子どもの頃から「朝おやつ」「3時のおやつ」「夜おやつ」を楽しみ、鍛えられた目で選んだ3つのお菓子
味わってしみじみおいしいもの。見るからに色や形が愛らしいもの。土地柄や人柄を感じたり、気持ちが和やかになれるもの。ずっと、そんなお菓子が好きで好きで仕方がなかった。
好意を寄せるお菓子を一人で食べるのは味気なく、独り占めするより誰かと分かち合いたい。「おいしいね」「かわいいね」「また一緒に食べようね」、月並みながら光のような言葉を口にすると、その場もお腹も気持ちまでも、さらにふっくら満たされた。
子どもの頃から、1日のうちでなにより楽しみなのは3時のおやつどき。私の両親は共働きで、家族揃って3時のおやつを過ごせるのは週末だけと限られる。そのため、毎日の夕食後や、日曜日の朝、食後のデザートや朝食時に食べるちょっとした甘いもの、近所では手に入らない珍しいお菓子を、「夜おやつ」「朝おやつ」などと呼び変えて、おやつの時間を家族でともに味わった。
大人になってもその習慣は続き、「3時のおやつ」の他に、「朝おやつ」「夜おやつ」を楽しむ日々。そんな中、3タイプの「家族で食べたいお菓子」を選びました。
大地のかりんとう(塩・黒糖)
三重に生まれ、今は岐阜で暮らす和菓子職人「まっちん」と、明治時代創業の老舗油問屋「山本佐太郎商店」が、ともに手を取り合って完成させたお菓子「大地のおやつ」シリーズ。子どもから年配の方まで毎日安心して食べられるように、30年後も変わらず愛されているように、願いを込めて作られています。
どれも、大地の上で力強く育った、体に優しい素材を厳選することで、余計な材料を使わずともおいしさが際立ちます。国産大豆のおから、愛知県産の小麦粉、粗糖で作る生地を、圧搾一番搾りの菜種油でカラッと揚げた「大地のかりんとう」は、噛めば噛むほどじんわりと、体中に滋味が広がります。ほんのりと塩がきいた半和状の「塩」と、ほっと和む波形の「黒糖」、2種類のうちどちらかを。
浮き星(いちごとシュガー)
古くから新潟で「ゆか里」と親しまれてきたお菓子を、新潟を拠点に活動するクリエイター集団「hickory03travelers」が、名前やパッケージなどをあらたに監修。一見するとこんぺいとうのように見えるけれど、もち米製のあられに砂糖蜜をかけた素朴なお菓子。昔は新潟市内の何軒もの菓子屋が作っていたそうですが、現在伝統の味を守るのは明治33年創業「明治屋ゆかり店」のみ。
100度近い大釜で時間をかけてあられに砂糖蜜をまぶし、その後フレーバーで味付け。なんと完成するのに9時間もかかるそう。
そのまま食べてもポリポリとした食感や甘い風味を楽しめますが、お椀に入れた浮き星にお湯を注ぎ、浮かんでくるのを眺めてから飲むのが本来の味わい方。なんともロマンチックです。
コーヒー、ソーダ、アイスなど、いろいろな食べ物と組み合わせても。パッケージのワンポイントは、新潟に飛来する白鳥がモチーフ。
浮き星をサイダーに注いだ様子。
甲斐みのりオリジナルこけし入りからからせんべい(全4種類)
「からからせんべい」は、山形県庄内地方の郷土菓子。江戸時代から伝わるお菓子で、元祖・食玩とも言われています。三角形に畳んだ黒糖風味のせんべいを手で割ると、中には和紙で包まれた玩具や民芸品が入っています。昔はふると「からから」と音をたてたことからこの名前がつきました。
通常は中にどんなものが入っているか、せんべいを食べてからのお楽しみですが、こちらには必ず、甲斐みのりが宇佐美煎餅店に特別に発注した、オリジナルのミニこけしが入っています。こけしは全部で4種類。さて、どんな子と会えるでしょう。あれこれ想像を口にしながら、慎ましやかにこっくり甘いせんべいを噛みしめてください(玩具・紙は食べないよう、特に小さなお子さまには注意してください)。
家族の形は人の数だけさまざま。こうあるべき、これが幸せなどという決まりも手本もないように、お菓子も好きなように味わってください。
家族でのひとときが、甘いお菓子で彩られるように。
一人でも、過去や未来に繋がる、家族の風景を思い描きながら。