きらめくアコースティックライブのはじまり
前半戦のパジャマ姿とは変わって、ホワイトのワンピース姿にギターを携えて現れた吉澤さん。
「いつもと違う雰囲気ですけれども。みんな起きてますか(笑)」
そんな和やかなMCでライブはスタート。一曲目は2016年リリースの“東京絶景”。中学生の頃から大ファンだという穂村さんとの対談で、前半戦は緊張していたという吉澤さん。伸びやかに歌う姿はまるで白鳥が翼を伸ばしているかのような美しさと迫力が。続いて朝帰りの女の子を主人公にした“残ってる”を披露。最後の一曲を演奏する前には、こんなお話も。
吉澤:今日は思っていることを言葉にするのは難しいとあらためて思った。思っていても言えなかったりして。でも、私には歌があるので、よかったなって思いました。今日思ったことも言えなかったことも、また歌にできたらいいなと思います。子供の頃から大好きで、今も大好きな方と一緒にお話しをして、みんなともこんな近い距離でね。
音楽って人の気持ちを少しだけ動かすことができたりして、そう思うと一つの魔法かなって思っていて、でもそれは永遠に続くわけじゃなくて。だけど言葉は記号になって、宇宙のどこかに絶対に残るから。やっぱり、歌詞があってよかったと思います。
ラストソングは“ミューズ”。<戦っている貴方はうつくしい>というフレーズから始まるこの曲は、この日夜会に集った私たちを勇気づけてくれる一曲でした。
吉澤嘉代子さんと穂村弘さんと参加者が輪になって交流会。Q&Aをおすそわけ
そして最後は、ステージ上の吉澤さん、穂村さんを囲んでの交流会。参加者は10組に分かれ、制限時間の中でお二人へ自由に質問することができます。ユニークな質問がたくさん出ましたが、その中のいくつかをご紹介!
Q. 好きな人がいます。諦めるには吉澤さんのどの曲を聴いたらいい?
吉澤:“残ってる”や“がらんどう”かな。落ちるまで落ちるのがいいかも。
Q. 逆に質問して!
穂村:今欲しいものは何?
質問者:……友達です。二人しかいなくて……。
穂村:二人いたらいいんじゃない? 今日集まった人とは趣味が合うんじゃないかな。
Q. 最近観た映画は?
吉澤:香港への飛行機の中で観た『グリーンブック』。すごく良かった!
穂村:『仁義なき戦い』を今頃観た。人の命の価値が軽くてほっとするね~(笑)。
Q. 私も文章を書くのですが、人の才能に嫉妬してしまうときはどういう風に逃げていますか?
穂村:難問だよね。僕も菊地成孔さんや町田康さんみたいなタイプに感じるよ(笑)。
吉澤:私はないんですよね。好きな人が他の人と話してたりするともやもやすることはあるんですけど……。
穂村:それ、普通の焼きもちじゃないかな(笑)。嫉妬していることを認めるしかないんだよね。
大盛況のうちに、『吉澤嘉代子と穂村弘の「言葉の夜会」 ~まばたくたびに春の夢~』は終了。日常から30cmだけ浮くような、魔法のようなひと時。参加した皆さんにとって、夢と言葉について改めて考える機会となれば幸いです。
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