朝4時ごろ。
いつも夜明け前のまだ暗いうちに目が覚める。これは大学生の頃からずっとだ。
同室の子を起こさないようにそっと部屋を抜ける。リビングは食べ物の匂いやお皿やお菓子の食べ残しなんかでテーブルやキッチンが散らかっている。昨日誰かがパーティでもしたらしい。
私はモデルをしていて、今(2019年7月時点)は香港で出身も年齢もバラバラな女の子たちとアパートに住んでいる。
私たちは毎日決まった時間に仕事があるわけじゃない。ぐったりするほど仕事で忙しい日が続くかと思えば、下手をすると二週間くらい休みの日が続くこともある。そんなだから、みんな休みの日の過ごし方のバリエーションが豊富だ。
夜な夜などこかへ出掛ける子、バケツみたいな容器からアイスクリームを食べる子、日記を書く子。海に行く、動画を見る、ひたすら寝る、ひたすら歩く……。
はじめはあまりに暇な日が続くと途方に暮れていた私も、今ではそんな日を過ごすのが結構上手になったように思う。
そして今日は仕事がない日だ。
少しずつ夜が明けていくリビングで、Googleマップに片っ端から保存しているギャラリーや美術館で、今どんな展覧会をやっているかチェックする。
こっちでの休みの日は、たいがいギャラリーに行く。美術館も行くけど、そこまで数は多くない。
元々アートに興味がある私にとってギャラリーは慣れ親しんでいる場所なのだけど、こっちに来てから日本にいた時以上に足を運ぶようになった。
それはなにせ暇だから……というのももちろんあるが、展覧会の空気の中に身を置くと、身体と心が少しだけゆるむような気がするのだ。ギャラリーや美術館は、ある共通した雰囲気を持っているような気がする。そしてそれは違う国でもあまり関係ないみたいだ。だから、例えキャプションが殆ど読めなくても、一歩入ると安心する。ああここは私の場所だ、だから大丈夫。そんな風に。
だから、私のGoogleマップはそれらの場所をお気に入り登録した星印だらけになっている。
いっぱいサイトを開いては閉じて、今日行くギャラリーを決めた。
その頃には、もう殆ど夜も明けている。
Googleマップで星印をつけたところ
・ギャラリー
H QUEEN'S
幾つか現代アートのギャラリーが集まっているビル。中環なのでアクセスも良い。
Empty Gallery
現在アートを扱っている。個人的に一番好きなギャラリー。入り口にクセがある。
大館 古蹟及藝術館
刑務所の建物を利用したアート施設。
滞在当時、村上隆が個展をしていた。
・ギャラリー以外
老二花廳
イートンHK
ホテルだけど、たまにアートの展示やオシャレなフリマなどのイベントをやっている。