米13歳の少女が始めたニュースレター。世界を変えるための第一歩

米13歳の少女が始めたニュースレター。世界を変えるための第一歩

世界の仲間が運営チーム。103の国と地域に読者を抱える

テキスト:後藤美波
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アメリカ・カリフォルニア州サンタバーバラに暮らす16歳のオリヴィア・セルツァーさん。彼女は13歳の誕生日プレゼントとしてウェブサイトのドメインを取得し、2017年に「Z世代によるZ世代に向けたニュースレター」である「The Cramm」をスタートさせました。

「The Cramm」では、その日の世界の出来事から主要なニュースを取り上げて解説し、毎日e-mailと携帯電話のテキストメールで発行しています。これまでに「NPR」や「Teen Vogue」「Forbes」といった大手メディアでも紹介されているほか、いまや103の国や地域に読者を抱え、運営チームも世界に広がっています。「普段から学校で友達といつも社会問題や政治について議論しているし、それはZ世代としては全然おかしいことじゃないと思う」と話すオリヴィアさん。彼女は社会や既存のメディアに対してどのような問題意識を持ち、なぜ自分たちの世代に向けてニュースを発信し続けるのでしょうか。現在高校2年生の彼女にメールインタビューに応じていただきました。

世界のことを知らない限り、世界を変えることはできない

オリヴィアさんが政治や社会問題に特に強い関心を抱くようになったのは、2016年のアメリカ大統領選が大きく影響しているそう。ドナルド・トランプがヒラリー・クリントンに勝利したとき、彼女は12歳でした。

オリヴィア:変化を起こすために何かしなきゃって感じました。本当にそうすることが必要不可欠だと思ったんです。そのような感覚が特に大きくなったのは、2016年の大統領選後のことです。あの時、政府の中で起こっていることが、非常に、かつとても個人的な方法で私たちみんなに影響を与えるんだということが突如はっきりと明らかになりました。

私のおじいちゃんはメキシコからの不法滞在の移民で、おじいちゃんの両親はユダヤ系だったんですが、1900年代初頭にポグロム(ユダヤ人への迫害行為)のためにソ連から逃れてきました。そして私が通っていた中学の生徒の多くは不法移民の子供たちでした。選挙の後は学校の中でも恐怖感が漂っているのがはっきりと感じとれました。

そのような学校の雰囲気の変化も「The Cramm」の誕生にインスピレーションを与えました。

オリヴィア:選挙によって、私や友達たちが学校で話すことと言えばニュースと政治のことばかりでした。でもその時に、私たちの誰も実際にニュースを読んだり見たりしてないってことに気がついたんです。伝統的なメディアはもともと上の世代の人たちによって、その世代の人たちに向けて書かれていて、残念ながら私たちには訴えかけてこなかったんですね。

私はこれはいろんな理由で大きな問題だと思いました。その大きな理由のひとつは、世界のことを知らない限り、世界を変えることはできないからです。私たちに語りかけてくるニュース媒体がないということは、私たちが変化を起こすために必要な道具や情報がないということを意味します。そこで、私はもともと書くことがずっと好きだったので、自分で解決策を生み出そうと決めたんです。それが「The Cramm」です。

オリヴィア・セルツァーさん photo credit: Nathan Congleton

1990年後半から2010年頃までに生まれたZ世代の人々は、物心ついた時からインターネットやSNSなどのテクノロジーが当たり前に身近にある世代です。2004年生まれのオリヴィアさんは新聞など既存のオールドメディアについてこう語ります。

オリヴィア:そもそもティーンやヤングアダルト向けには作られていないですよね。たとえば、テレビでニュースを見ていて、抜け毛防止みたいなCMがやっていたら、私たちよりもはるかに上の世代をターゲットにしているってことは明白ですよね。そして私たちに向けられていなければ、悲しいことに私たちには響かないです。

それから文脈的な障壁もあります。伝統的なメディアは上の世代に向けられているので、読者はZ世代が生まれる前や政治に興味を持つ前に起きた様々な出来事を知っているだろうという前提で書かれている。私は毎朝ニュースを読んでいると、記事の中に自分が理解できない言及があったりして、さらに調べものをしないといけないということがしょっちゅうあります。私は友達に話すみたいにThe Crammを書くだけでなく、ニュースについての重要な背景情報を確実に盛り込むことによって、この両方の問題を解決しようとしています。

The Crammのニュースレターは、毎朝BBCやThe New York Times、CBS、NBCをはじめとする複数の国際的な主要メディアをチェックし、信頼する大人たちのアドバイスや編集チームなどと協力しながら作成されています。ニューストピックはどのようにして選んでいるのでしょうか?

オリヴィア:毎朝The Crammに盛り込むネタを選ぶにあたってはいくつかの要素があります。読者にはみんなが話題にしている最新のニュースストーリーを届けたいと思っているから、その日に世界を賑わせている一番大きなトピックを必ず入れるようにしています。

ただ一方で、私はどんなトピックがメディアに注目されやすいかっていうことにZ世代は大きな不満を持っているということにも気づきました。私たちがもっと注目されるべきトピックだと考えていても、あまりセンセーショナルでなかったら報じられないというような思いがありました。だから私は伝統的なメディアでは扱いが小さいようなストーリーにもスポットを当て、掘り下げるようにしています。たとえばロヒンギャの人々や、中国のウイグルの人々のこと、環境問題なんかがそうです。

The CrammのInstagramでは、Black Lives Matter運動に関連して、寄付先や人種問題に理解を深めるための本、映画、記事、安全な抗議運動の方法などを紹介している

毎日送られるニュースレターは「THE HIGHLIGHTS」「THE ACTION」「WHAT TO KNOW」「SAY WHAT?」という4つのシンプルな構成になっていて、本文に画像はなくテキストのみ。各トピックの要約や解説に加えて、本文にはそれらを詳細に報じた大手メディアのニュース記事へのリンクが貼られています。

オリヴィア:もともと、5分くらいで読めて、それでいて読者が世界を変えるのに知っておくべきことを知ることができるようなニュースレターを作りたかったんです。「THE HIGHLIGHTS」でその日一番の話題を掘り下げつつ、もっとポップカルチャー寄りだったり、ユーモラスなネタもいれたかったので、「WHAT TO KNOW」「SAY WHAT?」がその役目を果たしています。

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