石内都さんの写真集『Mother's』から着想を得て、実母のワードローブを眺めることから始まったkollのコレクション
最初にご紹介するのが、デザイナー楠原麻由さんによる「koll(コール)」。「ファッションを通して、夢を見ることができる」と話している彼女。芯がありながら柔らかさもある、素敵な女性に纏ってほしいお洋服を作っています。ギャザーの加減だったり、レースの使い方だったり、さらっと纏えるけど、そこに意志が感じられるようなお洋服です。
20SSは、写真家の石内都さんが実母の遺品を撮りためた写真集『Mother's』が着想源になっています(石内都さんのこの写真集自体もとても素敵なので、おすすめです)。20SSの製作にあたり、楠原さんは実家に戻って彼女の実母のクローゼットを開けてみて、そのワードローブを眺めてみたそう。そして、実家にいたときにたまに借りたりもしていたシルクのブラウスやレースのアイテムたちが並ぶのを改めて見て、母から娘へと大切にされ続けるお洋服の素敵さを感じたとおっしゃっていました。
だいすきな服、いつか似合いたい服、捨てられない服だっているクローゼット。クローゼットにはひとりひとりが一生懸命選んだ大事なお洋服たちがいて、今日という一日をたのしむためにその中からわたしたちは毎日お洋服を選んでいます。kollのお洋服も、そのなかの大事な一着になったらとても嬉しいです。
kollデザイナーの楠原麻由さんに、洋服を選ぶとき・作るときの「ルール」について伺いました。
洋服を選ぶとき、そして作るとき、共通する私の中のルールは「自分の意思で決める」こと。
現代には様々や情報が溢れていて、自分の装いに関する選択肢は無限にあります。
憧れのあの子の洋服をそっくり真似した10着のおしゃれな装いよりも、自分が本当に好きだから身に纏う1着の方が幾分、すてきだなぁと私は思います。例えばそれが、他の人から見たら全然何てことない恰好だったとしても。
お気に入りの1着を纏う日は、心が豊かになったり、いつもより少し背筋が伸びたり、人にやさしくできたり、自信を持てたりするから。自分が自分の人生の主役ってことを、改めて思い出したりすることができるから。
そういう力が洋服にはあると信じているし、そんな風に日々の小さな豊かさに、現実と現実の隙間にふっとある少し贅沢な時間に、そっと寄り添う洋服を作っていきたいと思っています。