台湾からの交換留学生の役で、初めて出演した日本映画『恋愛奇譚集』。最後のシーンで、私はこのようなセリフを言った。
「恋愛は奇跡だ。その言葉はばかばかしく聞こえるかもしれないけれど、恋愛によって誰かの物語の登場人物になることができる」
人との出会いもまた、恋愛のような奇跡であり、試練でもある。世界中にこんなにたくさんの人がいるのに、なぜ私達が恋人同士になるのか? なぜ私は君と友達になるのか? なぜ私達は同じ教室で授業を受けているのか? 社内ですれ違うのか?
最近、こうした人との出会いは、すべて必然的なものだと感じるようになった。宇宙のような広い空間の中で、惹かれ合う運命が重なり、それが人々の出会いにつながっているのだと。
出会いの奇跡の話として、一つの例を挙げたい。私が女優の小松菜奈さんのことが大好きだということは、友人の間でよく知られていた。私が台湾映画『共犯』に出演したときに、小松菜奈さんと雰囲気を比較されることが多かったこともあって、これも一つの縁だと感じ、いつか彼女に会いたいとずっと願っていた。
あるとき、小松菜奈さんが台湾に訪れ、当時私がアルバイトをしていた古着屋さんに行ったそうだが、その日はたまたま私がお店にいない日だった。いろんな人が彼女とツーショット写真を撮っているのを見て、すごく悲しくなった。当時は、所属事務所との間で契約トラブルがあり仕事ができず、自分の無力さに対し腹立たしく感じていた時期だった。そんな時期に小松菜奈さんに会えなかったこともあり、「なぜ、神様はわずかな幸運さえもくれないのか」と心の中で嘆いていた。
その後、所属事務所とのトラブルも解決し、様々な人のサポートがあって、日本で『共犯』の宣伝をするチャンスを得られた。辛い時期を乗り越え、仕事への自信も回復し、そしてずっとそばにいてくれた友人達を大切に思っていたことで、物事が次第にうまく行き始めた。日本で宣伝する期間中に、いろんな方のサポートのおかげで雑誌『装苑』にも出ることが決まって、夢のようだと感じた。
日本に出発する前に、『装苑』の編集者が「日本で会いたい人はいますか?」と訊いてきたので、無理だと思いながらも「菜奈ちゃんに会いたい」と答えたら、本当に彼女と一緒に仕事をする機会を得られた。そのときの私の日本語レベルは、今のようにコミュニケーションができるレベルではなかったので通訳を通さないといけなかったが、一緒に撮影し、彼女の隣に座って話す様子を実際に見られたのは、未だに夢のようだ。
この経験は恋愛のストーリーではないけれど、宇宙の中に潜んだ「出会いの力」を強く感じた。私が伝えたいのは、好きだという想いが強ければ、その引力に引きつけられるということ。心の中に世界に対するポジティブな気持ちと情熱を持って、好きな人と同じ空気を持ち続ければ、いつか会いたい人に会え、叶えたい願いも叶えられると思う。
疑わず、真摯な態度で人と接していれば、誰もが自分の願いを叶えてくれるキーパーソンになるかもしれない。私が『装苑』に出る機会を作ってくれた友人達とも、偶然出会い、仲良くなったことがきっかけだったように。
「人との付き合いは、頭で考えるよりも心の声を聞くべし」と、私の演劇の先生が言ってくれた。毎日一緒にいる、好きな人に対しても同じだと思う。自分を大切にし、楽しい人になることができれば、周りの人も幸せになり、みんなが幸せになれるのだ。