She isの更新は停止しました。新たにリニューアルしたメディア「CINRA」をよろしくお願いいたします。 ※この画面を閉じることで、過去コンテンツは引き続きご覧いただけます。

環境問題と生理用品の考察/柿沼あき子

環境に優しい生理用品、貧困問題から生まれた生理用品

2020年1・2月 特集:これからのルール
テキスト:柿沼あき子 編集:竹中万季
  • SHARE

年明け早々、SNSではオーストラリアのニューサウスウェールズ州での大規模な森林火災が話題となっていました。オーストラリアの気象当局はその要因の一つとして気候変動による影響を指摘しています(*1)

日本では昨年、大型台風や記録的な豪雨が猛威を振るい甚大な被害が発生しました。私の自宅も9月に発生した台風15号による暴風で夜中の3時に窓ガラスが割れ、近くの神社は大木が倒れて全壊する被害に見舞われました。

気候変動による災害について、今まではどこか対岸の火事のように思いながらニュースを眺めていましたが、今後増加が予想される地球温暖化がもたらす影響を思うと(*2)当事者意識を持って取り組んでいく必要があるなと感じた一件でした。

若い世代が環境問題を「自分ごと」として捉え、ライフスタイルも変えていく意思を持ちはじめている

2015年に世界各国が批准した「パリ協定」では世界共通の目標として、「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」ことと、「そのため、できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と(森林などによる)吸収量のバランスをとる」ことが掲げられています(*3)

当時15歳のスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんが2018年から自主的に始めた環境問題を訴えるストライキ活動は、昨年国連で演説するまでに影響を高めていましたが(*4)、各国が環境問題に取り組もうとする流れの中で、若い世代が「自分ごと」として捉え始めていることは昨年の大きなトピックだったのではないでしょうか。

世界経済フォーラムが世界各国のミレニアル世代へ行ったアンケートでは、「環境保護のためなら、進んでライフスタイルを変えるか」という質問について、80%近くが「変える」と回答しており、環境問題がこれからの消費行動を変えかねないほどの影響を及ぼしていることが伝えられています(*5)

こうした環境問題を背景としたライフスタイルの変化の兆候は、昨年日本でムーブメントとなった女性の身体を持つ人の多くに毎月発生する「生理」への対処方法の選択肢を考えていく上でも例外ではないと感じています。

生理用品からプラスチックを排除する運動「#EndPeriodPlastic」

2018年にイギリスの環境活動家エラ・デーシュさんが立ち上げた「#EndPeriodPlastic」動画キャンペーンをご存知でしょうか。

当時26歳の郵便局員だった彼女は、スーパーやドラッグストアで購入できる一般的な生理用品の大半が石油由来のプラスチック素材を使用しており、プラスチック廃棄物として生理用品が環境汚染に加担している事実を知って、生理用品からプラスチックを排除する運動を開始しました(*6)

「SAY NO TO PERIOD PLASTIC」「I DON’T WANT PLASTIC NEAR MY KNICKER ELASTIC!」の看板を持つエラ・デーシュが訴えかける動画

キャンペーンはTwitterを中心に話題となり、現在までに10万人以上の署名を集め、スーパーマーケットやメーカーが実際に商品の製造や販売を停止するなど大きな変化をもたらしています。

彼女は環境に優しいアイテムとして、オーガニックコットンナプキン、再利用可能な月経カップや生理耐性ショーツ、アプリケーターフリーのタンポンなどへのスイッチを推奨しており(*7)、彼女と同じ考えを持つ人達は馴染みのない生理用品の使用方法に戸惑いながらも切り替えを試みているようです(*8)
彼女が推奨するアイテムをそれぞれ簡単にご紹介できればと思います。

エラ・デーシュさんが選んだ、環境に優しい生理用品

左:月経カップ(MOON CUP)、中央上:オーガニックコットンナプキン(Natracare)、中央下:アプリケーターフリーのタンポン(ORGANYC)、右上:生理耐性ショーツ(EvaWear)、右下:生理耐性ショーツ(THINX)

オーガニックコットンナプキン
形状と使い方は一般的な紙ナプキンと同様ですが、素材に化学物質フリーのオーガニックコットンを使用し、吸収体も木材パルプや植物セルロースなどプラスチックを含まない土に還りやすい素材を使用しています。

月経カップ
医療用シリコンなど人体に安全な素材でつくられたカップを膣内に挿入し装着して使用します。日本では2016年に「スクーンカップ」が発売開始され、以降徐々に存在を知られ始めましたが、欧米では70年以上も前から存在するアイテムです。煮沸消毒により繰り返し使用することが可能です。

生理耐性ショーツ
ショーツのクロッチ(股布)部分が布製の吸収体を含む構造となっており直接経血を受け止めます。漬け置きなどで汚れを落とし、洗って繰り返し使用することができます。ニューヨークの「THINX(シンクス)」、カリフォルニアの「エヴァウエア」、台湾の「ムーンパンツ」などが登場し話題となっています。
※「THINX」については米国内で安全性が疑われる記事が公開されましたが「THINX」は検査結果を提示しそれを否定しています。

「THINX」の生理耐性ショーツ

アプリケーターフリーのタンポン
“フィンガータイプ”とも呼ばれるアプリケーター不要のタンポンです。一般的なタンポンは膣内に挿入しやすいようプラスチック性のアプリケーターがセットになっていますが、使用する度にアプリケーターもゴミとなってしまうため、海外では徐々にアプリケーターフリーのタンポンが発売されはじめているようです。

一方で、アプリケーターがないと膣内に挿入が困難ということもあり、前述の「THINX(シンクス)」やイギリスの「DAME(デイム)」は繰り返し使用可能なタンポンアプリケーターの発売を開始しています(*9)

イギリスから生まれた再利用可能なタンポンアプリケーター「DAME」

PROFILE

柿沼あき子
柿沼あき子

「EMILY WEEK」ブランドコンセプター。2009年に女子美術大学絵画学科を卒業後、同年にベンチャー企業へWEBディレクターとして就職。その後WEBプロモーション企業を経て、2014年(株)ベイクルーズへWEB販促プランナーとして入社。同社の社内新規事業として、生理週間を軸に女性のバイオリズムに寄り添うライフデザインを提案するブランド「EMILY WEEK」を提案し2017年9月に事業化。現在は「EMILY WEEK」にてWEB PR、バイイングなども担当。

INFORMATION

ブランド情報
EMILY WEEK

Harmony in Rhythm for Women's daily life
"日常を、心地よいリズムに。"

EMILY WEEKは生理週間を軸に、
女性の4週間のバイオリズム:Reset-Active-Neutral-Balanceに寄り添った新たなライフデザインを提案します。
日々を頑張るすべての女性へ、それぞれに合った心地よいリズムをサポートしたい。
EMILY WEEKを通じて自分と向き合うことへの喜びに出会えるよう願って。

EMILY WEEK (エミリーウィーク)
EMILY WEEK(エミリーウィーク)の公式通販 - BAYCREW’S STORE
EMILY WEEK(@emilyweek) • Instagram写真と動画
EMILY WEEK(@emilyweek_tokyo)さん / Twitter

環境問題と生理用品の考察/柿沼あき子

SHARE!

環境問題と生理用品の考察/柿沼あき子

She isの最新情報は
TwitterやFacebookをフォローして
チェック!

RECOMMENDED

LATEST

MORE

LIMITED ARTICLES

She isのMembersだけが読むことができる限定記事。ログイン後にお読みいただけます。

MEMBERSとは?