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私たちがもとめる生理用品の広告を、私たちがつくる/杉田ぱん

シスターフッドな商品のビジュアル撮影。心がけたことは?

2019年9・10月 特集:よそおうわたし
テキスト・撮影:杉田ぱん 編集:竹中万季
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いま、生理がくる人たちへおすすめしてまわりたい、まったくあたらしい時代のサニタリーショーツがある。生理の不快感から解放してくれるショーツを相棒にして、思う存分、好きなものにくるまって、よそおって、私たちが快適に、より自由に暮らしていけたらうれしい。

今年の春から働いているLOVE PIECE CLUBはフェミニスト目線で世界中からセクシュアルヘルス、セクシュアルウェルネスにまつわる商品をセレクトしているショップだ。
まるでインテリアかのような感度の高いセックストーイや機能的なサニタリー、安心して使えるオーガニックのデリケートゾーン専用ケアアイテムなど、LOVE PIECE CLUB、通称「ラブピ」で扱っている商品は女性がほしかったものを、女性たちがつくる、シスターフッドな商品が基本。中でもいま、生理がくる人たちを中心にすごい勢いで求められている商品が「ムーンパンツ」だ。

ムーンパンツとは台湾の女性たちによってつくられた、あたらしい時代のサニタリーアイテムで、なんと、ショーツそのものが経血を吸収する、ナプキンいらずのショーツである。月経カップもまだあまり店頭に並ばない、サニタリー鎖国にあっているような日本ではもはや黒船に乗って現れた代物だ。

入社して早々、届いたサンプル品を前に「めっちゃ薄いけど本当に漏れないの!?」「臭くなったりしない……?」と思いながら、半信半疑で使ってみたところ、ムーンパンツ様様、疑ってマジごめんなさい、あんたは一生の相棒だ、と誓いたいほどにすばらしいアイテムだった。もっとも経血の量が多い2日目以外だったら私はこれ一枚で朝から夕方まで外出できたし、水分はキャッチするけど通気性はよい、という神機能により、ナプキンよりも自然な付け心地で、薄いし、生理じゃなくても履きたくなる肌触りだし、臭くならないし、このまま一生、ムーンパンツへの愛を語れそうだった。

こんなすばらしいサニタリーアイテム、日本中、隅から隅まで必要な人のもとへ届けたい。

日本で販売するにあたって、箱のパッケージデザインやビジュアル写真など、ショーツ本体以外のすべて、いわばショーツがよそおうものすべてを、ラブピがつくることになっていた。新入社員でもきちんと自分の言葉で意見を伝えれば、平等に仕事のチャンスがまわってくるラブピ。こんな生理用品の広告あったらいいな、というイメージすらも自分たちでつくっていいなんて! こんな楽しい仕事はない。どんなふうに売っていくかを会議するなかで、これまでファッションの仕事をしてきた私はスタイリングをくんで、モデル着用のビジュアル撮影をしたいと意見をあげたところ、「楽しそう、やりましょう」という返事が返ってきた。フェミ会社万歳!

さて、こうしてはじまった私たちが求める生理用品の広告を探す旅。気の知れた友達や身近な人に、すごいもの見つけた! と、おすすめしているみたいなテンションで、変に上から目線にならずにこの最新高性能サニタリーを広めたかった。それは「私たちがほしかったものを、私たちの手でつくる」という世界中のシスターたちがつくりだすフェムテックブランドの空気を大事にしたかったからだ。

そういうテンションをビジュアル写真として伝えるんだったらいつも遊んでる女友達との空気が一番ハマるだろうな、と思ってマジでいつも遊んでる友人に声をかけた。ラブピのミーティングでモデル候補の友人と私が写っている写真を見せたところ「杉田さんも写っちゃいなよ、この写真みたいに」の一言で、私もビジュアル写真に写ることになった。下着姿での撮影をぜったいに主体的に撮りたかったので、言い出しっぺの自分も一緒に写るほうが間違いなく主体的だな、と思い喜んで引き受けた。

ミーティングで見せた写真は以前自分がzineの制作用に撮影をお願いしたショットで、電車でおんなたちがメイクをしてる姿だった。
状況にもよるけれども、たとえ邪魔にならない場所でリップをささっと塗ることでさえも「電車でのメイク」という行為自体が必要以上に叩かれる理由のなかには、「おんなは完璧な状態で身支度を終えて外出するべき」という発想も含まれていると思う。それは、トロフィーワイフ的な「俺のための美しさ」「俺に会う前に、完璧な状態を整えておけ」と家父長制に毒された人間がおんなに対して強制するような、古からのキモさとも通じているとおもった。

まとうだけで「人生の主人公は自分だ」と思えるような、最強リップやお洋服の与えてくれるパワーをそんな野暮な考えに奪われたくないので、私がどんなリップをどこで塗ろうが、あなたの人生には関係ない、あなたもあなたのやり方で勝手に輝きな、のスタンスで日々を送っている。

会社で出し合ったムーンパンツの撮影シーン案は「帽子やファー、サングラスまで身につけてばっちりキメるシーン」と「女友達とぐだぐだ部屋着で過ごすシーン」の2つが両立し、存在していた。まるでスタイルの違う2つのシーンだが、矛盾なく私たちの気分だし、在り方だ。ひとつにまとまっている必要は全くないことを表しているようでとても居心地がよかった。

ファッションも生理用品も、大切なのは気分によって私たちが自由にそれらを選び取れるということ。いろんな柄の、カラフルでバラバラなよそおいでいようねと確かめ合うように、「今日はのんびりな気分だから、オーガニックのほんのり色づくリップを塗って、ムーンパンツで過ごそう」とか「今日は超タイトなスキニーパンツをはきたいから月経カップを使おう」といった具合に、その日の自分を、自分で選ぶために、サニタリーが進歩していったらすてきだし、その一つがムーンパンツであったら最高だ。

今日も明日も、おのおのに私たちは存在していこう、おのおのに生活を選んでいこう、と少々願いもこめ、日本全国にムーンパンツをせっせとばらまいていきたいと思う。

PROFILE

杉田ぱん
杉田ぱん

1994年6月生まれのフェミニスト。高円寺の古着屋で5年間勤務をしたのち2019年春よりフェミニスト目線で世界中からセクシュアルウェルネスにまつわる商品をセレクトする「LOVE PIECE CLUB」へ転職。

INFORMATION

ブランド情報
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ムーンパンツ

21世紀を生きる女性自身が開発し、たどりついた新しいサニタリーアイテム。パンツ1枚でブルーデイを快適に過ごせる、ナプキン不要のMOON PANTS ムーンパンツです。

ナプキンいらない | 新しいサニタリーライフ MOON PANTS ムーンパンツ

ショップ情報
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MOOND

MOOND by LPCは全ての世代の女性がセクシュアルライフを自由に楽しむためにつくられたセレクトショップです。11/22より大阪・大丸梅田店5階にてオープン。プロデュースしたのは1996年に日本で初めて女性だけではじめたセクシュアルグッズストア「LOVE PIECE CLUB」。

MOOND by LPC

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