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政治1年生のためのメディアリテラシー。長田杏奈&かん(劇団雌猫)がジャーナリストに取材

政治1年生のためのメディアリテラシー。長田杏奈&かん(劇団雌猫)がジャーナリストに取材

情報が溢れる時代の、メディアとの付き合い方

インタビュー・テキスト:かん 撮影:飯本貴子 イラスト:鈴木衣津子(かん似顔絵) 編集:守屋佳奈子、野村由芽 
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楽しくメディアリテラシーを学ぶエンタメ作品

①『新聞記者』(2019)

しもむら:劇中で、主人公の女性記者(シム・ウンギョン)の机の前の壁に、「Believe and doubt yourself more than anyone else!」=「他の誰よりも、お前を信じそして疑え!」という走り書きの紙が貼ってありましたよね。あれを見た瞬間、メディアリテラシーの真髄だなぁと思いました。人の言ってる事をそのまま信じるんじゃなくて、自分の眼力を信じる。そのためには、「ソ・ウ・カ・ナ」の裏打ちが必要。と同時に、人を疑う以前に自分を疑う。決めつけていないか? 思い込んでいないか?……と。

かん:メディアリテラシーを学ぶのであれば、この映画自体をも疑う必要があると思います。なんでも陰謀論にしてしまっていないか、なぜマスメディアはこの映画の宣伝をしなかったのか。勉強材料がたくさん見つかる作品です。

②『リチャード・ジュエル』(2019)

しもむら:日本でも今年1月に公開されたクリント・イーストウッド監督の映画『リチャード・ジュエル』は、まさにアメリカ国民のメディアリテラシー不足の被害者になった人の実話。爆弾の第一発見者になってしまったばかりに、爆弾テロの容疑者の疑いをかけられ、人生をめちゃくちゃにされた実在の人物の話です。僕は当時現場にいて一部始終を間近に目撃し、ジュエル氏ご本人を『NEWS23』に招いて報道被害の特集企画を作ったりもしたので、社会が暴走する恐怖を本当に実感しました。

あんな:日本だと松本サリン事件で似たような出来事がありましたが、メディアリテラシーを高めて、二度とそういう被害者が出ないようにしたいですね。実際の事件をモデルにした作品でありながら、「女性記者が情報と引き換えに枕営業をする」という事実と異なる脚色が問題になり、皮肉を感じました。

③『グレート・ハック: SNS史上最悪のスキャンダル』(2019)

あんな:2016年の米国大統領選挙をきっかけに明らかになったSNSの闇を暴くドキュメンタリー。いわゆるフィルターバブルを使って、データ会社が投票行動を操作していた実話を追っています。Netflixで配信中!

かん:自分が同じ状況になった時、果たしてバブルを破れるか? 操作されていると気づけるのか? 正直まだ、自信がありません。

PROFILE

長田杏奈
長田杏奈

1977年、神奈川県生まれ。ライター。テロップや口調で煽るテレビが苦手で、ニュースはネットやラジオでチェック。新聞は電子版派。センセーショナルな見出しやコメント欄、ニュースの並び順がワイドショーっぽいサイトは避けて通る派。著書に『美容は自尊心の筋トレ』(Pヴァイン)、『あなたは美しい。その証拠を今からぼくたちが見せよう。』(大和書房/6月発売)。『エトセトラ VOL.3 特集: 私の 私による 私のための身体』(エトセトラブックス/5月18日発売)責任編集。

かん

1989年、兵庫県生まれ。書籍『浪費図鑑』等を制作するオタク女子4人組「劇団雌猫」メンバー。何が正しい情報か分からないときは、一回スマホを閉じて、みんなの議論が活性化するのを待つ。新刊はコミック『だから私はメイクする』(祥伝社)。K-POPアイドルSEVENTEENのジョシュアと宝塚歌劇団の芹香斗亜を応援中。

下村健一

1960年、東京都生まれ。令和メディア研究所主宰。東京大学法学部卒業後、TBS入社。報道アナウンサー、現場リポーター、企画ディレクターとして活躍。2000年以降、フリーとして取材キャスターを続ける一方、市民グループや学生、子どもたちのメディア制作を支援する「市民メディア・アドバイザー」として活動。2010年秋から約2年半、内閣広報室の中枢で首相官邸(民主党政権も自民党政権も)の情報発信を担当。東京大学客員助教授、慶應義塾大学特別招聘教授などを経て、現在は白鴎大学特任教授。小学教科書(国語5年/光村図書)の執筆から経営者研修まで、幅広い年代のメディア・情報教育に携わる。ネットメディアの創造性&信頼確立を目指して40団体以上が加盟する「インターネットメディア協会」(JIMA)に、設立理事として参画し、メディアリテラシー部門を担う。著書に『窓をひろげて考えよう』(かもがわ出版)、『10代からの情報キャッチボール入門――使えるメディア・リテラシー』(岩波書店)、『マスコミは何を伝えないか』(岩波書店)ほか。

INFORMATION

書籍情報
『窓をひろげて考えよう』
著者:下村健一

2017年7月20日(木)発売
価格:3,080円(税込)
発行:かもがわ出版
Amazon
※Amazonが在庫切れの場合、各出版社や書店系サイトからお申込みください。

『10代からの情報キャッチボール入門――使えるメディア・リテラシー』
著者:下村健一

2015年4月25日(土)発売
価格:1,760円(税込)
発行:岩波書店
Amazon
※Amazonが在庫切れの場合、各出版社や書店系サイトからお申込みください。

『マスコミは何を伝えないか――メディア社会の賢い生き方』
著者:下村健一

2010年9月23日(木)発売
価格:2,090円(税込)
発行:岩波書店
Amazon
※Amazonが在庫切れの場合、各出版社や書店系サイトからお申込みください。

『想像力のスイッチを入れよう』
著者:下村健一

2017年1月31日(火)発売
価格:1,320円(税込)
発行:講談社
Amazon
※Amazonが在庫切れの場合、各出版社や書店系サイトからお申込みください。

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