川上未映子からあなたへ。見せかけの言葉にどうか騙されないで

川上未映子からあなたへ。見せかけの言葉にどうか騙されないで

『夏物語』30名限定トークレポ。出産、ママ友、本当のキャリア

テキスト:阿部洋子 撮影:内田咲希 編集:野村由芽
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見せかけの言葉にどうか騙されないでほしい。

野村:どうしたらその時々に、納得いくまで深く考えられるでしょうか。

川上:「考える」ってやっぱり言葉で行うことですよね。だからもう、言葉を総動員して考える。じゃあ言葉はどこからやってくるかといったら、私は書物からやってくると思う。あとは自分の信頼している人が責任を持って発している言葉からやってくるの。決して、誰かを傷つけるための言葉や、ただ流れて消費されていく匿名の140字からやってくるものではないんです。

今はまとめ上手な人が頭が良いと思われるし、加速主義的に切り捨てて腑分けした考えが注目されたりしますよね。でもそれは、いちばん大事なものを削ぎ落として成立しているものですよ。だって私たちの人生って、まとめられないものだけで成り立っているじゃないですか。

野村:まさに文学の範囲というか。読むことの意味に触れたような気がします。

川上:そういうディテールを積み上げているのが文学や哲学、また、批評です。だから若い時はもちろん、いくつになってもそういうものに、言葉に、触れ続けることがすごく大事なんです。言葉が自分の力になってくれるの。だから、若い人たちに思うのは、見せかけの言葉にどうか騙されないでほしいということ。

「これを読んだらあなたたちはこう思うでしょう?」というインスタントな言葉に惑わされず、本当にその人のなかから出てきた言葉を読んで、いったん吟味してください。その上で意味があると思った言葉を、一個ずつ頭の中に貯めていってほしいんです。そして、自分の大事なことを決めるときに、自分の言葉として使えるようになるといいですよね。人と比べたりせず、自分のことをよく知るために言葉や、自分自身を使ってほしいと思います。

トークイベントの後には、川上未映子さんとMembersの方と直接お話しする時間をもうけました。Membersの方々は、TALK ROOMにて、参加者の方々のご感想もぜひ読んでみてくださいね。

PROFILE

川上未映子
川上未映子

1976年、大阪府生まれ。 2007年、デビュー小説『わたくし率イン 歯ー、または世界』が第137回芥川賞候補に。同年、第1回早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞受賞。2008年、『乳と卵』で第138回芥川賞を受賞。2009年、詩集『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』で第14回中原中也賞受賞。2010年、『ヘヴン』で平成21年度芸術選奨文部科学大臣新人賞、第20回紫式部文学賞受賞。2013年、詩集『水瓶』で第43回高見順賞受賞。短編集『愛の夢とか』で第49回谷崎潤一郎賞受賞。2016年、『あこがれ』で渡辺淳一文学賞受賞。「マリーの愛の証明」にてGranta Best of Young Japanese Novelists 2016に選出。他に『すべて真夜中の恋人たち』や村上春樹との共著『みみずくは黄昏に飛びたつ』、短編集『ウィステリアと三人の女たち』など著書多数。『早稲田文学増刊 女性号』では責任編集を務めた。最新刊『夏物語』は第73回毎日出版文化賞を受賞、また世界十数カ国で翻訳が決定している。『文藝別冊 川上未映子』が好評発売中。

INFORMATION

書籍情報
書籍情報
『夏物語』

著者:川上未映子
2019年7月11日(木)
価格:1,944円(税込)
発行:文藝春秋
Amazon

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