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3人の17歳に訊いた30問。その輝きは、最中には気づけない

3人の17歳に訊いた30問。その輝きは、最中には気づけない

大人って?結婚ってどう思う?17歳ってどういう歳?

2018年8月 特集:刹那
編集:竹中万季
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17歳という年齢を想うとき、なんだか胸がざわついてしまう。放課後の教室、早朝のグラウンド、制服で毎日通ったあの道。振り返れば眩しさばかりが蘇り、ある種特別な年齢だったと感じてしまうけれど、過ごしている最中はきっと何でもない平凡な日常でした。

映画や音楽、文学など世界中の様々な作品においても扱われることの多い17歳という年齢は、大人と子どもの間で揺れる曖昧なときだからこそ、多くの人にとって印象深く刻まれているのかもしれません。多くの国と同様に日本でも成人年齢が20歳から18歳に引き下がることが決まり、ますます大人になる寸前の年齢として、17歳という年齢の輝きが増していくようにも感じます。

そんな、特別な年齢だったと思い返してしまうことの多い17歳という年齢に今身を置いている3人の女性たちに、この瞬間に感じている等身大の気持ちを聞いてみたいと思いました。「あの頃はよかった」ではなく、過去もこの瞬間も肯定して生きていこうとすれば、年齢に限らずこれからいくらでも眩しい瞬間を作ることができる。3人の17歳の言葉から、そんな希望を受け取ってもらえたら嬉しいです。

大人がどんなものかは分からないけど、大人になっていくことは自分を更新していくことだと思う

むつみ(17)

1. 名前を教えてください。みんなに何て呼ばれてる?
むつみ。むっちゃん、Mutsumiと呼ばれています。

2. どこに住んでいますか?
ニュージーランド。

3. 昨日は何してた?
学校に行って、昨日は学校が早く終わる日だったので、放課後は友達の用を済ませるついでにメインシティーに行って、夜ご飯に韓国料理を食べて帰りました。

4. 部活は入ってる?
はいってないです。

5. 好きな授業は?
Painting(美術)の授業。1年の初めに自分でテーマを決めて、そのテーマに沿って30枚くらいの絵を描いて、1年の終わりには自分のボードにそれを張り付けて、1つの作品を完成させます。Paintingの教室の匂いと雰囲気が好きです。Paintingの先生は女の先生で、ものすごく早口で、聞こう! と思わないと聞き取れないのですが、ボーっとしたり集中して描いていたりするとずっとペラペラしゃべっている先生の声がちょうどいいBGMになって、この人の声がいいな、と思っています。

6. 今年、一番思い出に残っている出来事は?
あえて順番をつけるなら、一番は今年の6月まで住んでいたホームステイが最悪だったこと。一番思い出に残っていることがいいことじゃなくて嫌なことなのはあんまりよくないのかな……(笑)。初めて英語で大喧嘩した相手がその家のホストマザーでした。とにかくその時期はストレスがすごくて、疲弊しきっていました。もう二度と会いたくない。

7. 最近、一番悲しかったことは?
気づいたらものすごく仲のよかった日本の友達がLINEの友達リストから消えていたこと。日本の友達はみんな受験で大変そうで、たぶんLINEを消したのはそのためだろうなぁと思いつつも、かなり時間が経ってからしか気がつかなかった自分も、もう随分と連絡してなくて、昔ほど距離が近い私たちではないんだな、ということも寂しくて、これからこういう終わりとか薄れとかが増えていくのかな、とハッとさせられて、落ち込みました。

8. 今、一番好きなものは?
写真。撮るのも見るのも。

9. 学校の友達はどういう存在だと思う? また、学校以外の友達はいる? それはどういう存在?
この国でできた学校の友達は、家族がいない国で暮らす私にはほとんど家族みたいな存在で、近すぎて嫌いになったりするけど、その友達といると笑いのツボが浅くなるんです。それって、一番大事な部分な気がしています。

日本にいる仲のいい友達は、保育園とか小学生の頃から一緒だった子がほとんどで、誰よりも私を知っていて、誰よりも頼りにしている存在。一番重要なことも、一番くだらないことも話すし、聞く。本当に大切な人たちなので、どういう存在か書こうとしてもありきたりな表現しかでてこなくて困る。大好き。絶対的な安心領域です。

10. 好きな人はいますか?
恋愛的に好きな人はいません、こんなはずじゃなかったと思ってます(笑)。

11. 家族とはどういう関係?
すごく仲がいいです。親も姉も、親として姉としてはもちろん、ひとりの人としてそれぞれ大好きです。愛されてると気づかせてくれるその愛が本当にありがたいです。

12. お気に入りの写真を3枚見せてください。何でその写真がお気に入りなの?

