルールを、自分だけで変えていくのは難しい。でも、自分はなにが好きかという理由を考えることで輪郭が見えた、自分だけの解釈を日常に取り入れることはできるのではないでしょうか。

ギンズバーグさんのように好きなファッションで静かに意思表明することも、山崎さんのようにロマンティックなものを追求していくことも、囚われてしまった心に風穴をあけるような、「これからのルール」をつくっていくような、そんなうねりの小さな芽吹きなのかもしれません。山崎さんの眼差し、そしてギンズバーグさんのようなしなやかな強さを湛えたつけ襟を胸に、あなたの感性で、「これからのルール」を考えてみてください。

つけ襟が入っている2月のギフト「これからのルール」のページはこちら(お申込みは2/29まで)

PROFILE

山崎まどか
山崎まどか

15歳の時に帰国子女としての経験を綴った『ビバ! 私はメキシコの転校生』で文筆家としてデビュー。女子文化全般/アメリカのユース・カルチャーをテーマに様々な分野についてのコラムを執筆。著書に『オリーブ少女ライフ』(河出書房新社)『女子とニューヨーク』(メディア総合研究所)『イノセント・ガールズ』(アスペクト)共著に『ヤングアダルトU.S.A.』(DUブックス)翻訳書にレナ・ダナム『ありがちな女じゃない』(河出書房新社)等。

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