タトゥーシールブランドopnnerを立ち上げた理由/Kaho Iwaya

人生って好きなことに一生懸命になるしか時間がない

2018年2月 特集:超好き -Ultra Love-
テキスト:Kaho Iwaya 編集:竹中万季
  • SHARE

私は3年前にopnner(オプナー)というタトゥーシールのブランドを作り
日本でタトゥー文化を広めていくために活動しています。
タトゥーシールを作り続けているのは
何も特別なことではありません。
私が好きなタトゥーを、opnnerを入り口として
少しでも多くの人に知ってほしいからです。

opnner「THE DAY」

昔からずっとタトゥーには憧れがあって
高校生くらいの時からボールペンで腕とかに
イタズラ書きをしていたのですが、
それが着ていた服に移っちゃって白い服が汚れたんです。
それが嫌でシールにしたのがきっかけ。
それから「売ってみたら?」と友人に誘われて
大学3年の時にopnnerを始めました。
正直その時は別にこれが仕事になるなんて思ってもみなかったし
「なんでタトゥーなの?」と聞かれた時には
なんとなく、としか言えませんでした。

その夏、知り合いからとても面白い街だと聞いていたポートランドに行きました。
今思えば、そのために一年間必死にお金を貯めていたのは、
闘病していた母と、看病していた父にいい報告がしたい、
そして、はじめての海外旅行を成し遂げたい、
そのことで頭がいっぱいだったからだと思います。

そこで日本では絶対にタトゥーはNGって言われるような職種の人たちが
最高にカジュアルに、
自由にタトゥーを楽しんでいるのを目にし
衝撃的だったのと同時に
なんで日本ではダメなの? と強く感じました。

日本ではなんでタトゥーをしていると銭湯に入れないんでしょう。
「タトゥー=ヤクザ」というイメージがぬぐえないからでしょうか。
たとえタトゥーが入っている人が悪いことをしたとしても
決してタトゥー自体が悪さをしているわけじゃない。

偏見の目で見られることが多いけれど、
タトゥーにまつわる伝説はいくつも存在していて
そこで共通しているのは
「神からの贈り物」とされていることです。
現在の日本で偏見の目で見られているタトゥーは
一部の地域では自己を守るためや、平静を保つためのものとして
受け継がれています。
そうやってなんとなくダメとされているものが
昔から不思議で。
ああ、これを変えたいって思ったんです。
変えるためにopnnerを続けようって。

Home-made tattoos : for Christine, every direction you can walk & talk in. Traded for dinner. x

stanislava pinchukさん(@m_i_s_o_)がシェアした投稿 –

ウクライナのタトゥーデザイナー、stanislava pinchukのタトゥー(Instagram

タトゥーに限ったことじゃない。
「なんとなく」で考えてしまっていることはたくさんある。
女は、男は、子供は、親はこうあるべきだとか、
結婚は30までにした方がいいだとか、
温泉が好きならタトゥーはいれない方がいい、だとか。
不思議なshouldはあなたの周りに
思ったよりもあることに気付くと思います。
けれど、あなた自身が本当はどう思っているのか考えてほしいんです。
本当にそうでなければならないことなのかって。

opnner「flower garden」

就活しなかったことや、会社に入らなかったこと、
いろんなことを周りの人に言われ、
腸が煮えくり返り泣いた日もあったし
卒業してもopnnerを続けるか
葛藤も迷いももちろんあった。
けれど、闘病していた母が亡くなり、心も体もボロボロで
ちゃんと落ちこむ暇もなく毎日忙しくしていた私は
冬にストレスで倒れ、右耳が聞こえなくなりました。

自分は無限に頑張れると思っていたけれど
そうじゃなかったです。
無理をし続けていたら自分にバレました。
体力は有限でした。
「やっと休めた」とベッドの天井を見ながら思ったことを覚えています。
大好きなビートルズの曲が流れたとき、
片耳でも全部の音が聴こえるモノラルの素晴らしさに感動しました。

その入院生活を経て
今までできていたことが
できなくなっていることに気づくんです。
その時に、
「ああ、そもそも人生って好きなことに
一生懸命になるくらいしか時間も体力もなくない?」
って、直感的に感じました。
好きなことに、丁寧に、真面目に、本気で向かわないといけない。
周りがとやかく言おうと、どんな道を選ぼうと、
結局その道を進み続けるのはあなたじゃないかと。

自分の人生を人に決めさせるべからず。
なぜタトゥーのことが好きかずっと言葉にできなかったけれど、
きっとタトゥーは自分で選んだ道を進んでいく時の
パートナーとなってくれるからだということがわかりました。
毎日の励みとなり、共存していくことができるからです。
正直、このくらいの励ましがないと生きていけません。

opnner「閑雅な食慾」「その襟足は魚である」

私の右腕には、家族全員の誕生日を足した数“8”と、
友人の雑誌で見つけた“WIDENS THE HORIZON”という言葉から
8cmの一本線のタトゥーが入っています。
ただの一本線に見えるけれど、これは私にとって“地平線”です。
どうしようもなく辛い日、
どうしてもひとりで立ち上がらないといけない日、
この印があると微々たる差でも心が少し元気づけられます。

ファースト作品集のタイトルも『HORIZON』に

人と比べられない体になったからこそ、
人と比べることの無意味さをひしひし感じます。
私は誰とも比べません。
幸せは比べた先にありません。
人と違う自分をどうか誇りに思ってほしい。
私がタトゥーシールを作っているのは
あなたがあなたでいるために
ちょっとした励ましを送りたいからです。
なんでもない日バンザイです。
なんにもない日こそ、タトゥーを身につけて
ふと見て嬉しくなってもらえますように。

優しいあなたがバカを見ない
世の中でありますように。

私は茨木のり子さんの
「自分の感受性くらい」という詩が大好きです。

その詩には
「自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ」
とあります。

好きなものを好きと言えることは
きっとあなたをいつもよりあなたでいられる明日に連れていってくれます。
おだやかに優しく、人をはからず
Tシャツとサンダルで走っていけるように、
何も飾らずに、明日からも健康に生きていきましょう。

好きだと思った自分の気持ちを信じていると、
いいことありますよ。

愛を込めて

opnner

PROFILE

Kaho Iwaya
Kaho Iwaya

ポートランドのタトゥー文化に影響を受け
日本のタトゥー文化を拓くため
2015年opnner(オプナー)を立ち上げる
ゆるくてさりげないタトゥーシールを制作販売する他
タトゥーの図案も担当する
本の挿絵、もともとフリーペーパーを作るなど
デザインにも興味がありワインのラベル、ロゴなども制作
タトゥーというのは、体が変わろうと人生を共存できる
最高の励ましであって、永遠のジュエリーです
そのことを伝えたくて、こういうタトゥーもあるんだと
タトゥーのイメージを変えるそんな入り口になれるように
opnnerをスタートさせ、今も続けています

INFORMATION

リリース情報
リリース情報
opnner first book
『HORIZON』

2018年1月1日発売
価格:2,100円
https://www.opnner.com/

タトゥーシールブランドopnnerを立ち上げた理由/Kaho Iwaya

SHARE!

タトゥーシールブランドopnnerを立ち上げた理由/Kaho Iwaya

She isの最新情報は
TwitterやFacebookをフォローして
チェック!

setsuna-nail-a

毎月の特集と連動した色をつめにぬる。「Setsuna Blue」