米13歳の少女が始めたニュースレター。世界を変えるための第一歩

米13歳の少女が始めたニュースレター。世界を変えるための第一歩

世界の仲間が運営チーム。103の国と地域に読者を抱える

テキスト:後藤美波
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The Crammは私の無力感から生まれた。アメリカ国外の読者との出会いで世界の見方も変わった

The Crammで驚くべきことのひとつは、様々な国の年齢も異なる若者たちによる運営チームを組織していることです。たとえば「メディアチーム」はザンビアの15歳がチームリーダーを務め、アメリカ・オレゴン州の12歳やフィジーの13歳がチームメンバーに名を連ねています。

オリヴィア:The Crammの運営をサポートしてくれる「The Cramm Fam」は私が最も誇りに思っていることのひとつです。世界中の色んなところに住む500人近いティーンとヤングアダルトで構成されているんですが、どの人もどうしたらThe Crammに関われるかって自分からコンタクトしてきた人たちなんですよ。それでいくつかのチームを作ったんです。

エディトリアルチームはリサーチを助けてくれたり、ニュースレターに入れる若者へのインタビューをやったりします。メディアチームが担当するのは、グラフィックデザインとか映像編集とかメディアに関すること全部。オーガナイジングチームは、オンライン、オフライン両方でのイベントの企画運営チーム。ソーシャルメディアチームは、InstagramとTwitterの運営をサポートしてくれています。今はTikTokとSnapchatもやろうかなって考えているところ。

オリヴィアさんはThe Crammの創刊後、様々なイベントでスピーチなども行なっている

世界各国に散らばっているのは運営チームだけではありません。様々な国の読者との出会いは、オリヴィアさん自身の世界の見方にも変化をおよぼしたといいます。

オリヴィア:読者からの反応は本当に素晴らしいものばかりです。こんなに多くの人がThe Crammを読み、私が願っていたように実際に使ってくれていて、いつも本当に嬉しく思っています。これは想像もしてなかったことなんですが、読者の半分以上がアメリカ国外の100以上の国の人たちなんです。その結果、世界のたくさんの場所の若者とつながる機会を得ました。これは私の視野を広げてくれたし、同時に私たちはみんなすごく似ていて、似たような問題に直面しているんだと気づかされました。

私はすごく繊細な人間なんです。自分に直接関係していないことでも、悲しいことはすごく深く受け止めてしまいます。The Crammは私の無力感から生まれたものなんですよ。2016年の選挙の時は(そして今も)投票できなくて、自分でどうしたらいいかわからないから、世界で起きていることに押しつぶされそうでした。そういう意味でThe Crammは対処メカニズムみたいなものかもしれません。私はこの年齢でも変化を生み出そうとする方法を見つけました。そうすることで、世界で起きてるいろんなひどいことに向き合うのが少し楽になりました。

オリヴィア・セルツァーさん

オリヴィアさんが変化を起こそうと自身のプロジェクトを始めたように、The Crammにインスピレーションを受けて行動を起こすようになった読者もたくさんいるそう。

オリヴィア:チャリティー運動に関わるようになったり、自分で運動を始めたり、デモや行進に参加したっていう若い読者もいます! 学校で政治について議論したり現在の課題について問題提起する月一のアクションを起こすクラブを始めたとか、投票に行ったっていう人も。重要だと思う問題について人と話すようになったばかりだという若い読者もいますが、それも変化を起こすための貴重な第一歩だと思います。

オリヴィアさん自身がインスピレーションを受けている同世代のアクティビストやアーティストにはどんな人がいるのでしょうか?

オリヴィア:たくさんいます! マララ・ユスフザイ(2014年にノーベル平和賞を受賞したパキスタンの人権活動家)は私がすごく共感すると感じた最初のアクティビストのひとりで、いまも彼女のことは憧れています。それからナディア・オカモト(ホームレスの女性に生理用品を配る活動などをするNPO団体「PERIOD」を16歳の時に設立したアメリカの起業家・活動家)も素晴らしいと思います。彼女の団体「PERIOD」は、他の多くの組織が取り組まないような問題の解決に取り組んでいるから。「March for Our Lives」や「Fridays For Future」といったムーブメントのことも、とても応援しています。

The CrammのInstagramではアメリカの各州ごとに選挙の投票日や情報も紹介

オリヴィアさんの世代と上の世代で、社会問題への意識やアプローチの違いあるとしたら「緊急度」なのではないかオリヴィアさんは語ります。「私たちが解決しないと変わらない」という危機感と自負が彼女たちを突き動かしているようです。

オリヴィア:気候変動みたいな問題は、私たちにとって緊急の問題だっていう感覚が染み込んでいると思います。世界がいま直面している数えきれない問題のいくつかについて、私たちの世代が最後の砦なんじゃないかと感じているのは私だけじゃないと思う。私の世代から見てきた共通のテーマがあるとすれば、私たちはアクティビスト的な意識が非常に高いということだと思います。問題を先延ばしにするんじゃなくて、真正面から向き合う準備ができてる。だって私たちには先延ばしにする余裕は本当にないから。

日本でも若者の政治参加意識や投票率向上についての議論が行なわれています。若い時から社会問題や政治に積極的に関心を持てるようになるにはどのような環境づくりが必要なのでしょうか。

オリヴィア:私は、若者が上の世代の人と一緒に議論に入れてもらうということが本当に必要だと思っています。私たちが未来の──そしていくつかの場面では現在の──世界のリーダーであり、変革者なんです。そして世界で起きていることは、私たちの両親や祖父母たちと同じように、私たちにも関係があります。もし若者がもっと発言権を与えられて、私たちが変化を起こすことができる人間だと扱ってもらえれば、もっと関心を持って声を上げることができるようになると思います。

最後に、日本でかつてのオリヴィアさんのように政治や社会問題についてもやもやした感情を抱えている、同世代の読者に向けてメッセージをいただきました。

オリヴィア:ニュースを見て圧倒されてしまうという感覚はすごくよくわかります。私もとにかく自分の手に負えない感じがして、かつてはニュースを読んだり見たりするのが辛かったです。でも社会のいろんな問題を無視したからって、その問題はなくなりません。ニュースを追いかけることを選ぼうがそうでなかろうが、私たちの世界に影響を及ぼす悲劇や問題は存在し続けるんです。時間をかけて学んでいけば、変化を起こすきっかけを自分で生み出すことができると思います。私が好きなアルベルト・シュヴァイツァーの言葉を紹介します。「誰も、目を閉じて見ようとしなかった苦しみを存在しないものとみなしてはならない」

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