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リサイクルショップを巡って1万円以内で買い物をしよう/横澤琴葉

「#1万円の使い方」企画その2。デザイナーが服をディグ

2018年9月 特集:お金と幸せの話
テキスト・撮影:横澤琴葉 編集:野村由芽
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10,000円以内で服を買うためのルール

みなさんこんにちは!
以前、勢いだけで服をつくる記事を書かせていただいた横澤です。
今回は10,000円以内で服を買おう! ということで
文字通り10,000円以内で服をいくつか買いに行きました。

一言に服といっても、様々なものがあります。
何を買うかによって10,000円では1着も買えなかったり、
逆に買おうと思えば100枚くらい買うこともできます。

ちなみに私はkotohayokozawa という名義でブランドを運営しているのですが、
10,000円以下で買っていただけるものはほぼないです……。
決して手軽に買っていただける値段ではないからこそ、
買っていただいてる皆様には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
皆様に生かされております。

せっかくの機会なのでいろんな場所で異なる価格のものを買いたいと思います。
なので今回、あるルールを設けました。
「リサイクルショップを巡って10,000円以内で買い物しよう」

・100円 5点
・500円 1点
・1,000円 1点
・2,500円 1点
・5,000円 1点
TOTAL 9点 9,500円

お店に行く前に、このように買う予定のアイテムの価格と数を決めてしまいました。この値段でどんなものが買えるのでしょうか!
この決められた価格に通りに買い物できるよう頑張ります!
(もちろん、自分でグッときたものを買います、やたらめったらは買いません)

100円:自分の琴線に触れる1点を見つけ出すことが醍醐味

まずは100円の古着といえばここです。

そうです、我らが「たんぽぽハウス」です。
もう店頭に100円のコーナーがドーンと設けてありました。
信じられないほどの量の服が100円で売られています。
レコード屋さんで曲を探す如く、古着をディグっていきます。

文化祭のクラスTみたいなテンションの服が押し寄せてきます。
前の持ち主さんに想いを馳せつつ、
そんな中で自分の琴線に触れる1点を見つけ出すことが醍醐味です。
古着選びというものは、等価交換みたいなもので、
安く服を手に入れるためにはものすごくエネルギーと時間を要します。

15~20分ほど検討した後、5点古着を購入しました。
計500円です(安すぎて胸が痛むョ)。

500円:そこまでカロリーを消費することなく割とすんなり選ぶことができた

さて、次は1着500円で買うことができる古着屋さんが
家のとても近くにあったのを思い出したので翌朝行ってみることにしました。

わかりやすい! このお店はタグがついていないものは基本的に500円です。
老若男女が通う、街の古着屋さんって感じです。
結構最近のものと思われるものから良い風合いが出ているアメリカ古着などもありました。
そんな中、キラリと光るやばいアイテムを見つけてきました!
1点購入で500円でした。
ここではそこまでカロリーを消費することなく割とすんなり選ぶことができました。

1,000円と5,000円:状態が良かったり、有名なブランドのアイテムが多く、普通に結構迷う

次のお店に行きましょう。ちょっとずつ価格が上がっていきます……!

2nd STREETに来ました。
最近は私の地元(名古屋の外れ)などもこの手の古着屋さんが増えてきています。
郊外は服屋より古着屋さんのほうが多くなっているようにも思います。

店内を見ていると、様々なブランド古着が並んでいます。
中には先シーズンのものなんかもありました。
これ、この前ショップで買おうと思っていたやつ! というものも。
1,000円の服を買うつもりで来たはずが、5,000円のやつもここで買っちゃいたいな~などと考えながら選んでいたのですが
次から次へと目に入ってくるブランド名と価格を眺めながら
「世の中服めっちゃある……もう服いらん……」と、だんだん気が滅入ってきてしまいました。

もしかすると使命感に駆られた買い物というのはあまり良いものではないのかもしれません。
でもそんな気持ちになりながらも何とか買いました!
相場が決まっているわかりやすいブランドのものを買うのも野暮な気がしたので
ブランドは不明ですがチャーミングな5,000円と1,000円のアイテムを購入。

ここでは一定の水準を満たしたアイテムがほとんどのため、
状態が良かったり、有名なブランドのアイテムが多く、普通に結構迷いました。

2,500円:欲しいものがたくさんあったが2,500円のものを買うことに集中

で、最後に2,500円のアイテムを買うために来ました!

ドンドンダウンです!(もう結構ヘトヘトになっている)
ここは毎週水曜日に商品の価格が下がるのが特徴です!