これは去年の年末日本に帰ったときのもの。いつもカラオケに行っていたメンバーとの久しぶりのカラオケが嬉しすぎて、本当に楽しかったな。ここに写っていないもう1人の友達が撮ってくれました。ブレブレの写真がはやった時期に撮ったやつで、ブレブレ。見ていると思い出して楽しくなるのでお気に入り。

これは学校やホームステイのお家から近くにある商店街みたいなところで、去年の夏に撮ったもの。飼い主さんはどこかのお店に入ったのかな、犬が気持ちよさそうに日向ぼっこしていて、ニュージーランドのこういうところが好きだなぁと思った写真です。気持ちよさそう。ここに行きたい。

これは前のホームステイが大変だった時期、学校への通学途中に撮ったもの。その頃の家は私の仲のいい友達の家とすごく近くて、毎朝学校まで40分かけて一緒に歩いて行っていました。昨日の夜とかその日の朝にあったトラブルとかをいっぱい聞いてもらいながら登校してたな(笑)。朝の霧が少しかかっていて、丘の上で、酸素いっぱいで、手前の緑も向こう側に広がるメインシティーの風景もすごく綺麗で、癒されるからお気に入りです。

13. 好きな音楽を3曲教えてください。何でその音楽が好き?
1曲目は、Rihannaの“We Found Love”。
私が世界で一番好きな人がRihannaで、小学生の頃からずっと私の中の唯一無二のクイーンです。この曲のメロディーと、夢みたいにふわふわしたり急に力強くなったりする危うさと、それが彼女の声にものすごく合っているのと、あの混沌とした雰囲気が好きです。

2曲目は、坂本龍一の“戦場のメリークリスマス”。
私はピアノだけとか楽器だけの曲とか、クラシックとかオーケストラとか、そういう類はほとんど聴かないのですが、この曲はずっと好きで、ほんとに何度聴いたか分かりません。何十回聴いても何百回聴いても飽きないサウンド。毎回切なくなる。情景が浮かぶ。至極の音楽。色んなバージョンで演奏されていますが、ピアノだけで演奏されたバージョンが一番お気に入りです。

3曲目はRADWIMPSの“パーフェクトベイビー”。
ラッドは大好きです。いっぱい好きな曲があって本当に迷ったんですが、パーフェクトベイビーかな。ラッドの曲はやっぱり歌詞が最高でそれはこの曲ももちろん例外でなく。そして、このちょっとずつ気力が回復していくようなメロディーが好きです。落ち込んでいるときの心にもハッピーなときの心にもピッタリ合う曲。

好きな音楽の趣味がかなり広くて、洋楽も、いろんな世代の日本の曲も聴くので、以前自分のiPodを父の車に繋いで曲を流しているときに「節操がない」と言われました(笑)。3曲に決めるの難しかったです……。

14. 好きな映画を3つ教えてください。何でその映画が好き?
1つ目は『天才スピヴェット』(ジャン=ピエール・ジュネ監督、2013年)。
主人公の詩的なナレーションや行ったこともないのに懐かしくなる田舎の風景が、心をあったかくしてくれます。ワンフレーズ、ワンフレーズ、その一瞬、一瞬の画が、すべて私のツボにハマって、一番好きな映画です。

2つ目は『ANNIE アニー』(ウィル・グラック監督、2014年)。
ミュージカルのアニーを現代っぽくして映画にしたやつ。主人公の女の子が最高。やっぱり歌うシーンがとにかくよくて、聴き惚れてしまいます。

3つ目は『言の葉の庭』(新海誠監督、2013年)。
非日常と日常が絶妙に入り混じっていて、その雰囲気とリズムが観ていて本当に心地いいです。エンディングに流れる“Rain”(秦基博)という曲を聴くと、いつでもこの映画を思い出して泣きそうになります。

15. 好きな本を3つ教えてください。何でその本が好き?
1つ目は萩原規子さんの『白鳥異伝』。
もともと古い日本とか神話を題材にした話が大好きなのですが、この本もそうで、この作者の方の本はワクワクしてドキドキして超絶ファンタジーでロマンの塊で、本当に好きです。

2つ目は太宰治の『女生徒』。
少女の目から見る世界が、おもしろくって好きです。毎文がかわいらしく、鋭くて。移動中によく読み返します。私もずっとあのマインドで生きられたらいいな。

3つ目は矢沢あいさんの『NANA』。
マンガをけっこう読むのですが、ダントツで一番好きなマンガです。言葉選びと、矢沢あいさんが描くあの崩れそうで繊細な人物の表情が大好きです。同じ作者の他の作品も大好きです。完全に感情移入して読んでしまうので、読み返すのは長い休みのときだけと決めています(笑)。

16. 自分のチャームポイントはどこだと思いますか? 逆に、コンプレックスはある?
チャームポイントは、鼻。小さい頃からお姉ちゃんに「気にしてる」って言うとその度に「いいじゃん」と言われてきたので、低くてかわいいと思ってます。

決して整ってはいない外見だけど、見た目に関するコンプレックスはそんなにありません。自分の中身に関して嫌いなところは本当にいっぱいあるけど、コンプレックスというと、あまりないです。

