私は不安になったとき、鏡を見るんです。「自分ってなんなんだろう」っていう悩みはずっとつきまとっている。
─コムアイさんご自身は、自分の信じるものをどんな風に築いていきたいと思っていますか?
コムアイ:一つのことに頼りすぎないほうがいいなと思っています。収入とかもそうかもしれないですけど、何か一つを信じすぎていると、裏切られたときのショックもすごいと思う。何かを強く信仰していないことは、不幸なようにも思えるけれど、いろんなことの面白さを少しずつ吸収して影響を受けることができるのは良い面だと思います。
─そのためにはまず「自分」というものがしっかりと立っている必要があると思うのですが、自分を信じる力が弱くなっているときに、コムアイさんはどういう風に向き合っていますか?
コムアイ:私は不安になったとき、鏡を見るんです。頭の中で考えていることが膨らみすぎたときに鏡を見ると、どんなことを考えていたとしても自分が意外と普通の顔をしていることに妙に安心するんですよね。「自分ってなんなんだろう」っていう悩みはずっとつきまとっていて、年上の人から「二十代の間は目の前にずっと自分がいるみたいな状態だからしょうがないよ」って言われたんですけど、そういう状態になったときに、手のひらサイズくらいの小さい自分がもう一人いることを想像して、そいつを可愛がるような気持ちでいるとちょっとだけ安心して自分を取り扱えるようになると言われて。
─たしかに自信がなくなっているときって、自分を近くから見すぎることで、かえって自分が見えない状態に陥っている感じがします。そういうときに、鏡を使ったり、小さい自分を想像することで、生身の自分を外側からちょっと引いた視点で見つめなおすことって良い方法ですね。
コムアイ:このコロナの期間中、ずっと一人で過ごしてみて気づいたのは、一人でいるときの人格が100%自分らしいとは思えないということです。これまで誰かと一緒にいることが多かったから、一人でいる時間が一番自分らしいんじゃないかと思ってたんだけど、意外にそうでもなくて。
「確固たる自分」みたいなものって、自分の中からただ湧いてくるわけじゃなくて、鏡が反射するように、そのとき接している相手に対して生まれたリアクションが自分を形成しているんだと今は考えています。
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