消費税に関してあふれる疑問。気鋭の経済学者にぶつけました。
7.21の参院選を前に付け焼き刃で勉強してからはや4か月。選挙で“争点”と言われていた「消費税10%」が、サクッと導入され、1万円の買い物をしたら1000円の消費税を払わなければならない年の瀬がやってきた。そんな中、「消費税の増税は既定路線」と今さら教えられた長田&かん。政治も経済もよくわからないけど、「消費税10%にあげていい?」って民意問われた記憶がないのに、どんどんお金抜かれるのひどくないですか? 使い途、どうなってるんですか? 今からでも止められませんか? あふれる疑問を、気鋭の経済学者にぶつけました。
教えてくれるのは
「都合の悪い経済学者」
松尾匡(まつお ただす)
教わったのは
「推しになら50%増税してもいい」
かん
「消費税0円時代を知る昭和の生き証人」
長田杏奈(おさだ あんな)
<もくじ>
p1.「消費税10%増税が争点」は嘘だったの!? 参院選反省会
p2.経済政策の良し悪しがわからない!
p3.消費税10%にするっていつから決まってたの?
p4.消費税の代わりに法人税を上げることはできないの?
p5.経済政策って誰がどこで決めてるの?
p6.消費税10%を止めるにはどうしたらいいの?
「消費税10%増税が争点」は嘘だったの!? 参院選反省会
かん:いきなりグチからいいですか? 夏の参院選に向けて勉強した時は、重要な争点のうちのひとつに「消費税増税」があるって聞いてたんですよ! なのに選挙が終わって蓋を開けてみたら「実は増税は既定路線だから、(よほどのことがない限り)揺らがない」なんて言われて……こんなの騙しじゃないですか!
あんな:相性診断ツールで争点を元に選んだのに、前提が崩れた!
かん:心折れた!
あんな:既定路線とか押し付けられて、消費税どうしたい? って、はっきりと民意を問われた記憶がないまま、10%払ってるんですけど!
まつお:わはは、怒るのももっともやね(笑)。
あんな:先生は経済学の専門家ですよね。ということは選挙の争点に関しても、経済政策周りを主に見てらっしゃる?
まつお:そういうことになります。
かん:う……そんな経済学の先生を目の前にいうのがはばかられるんですけど、一つ懺悔があって。
あんな:なになに?
かん:さっき長田さんが使ったって言ってた政党との相性診断ツール、確かに便利だったんです。で、自分の意見がYes/Noをはっきりさせやすい質問、例えば「同性婚に賛成ですか?」「原発は必要だと思いますか?」とかは自信満々に選べたんですよ。でも例えば「アベノミクスは成功していると思いますか?」とか経済の質問になると全然わからなくて。
あんな:自信の持てない選択が混ざると、結果も信用できないよね。
まつお:わからない言うても、実はそこがいちばん日々の生活に関係してくることですよね。経済が悪くなると「ハラヘッタ」になるわけですから。
かん:でも「これを選ぶとあなたはハラヘッタになります」とは書いてないじゃないですか! この施策を受け入れたら自分の暮らしがどうなるのかがわからない。
あんな:長い目で見て「ハラヘッタ」にどう効いてくるのか、ピンとこないんだよね。それぞれのメリットとデメリットを解説してほしい!
まつお:それでいうと、「長い目で見ないと何に効いてくるのかわからない施策」って本当に今必要なんだろうか? という問題がありますね。目の前のことって軽視されがちだけどすごく大事ですよ。
政治に対するスタンスは人によってさまざまですけど、僕は「目の前で苦しんでいる人を助ける」ことが政治やと思ってる。それを後回しにして「今の苦しみは我慢してもらって、別のことやってたらそのうち助かりますよ」という姿勢自体がおかしいと思ってますね。
かん:最近読んだ『十二国記』(小野不由美著、新潮文庫)の中でも、王が「目の前の数百人を犠牲にして、後の世の数百万人を助けるべきかどうか」みたいなことで悩んでました。
あんな:「目の前の苦しみに耐えて将来の大破綻を防ごう!」っていう政治家のほうが多いのかな?
まつお:小泉元首相なんかが代表的な例。「改革には痛みをともなう」と言って、将来の財源確保のために、社会保障費の削減や、年金制度改革をしましたよね。痛かっただけでしたが……。
かん:つらい……。
あんな:正直、目の前の現実としては、日に日にひもじい。うちは共働きだから苦しみながらもなんとかやっていけてるけど、シングルマザーだったり片方が働いていなかったりする家庭ってどうしてるの!? と思う。
まつお:政治は、机の上で理論を並び立てて想像するだけではなかなか難しい。自分とは違う環境で暮らしている人の具体的な生活を直接見聞きしないとわからない苦しみがあるはずです。「今我慢して」と言ったら、その人たちがどうなるか。
あんな:暮らしていけないかもしれないよ……。
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