吉澤嘉代子と穂村弘の短歌談義 人は世界ではなく世界像を生きてる

吉澤嘉代子と穂村弘の短歌談義 人は世界ではなく世界像を生きてる

参加者がつくり衝撃を受けた傑作短歌、悩み相談に回答

2019年3・4月 特集:夢の時間
テキスト:阿部洋子 撮影:草野庸子 編集:野村由芽
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4月11日に開催された、She is のMembers限定のイベント『吉澤嘉代子と穂村弘の「言葉の夜会」 ~まばたくたびに春の夢~』。シンガーソングライターの吉澤嘉代子さんと歌人の穂村弘さんをゲストにお招きし、トークやアコースティックライブを実施しました。今回はMembersのみなさまだけに、イベント参加者から募集した夢についての歌のお二人による短選評とお悩み相談を、厳選してご紹介します。

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吉澤嘉代子、穂村弘がそれぞれ選んだ、参加者がつくった短歌とは

野村(She is):今回は「言葉」や「夢」をテーマに、参加者の方に有志で短歌とお悩みを募集しました。集まった中から、お二人に短歌とお悩みを選んでいただいたので、短歌の選評と、お悩みにはどんな解決方法があるかを、「言葉の夜会」らしくうかがっていきたいなと思っております。最初は短歌からいきましょう。

<吉澤嘉代子選>
二〇時の魔法を解きてあらわなるヌーディ・ベージュのぬけ殻濡れて
(ほっさん)

吉澤:これはうまいなと思った。なんだかOLさんが脱皮して、セリーヌ・ディオンになる感じがしました(笑)。都会のキラキラツヤツヤした感じがあって、すごく綺麗だなと。

穂村:短歌って内容だけじゃなくて、言葉の響きとかリズムも重要なんですが、これは「ヌーディ」「抜け殻」「濡れて」と下の句に「ぬ」の音が並んでいます。意識的にやっているならよく短歌のことを知っている方だし、偶然そうなっているなら音感が良い人だよね。上の句の「にじゅうじ」もな行の音だし。ところで、「ヌーディ・ベージュ」って何?

吉澤:口紅かな? やっぱり私にとってはセリーヌ・ディオンのイメージが(笑)。

野村:みなさんの中でヌーディ・ベージュって何かわかる人いますか?

会場:(ストッキングという声があがる)

穂村:じゃあ吉澤さんへの「挨拶の歌」でもあるんですね。

吉澤:そうなんですか?

穂村:短歌の世界には「挨拶」というのがあって、初めて訪れる土地や初めて会う人に、親愛と敬意を持って歌をつくることがあるんです。吉澤さんの歌にも“ストッキング”というのがあるよね。

吉澤:そうなんですね! だとしたら、(会場を見て)ありがとう!

<穂村弘選>
困ります 5階ボタンを押してすぐ「夢で見たよ」と言われましても
(豆苗)

穂村:エレベーターでしょうか。5階のボタンを押した途端に、密室でふたりになった見知らぬ人が、「やっと会えたね」みたいに「夢で見たよ」って言うシーンかなと思います。これ確か、吉澤さんも幼稚園ぐらいの時に、夢で会った相手に「あなただよね?」って言ったことがあるんですよね?

吉澤:そうなんですよね。幼稚園の時に見た夢の中で、私にせっちゃんという恋人がいたんですね。起きてからせっちゃんは誰だろうと思って、同じ園の子達を木陰に呼び出して「夢の中に出てきたよね?」って探していました。それって、これぐらいやばいやつですか(笑)?

穂村:僕、その話ってこれ同じことだと思っていて。単に発言者が吉澤さんが、誰かわからない別の人かによって印象が変わってくるんじゃないかと思ったんだけど、違うかな?

吉澤:そういえば中学生の時、学校のおじいちゃん先生に急に廊下で「夢にあなたが出てきたよ」って言われてからすごくその先生が怖くなったことがあります。

穂村:自分は言うくせに(笑)。

吉澤:そうですね(笑)。

穂村:この歌については、これが2階とか3階ならそこまで怖くないんだけど、5階だと乗ってから着くまでにだいぶ時間があるので、それがやばいっていうのもあるよね。

吉澤:確かに、面白い! 5階分の間、気まずいですよね。

穂村:これも吉澤さんのインタビューを読んで、吉澤さんへの挨拶なんじゃないの(笑)?

PROFILE

吉澤嘉代子
吉澤嘉代子

1990年、埼玉県川口市生まれ。鋳物工場育ち。
ヤマハ主催「Music Revolution」でのグランプリ・オーディエンス賞のダブル受賞をきっかけに2014年メジャーデビュー。
バカリズム作ドラマ「架空OL日記」の主題歌として「月曜日戦争」を書き下ろす。2ndシングル「残ってる」がロングヒットする中、2018年11月7日に4thアルバム『女優姉妹』をリリース。

穂村弘
穂村弘

歌人。1962年北海道生まれ。90年、歌集『シンジケート』でデビュー。短歌のほかに、評論、エッセイ、詩、絵本、翻訳などを手がける。評論集『短歌の友人』で伊藤整文学賞、エッセイ集『鳥肌が』で講談社エッセイ賞を受賞。また最新歌集『水中翼船炎上中』で本年度の若山牧水賞を受賞した。

INFORMATION

リリース情報
リリース情報
吉澤嘉代子
『女優姉妹』(CD)

2018年11月7日(水)発売
価格:3,024円(税込)

1. 鏡
2. 月曜日戦争
3. 怪盗メタモルフォーゼ
4. 女優
5. ミューズ
6. 洋梨
7. 恥ずかしい(新録)
8. よるの向日葵
9. 残ってる
10. 最終回

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書籍情報
書籍情報
『水中翼船炎上中』

2018年5月23日(水)発売
著者:穂村弘
価格:2,484円(税込)
発行:講談社

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