楽しくメディアリテラシーを学ぶエンタメ作品
しもむら:劇中で、主人公の女性記者(シム・ウンギョン)の机の前の壁に、「Believe and doubt yourself more than anyone else!」=「他の誰よりも、お前を信じそして疑え!」という走り書きの紙が貼ってありましたよね。あれを見た瞬間、メディアリテラシーの真髄だなぁと思いました。人の言ってる事をそのまま信じるんじゃなくて、自分の眼力を信じる。そのためには、「ソ・ウ・カ・ナ」の裏打ちが必要。と同時に、人を疑う以前に自分を疑う。決めつけていないか? 思い込んでいないか?……と。
かん:メディアリテラシーを学ぶのであれば、この映画自体をも疑う必要があると思います。なんでも陰謀論にしてしまっていないか、なぜマスメディアはこの映画の宣伝をしなかったのか。勉強材料がたくさん見つかる作品です。
しもむら:日本でも今年1月に公開されたクリント・イーストウッド監督の映画『リチャード・ジュエル』は、まさにアメリカ国民のメディアリテラシー不足の被害者になった人の実話。爆弾の第一発見者になってしまったばかりに、爆弾テロの容疑者の疑いをかけられ、人生をめちゃくちゃにされた実在の人物の話です。僕は当時現場にいて一部始終を間近に目撃し、ジュエル氏ご本人を『NEWS23』に招いて報道被害の特集企画を作ったりもしたので、社会が暴走する恐怖を本当に実感しました。
あんな:日本だと松本サリン事件で似たような出来事がありましたが、メディアリテラシーを高めて、二度とそういう被害者が出ないようにしたいですね。実際の事件をモデルにした作品でありながら、「女性記者が情報と引き換えに枕営業をする」という事実と異なる脚色が問題になり、皮肉を感じました。
③『グレート・ハック: SNS史上最悪のスキャンダル』(2019)
あんな:2016年の米国大統領選挙をきっかけに明らかになったSNSの闇を暴くドキュメンタリー。いわゆるフィルターバブルを使って、データ会社が投票行動を操作していた実話を追っています。Netflixで配信中!
かん:自分が同じ状況になった時、果たしてバブルを破れるか? 操作されていると気づけるのか? 正直まだ、自信がありません。
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