17. 憧れの人はいますか? 憧れている理由は ?
特にいないです。

18. 何をしているときが一番楽しい?
自分の好きな人たちと笑っているときか、ものすごく集中して何かをしているとき。深く集中している状態で絵を描いたり、写真を撮ったり、勉強したりとか。

19. 何をしているときが一番つらい?
冷静に考えてみてもなんでつらいのか分からないとき。

20. 将来、どんな仕事・働き方をしてみたい?
写真を撮る人になりたいです。受け取る側じゃなくて、何かを創り出す側になりたい。休みは定期じゃなくていいので、1年に1回長めの休暇をとって旅にでられるような環境が理想です。もしくは、日常的にいろんなところに行ける仕事。

21. 結婚についてはどう思う?
したいと思うけど、できないだろうな。人との距離感をはかるのが苦手なので、一緒に住んだり家族になったりすると距離感がつかめなくなって破綻しそう。

22. 子どもを産むことについてはどう思う?
今はまだ全然、自分が子どもを産んで育てているイメージがわきません。子どもがいつか欲しいな、なんてまだ思ったことはないけど、自分の子どもがいる世界って、お母さんになるって、想像しても到底及ばないような気持ちになるんだろうなぁ。だから、言い方は分からないけど、それを経験してから死にたいというのはあります。

23. この夏、やりたいことは?
南半球は絶賛冬ですが、もし北半球にいたら、日本にいて、浴衣を着て超かわいくして花火大会に行きたかったです。平成最後の夏とか言われているけれど、平成最後の日本の春も逃したし、秋もこれから逃すので、辛くなりました。自分が生まれた時代が終わるって、何か実質的なことが急激に変わるわけでもないのに無性に寂しいですね。ちょっと話ずれました。

24. 卒業したら何をする予定?
写真の勉強をします!

25. 17 歳ってどういう歳だと思う?
私にとっては、特別感はほとんどありません。キラキラした歳だって、華だっていうけど、それは最中には気づけないキラキラと華やかさなんだと思います。あとになってから17歳のキラキラに気づく。今は話に聞く程度で、これからの歳とは比べられないから、本当の意味でそれを悟ることはできないと思っていて。だからこそ、今の等身大の自分の思うままに生きればいいと思っています。そしたら絶対にあとになってからキラキラするだろうな、と。
今の17歳の等身大の私はどんなかな。14歳の頃の私よりずっと子供かもしれません。

26. 成人したら、何をしてみたい?
お酒を飲みたい。「酔った勢い」とか「飲み過ぎて」とか「いい気分」とか、そういう世の中で当たり前みたいに語られる定番ネタの中に私も交じりたい。

27. 30 歳になったら、何をしていると思う?
想像がつかないです。何かしら、自分のやりたいことを形にしていると思う。願望も込みで。

28. 今の社会において、変えたいと思うことは?
政治についてとかフェミニズムとか、いろいろ考えてみたけど、今は自分のことに一生懸命で手一杯で、そういうのを今の私が言っても嘘っぽいなというのが結論です。逆に言えば、私自身がそれほど大きな壁にまだぶち当たっていないのだと思います。「変えたい」と言うには、私が感じてきた違和感は少ないし、まだ社会のことをよく知りません。ここに書くのはもっと小さなことで良かったのかもしれないけど(笑)。

29. 大人になるってどういうことだと思いますか?
大人がどんなものかは分かりませんが、大人になっていくことは自分を更新していくことだと思います。「1年前の自分は、自分で思っているよりもずっと他人だ」と、どこかで誰かが言っていました。他人や自分、実態のつかめない曖昧ないろいろを、赦して赦されて、良くも悪くも少しずつ自分を更新していく。その積み重ねで、気が付いたら“大人”みたいな何かになっているんじゃないかな。ずっとどこかで動けない人、もしくは意図的に動かないでいる人はたくさんいて、だから歳を重ねても大人にならない人はたくさんいますよね、多分。ちょっと生意気でしたが、そう考えると“大人”が存在するかどうかも曖昧です。

30. どんな大人になりたい?
歳を重ねて、自分より若い人がいっぱいできたときには、やさしい人になっていたいです。

PROFILE

むつみ
むつみ

2000年生まれ。年齢を数えやすいことが自分の好きなところの1つです。畑や田んぼに囲まれた田舎で3人姉妹の末っ子としてのびのびと育ちました。高校1年生で日本の高校を中退後、オークランド(ニュージーランド)にある高校へ入学し、現在も留学中。好きなものは、音楽や本、絵や写真。

岩崎はなえ

2001年1月12日生まれ。
中高一貫の女子校に通っています。好きなものは、写真と映画と静かな青色。特技は、人より長く寝れること。タフで魅力的な大人になりたい。

及川るな

2000年7月生まれ。携帯電話というものを持ったのが高校1年の冬とかで、それまでずっとなしで生きてきたので、何となくですがたまに人と違う視点を持ってるのかなと思う時はあります。小さい頃はドラム缶のテレビのテープ入れの先と森が繋がってると思っててひたすら外でドングリを拾っては詰め込んでよく壊すようなヘンテコな人間です。

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