このフルーツのマークが1週間ごとに下にずれていきます。
待っていれば安くなるけど、いつ誰が買ってしまうかわからない。
フルーツや野菜に鮮度があるように購入者に買い時を委ねられているんですね~。

でも2,500円の枠がありません……。
他のお店に行くか、と思ったのですが
この値段表ルール以外の固定の価格が設定されているエリアもありました。
普通の古着屋さんと同じ感じです。ここが高円寺店ということもあり
客層は若く、トレンドを押さえているアイテムが多かったです。
2,500円じゃなくても普通に欲しいものがたくさんありましたが
今日は2,500円のものだけに集中しようと我に帰り、購入。
ようやくここで最後の買い物を終えました。

10,000円以内で買った服たちをお披露目

では!
ここで購入したアイテムを全てお披露目します!

ジャーン……!

何でしょう。この何とも言えないニュートラルさ。
こうして見ると誰かの秋のワードローブという感じです。
「全部で10,000円以内でした!」と言われてもいまいちピンときません。
価格の内訳を見てみましょう。

この色とジップアップが2000年代感満載のジャケット。

愛おしいテロテロ感がたまらないキャミソール。

前開きがスナップボタンという最高なデニムジャケット。

先ほどのベージュのジャケットとセットアップしたい万能パンツ。

エスニックな柄のトップス。胸元の切り替えがアクセントになっていて良いです。

吸い込まれそうな柄のカーディガン。実物はもっとすごい。

お花が閉じ込められた、誰かの強い思い入れすら感じさせるネックレス。

どうやら吸い込まれる系の柄が私は好きなようです。
普段は襟があるものが苦手なのですが、これには吸い込まれました。
襟先が現代には見ない尖り方をしていますね。

このバッグはよーく見ると細かい金属のパーツが繋がれて出来ているのです!ハードな素材とは裏腹にくたっとした形が憎い!

100円はまさかのアウターアイテムでした。
もうわっかんないですね。
100円を100個買うということもできたんです(100円×100点=10,000円)。
でも全部100円均一でしたって言われても、それはそれで正直へえ~って感じです。
1,000円と5,000円のものをアクセサリーとバッグにしてしまったのも、
より比較しにくくなってしまった原因かもしれませんが
色々と巡って買い集めて来た私からすると、1つずつ全部愛おしいですね。とても可愛い。

値段とは一体何なのでしょう?
今回の企画を通して、自分にとってその商品がふさわしい値段かどうかを判断するには時間と経験というものが重要なことに気がつきました。

ものを探すのって時間や知識が必要です。
100円で自分の気にいる服を探そうと思ったら、
それなりに自分のファッションに関する知識や
自分のスタイルの軸を持っていなければなりません。
膨大な情報量の中から、全身全霊で探す覚悟と時間が必要です。

数千円、数万円の買い物をする時は、ブランドやお店、ファッションビルなど
自分が好きだなと思う場所に足を運び「ある程度絞られた選択肢」の中から好きなものを選ぶわけです。
これが一般的なお買い物の体験かと思います。

古着屋さんにもこれが言えます。
今回はセレクト系の古着屋さんには行っておりませんが、
バイヤーさん(お店の商品を買い付ける人)がお店のコンセプトに合う商品を
国内外に買い付けに行きます。古着に関する知識や相場も把握していなければなりません。
ものすごく時間と労力がかかっているわけです。

このバイヤーさんの仕事を「どこまでお客さんがやるか」というところで
価格が大きく変わってくるのだと思います。
極端に言ってしまえば、激安だけれど雑多なものが置いてあるお店では
お客さん一人一人が自分でバイヤーをしないといけないのです。
(もちろん買取査定をする店員さんはいますが)

今回、リサイクルショップで琴線に触れるものを見つけようとするには「時間と経験」が必要であり、
人がものを買うということは、「値段、出会い方、時間、どこにエネルギーを注ぐか」を自分で知っていることが大切だと実感しました。
ファッションって、こんなに価値が移ろいやすいものなのですね。

実験の過程で、途中で5,000円の枠をセレクト古着屋さんなどで購入し、
お店の人と会話して、「セレクトすることによる付加価値」についての考察を書けたらよかったな……とも反省しましたが、そういう気付きもまた宝物なのかな。
それについてはまたの機会に考えたいと思います。
私もいつか自分の価値観で価格をつけたお店をやってみたいです。
1日だけでもいいから。

さあ今回はここまで!
明日からも何かしらの服を身にまとい、
暑かったり寒かったりなんかダサかったり、失敗と成功を繰り返しながらも
元気に楽しい日々を送れますように!

PROFILE

横澤琴葉
横澤琴葉

1991年愛知県生まれ
名古屋市内のファッション専攻の高校を卒業後、上京。
エスモード東京校に入学し、その後アパレル企業にて
デザイナーとして勤務しつつ、ここのがっこうに通う。
退職後、再びエスモードAMIに通い
2015年3月よりkotohayokozawaをスタート。

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