クッキーを割ったら言葉が出てきた
こんな小さな紙切れに 何がわかるといって
割れた欠片を 飲み込んだ後も
その言葉は 飲みくだせないまま 残った
何かを探しているとき
目に映るすべての言葉は
誰かからのメッセージのように見える
それを読んでもいい
気に入ったなら あなたの足しにしてもいい
ただ ひとつだけ約束
言葉があなたの湖に投げ入れられたときに
どのように響き
どのように 水面が揺れたのか
決して 聴き漏らさないように
運命について考える余裕もないほどに
明け渡して 無防備なときに
運命はあなたを運ぼうとする
思い出しなさい
震える魂の音を
本当はそれだけでいいと 知っていることを
何も持たない者になりなさい
最後に残された光が あたりを照らすように
生み出しなさい
夜空を照らす 一等星を
報われなくていい
私の愛は
一途であればそれでいい
息をしなさい
心の中にあるすべての窓を 開け放すように
ちょっとチクっとします
でもすぐに終わります
新しく始まる日々に
あなたを放ちます
痛かったら右手を上げて
最初に止まった車に乗ってください
忘れなさい
すべて許された頃に また
夢で会えるように
届かない手紙を書きなさい
あなたがついに言えなかった言葉が
誰かの湖面に触れるのも
それもまた ひとつの運命
運命がもしあるのなら
終わることもまた決まっていたのだろう
ふりかえってみれば
あなたに出会えたことで
私は私に出会えた気がした
出会わなければ歩まなかった道を
私たちは歩いて
上りきるところで その道は分岐した
本当はずっと
同じ道を歩いていけたらよかったけれど
短い坂道のような あの道で摘んだ
草花 花火 焚き火 落ち葉 言葉
もう二度と取りに戻れない日々が
今の私を支えている
たった一度だけすれ違って
光を見せてくれた あなた
始まって 終わるまでが 私たちの歩む道だった
それでも
私は一度だって
あなたの魂から目を逸らさなかったのだ