応援したかったり、すごく好きだなと思うブランドを買い続けています。(UCO)
ー素朴な質問なのですが、同じブランドの服をシーズンごとに買い続けていくことって皆さんは結構されるんですか?
UCO:私は、わりと収集癖があって。とはいえなんでも良いわけではなくて、応援したかったり、すごく好きだなと思うブランドを買い続けています。JACQUEMUSは、デビュー当時からずっと追いかけていて、ギャルソンのショップスタッフからデザイナーに転身したサクセスストーリーも興味深いし、ブランド創業からメンバーが誰一人辞めていないらしくて……。皆が楽しんでブランドを創り上げているイメージや温度がコレクションから今でも伝わってくるので、毎シーズンなにかしら買ってしまうんだと思います。
大平:デザイナーって、どんなコンディションであっても毎シーズン発表しなきゃいけないんですよね。だから、なかには悩んでるシーズンがあったり、新しいステージを見つけたりするシーズンがある。そういう流れを追ったり、デザイナーの考えをコレクションから自分なりに解釈したり、ストーリーを組み立てたりすることは、一つのブランドを追い続けていく楽しさですよね。
狭い業界なので、「あのブランドのデザイナーが変わった」みたいな動向も耳に入ってくるから、じゃあそのブランドはどういう風に変わっていくんだろう、とか。ファッションが好きな人とはそういう話で延々盛り上がれる(笑)。
ー洋服ってやっぱり目に見える形の部分が気になってしまいますけど、1着のお洋服の裏側にあるものを読み解くような楽しみ方もあるんですね。
大平:私もUCOさんと同じくメンズのお洋服が好きなんですけど、メンズの方が記号的なんですよね。女性のお洋服って似合うか似合わないかや、スタイリングが大きな要素になってくるところがあるんですけど、メンズの場合、似合う似合わないに関係なく、「このブランドの服を着てることが面白い」みたいなところで話が盛り上がったりするんです。
ー着ることが一つの思想の表明になるような感覚なんですね。
大平:「Tシャツはメディアだ」ってよく言っているんですけど、Tシャツって好きな映画や音楽を主張できるじゃないですか。私はそういうファッションの楽しみ方が好きだから、メンズのお洋服は通じる部分があるんです。だからといって全身メンズっぽい格好をしたいとは思っていないから、自分の身体に合ったものを組み合わせつつ、いつもコーディネートをつくっている感じですね。
ちなみに今日はRaf SimonsのTシャツとCollina Stradaのシースルートップスを組み合わせてみました。1年以上前にJean Paul Gaultierの古着が出回りだしたな、と思ったら、昔のGaultierみたいなこういう透け感のあるぴたっとしたトップスが新しい世代のブランドからも出てきていて。そういう流行の流れを追うのも楽しいですよね。あと、デニムがまた流行っているみたいなので、15年ぶりくらいにデニムスカートを履いてきました。
いろんなファッションをすることで、新しい自分をつくっている感じがする。(大平)
ー皆さんがどういう人やものをおしゃれだと感じているのかも伺ってみたくて。
大平:やっぱり、新しい提案があることですね。見たことがないものだからこそ、刺激があって惹かれます。そういうものをまとうと、アップデートされるじゃないですか。人で言うなら、元ワン・ダイレクションのハリー・スタイルズは最近、レディースを着ていたりするんですけど、いろんなファッションをすることで、新しい自分をつくっている感じがして。それがファッションの力だし、面白さだなと思います。私が好きなRaf SimonsとかChristopher Kaneみたいに、見たことがないフォルムを提示するような近未来的な新しさもあるし。
さっき名前が出たJACQUEMUSみたいに、スタッフと親しい雰囲気のなかでものを作り出していくようなブランドのあり方も一つの新しさだと思います。
井田:似合うものを一貫して着ている人も、あえて違和感がある着こなしをしている人も、そこに自分らしさがある人は、僕とは洋服のテイストが違っても好きですね。洋服の歴史やカルチャーには結構詳しい自信があるんですけど、それを踏まえたうえでどうやってその人らしく着崩しているかも気になります。一歩先の提案をするような着方をしている人を見ると、「ですよね!」ってつい声に出ちゃいますね(笑)。
UCO:身近にすごく素敵だなと思う女性がいて、その方は常に自分のスタイルを貫いてて、いつお会いしてもすごく格好良いんです。
井田:基本的にはやっぱり洋服を楽しんでいる人が好き。その人なりにアレンジを楽しんでいる感じがしたら、それだけで見ていて嬉しいんですよね。