「モテ」、それは巷で声高に語られるトピックである反面、とてもデリケートな話題です。解釈は三者三様、基準だってあやふやで、他意なく語ることが難しい。しかし、本来は生命の発する輝きそのものや、その効能に対する指標的な言葉だったのではないでしょうか。「モテる」や「モテそう」は、決して脅威としてのワードであってはいけません。モテには無限のパターンが存在し、あなたにはあなたのモテがきっとある。自分なりのモテを探す行為は、大事にしたいものを見定め、人生のビジョンをすこしクリアにしてくれるはず。そしてそれ相応の評価を受け、大切に扱われるという純粋な意味での「モテ」は、自分を大切にすることに間違いなく繋がります。
今回は、理想の彼女と過ごしているかのような錯覚を覚えてしまう、不思議な魅力を備えた女性たちを紹介します。このガールフレンド感の正体は、この揺るぎない存在感は、一体何だろう。愛らしさ? 親しみやすさ? 奔放さ? 人の心を動かすヒントが、ここに隠れているかもしれません。
かろやかな美意識を持つモデル、麻絵
数々のCM出演をこなし、11月末には舞台出演を終えたばかりのモデル、麻絵さん。ファッションが趣味の彼女は、コーディネート写真をInstagramやWEARに投稿し注目を集めるだけでなく、自ら洋服のハンドメイドも行うのだとか。彼女の服装を見ていると、「親近感」と同時に「特別さ」を感じます。さりげない格好の中に存在するこだわりや美意識が、近所への買出しやちょっとした遠出など、あらゆるシチュエーションを連想させる装置としてはたらいているのかもしれません。
そんな彼女に「ガールフレンド感」を意識したことがあるかどうか尋ねてみました。
正直なところ、普段の生活ではあまりありません! 性格的に男っぽくサバサバしていることもあり、意識するとちょっと照れくさくなってしまうということもあり……。ですが、お洋服などでは意識したりします! ファッションが大好きなので、コーディネートを考えるときなどに、アイテムの取り入れかたや組み合わせ方などで意識を向けたりします。柔らかなシフォン素材の生地のものやレース素材のものなど、生地感で女性らしさを取り入れたり、膝下のミモレ丈のスカートは、ちょうどふくらはぎの真ん中から足首が見える丈感だから足が綺麗に見えると思っており、特にフレアスカートだとふわっとスカートが揺れるのも女性らしさを感じるポイントだと思っています。
自覚している性格とは異なるテイストの服も果敢に取り入れる、そんなかろやかな一面がコメントから伺えます。「男っぽい性格だから」とメンズライクな服だけを纏うのではなく、意識すると照れくさいことを、ファッションで補う、無理なく楽しむ。彼女はただ洋服を身にまとうだけでなく、素材のイメージを活かしたアプローチを熟考しているのです。この「楽しむ」と「考える」の積み重ねが、脳裏に焼きつく表情や全体のトーンの美しさに繋がっているのかもしれません。
人懐こさとプロ意識が溶け合う女の子、夏海
「牛乳寒天なつみん」名義で参加した『ミスiD 2017』では、自分のことを可愛いと言い切る潔さで注目を集めた夏海さん。人々に自分の魅力を売り込む、いわばモテに関するプレゼンの縮図のようなアイドルオーディションですが、こういった勝気な方法も存在するということに驚嘆しました。「みんなにわたしの魅力を知ってほしい」、そういった思いをコントロールするためには、自分自身を把握する考察力が必要です。把握ができたら、今度はそれを肯定する力も必要です。これは誰もが持ち合わせているものではありません。
そんな彼女はガールフレンド感への意識についてこう語ります。
基本的に人との距離感が近いんです。近いというか、知りたいから近くなる。出会う人ひとりひとりのことを知りたいです。そういった気持ちが写真に滲み出ているのかもしれません。でもここだけの話、どうやったら可愛く見えるかとかは常に考えてますよ。ナイショです。ガールフレンド感、嬉しいです。
このコメントを読み、彼女の魅力は純粋な人懐こさとプロ意識、それも“モデルとして”ではなく“女の子という生き物であること”へのプロ意識の絶妙なバランスの上に成り立っているのだと感じました。どちらが欠けても、このクオリティーは叩き出せません。
今年の10月に上京したばかりの彼女は、新生活の中で周囲からの愛情を改めて実感したらしく、Instagramの投稿にて「こんなに愛されるのってスゴいし、誇りだし、ありがとうの気持ちでいっぱいだよ」と感謝を表明しています。「モテ」とはまずシンプルに「大事にされる・大事に思われる」ということなのだと思います。その矢印の量や大きさを競い合うでもなく、甘やかされるでもなく、おだてられるでもなく、より良い自分でいるためのパワーに換算できたら素晴らしいですね。
ナチュラルボーンガールフレンド、葉媚
モデル、役者、イラストレーターなど幅広く活動する台湾人モデル、葉媚さん。彼女の写真には、「こんな子が目の前にいたら惚れ込んでしまうのではないか」と動揺させる不思議な迫力があります。健康的で、だけど儚くて、自然体で、どことなく魔性で。そんな聞き慣れた形容詞が、急にあなどれない輝きを放ちながら脳内に浮かびあがるのです。
そんな彼女に「ガールフレンド感について意識したことはあるか」、そして「写真表現での生活感・親密感へのこだわり」を聞いてみました。
Tumblrにはお友達と散歩しながら撮った写真がほとんどなので、ガールフレンド感を意識したことがなかったです。お姉ちゃんがいて私は末っ子です。どっちかというと自分は妹感のほうが強いと思いました。気持ちを何にも飾らずに空気感を写真に残したいです。飛びたいなら飛ぶ、笑いたいなら笑う。 不機嫌なら不機嫌な顔で。あくびも手で隠さない。写真を見たらその時の対話や感情とか匂いを思い出せるような写真こそ、自分にとって意味のある写真と思っています。
“友達と散歩しながら撮った”ものだとしても、カメラを向けられたことで多少作為的になってしまう場合が本来ならばほとんどです。これが彼女の写真に見られないのは、あるいは見えてもいやらしく映らないのは、「自分にとって意味のある写真」を明確に見出せているからなのだと腑に落ちました。「気持ちを飾らない」という、彼女自身が自覚している以上であろう特技が、関係を築き上げてからでないと見られないはずの一面を、偶然にも生み出している。ガールフレンドという立場であってこそ垣間見せる一面を連想させる。この底知れない魅力から、やはり目が離せません。