遠い場所の情報や物語を覗ける、海外メディアウォッチの醍醐味
辰巳JUNKです。私はアメリカを中心としたポピュラーカルチャーについて色々と書くなかで、同国を中心とした海外メディアをチェックする習慣をつけています。英語ということで最初は心理ハードルが高かったのですが、簡単なニュース動画や簡潔な記事だと中学生レベルの文法で要旨が掴めるな、と感じられたことがウォッチの始まりでした。近年、Webブラウザやスマートフォンには該当ワードをペーストすればそのまま辞書検索する機能があったりもするので、テクノロジーの力によって難易度はより下がりつつあるかな、とも感じています。今回は、報道から文化系まで、よく見ている海外メディアを8つほど紹介したいと思います。
2020年、新型コロナウイルスによるパンデミック危機によって海の向こう側へ行くことはより難しくなってしまいましたが、インターネットの波に乗れば、遠い場所の情報や物語を覗くことができます。もちろん、権威ある媒体が発信することはすべて正しい、というわけではなく、そうしたプラットフォームに限っても意見はさまざま。色々な情報を見て、自分なりに思案していくこと、それこそメディアウォッチの醍醐味かもしれません。
<もくじ>
1. Netflix配信の解説番組『世界の"今"をダイジェスト』を制作したリベラルなニュースメディア『Vox』
2. 1か月のビデオ視聴数は25億にものぼる。ビデオメディアの代表格『NowThis』
3. アメリカを代表するレガシーメディア『The New York Times』
4. 老舗の経済誌、ビジネスの動きがキャッチできる『Forbes』
5. 統計学者ネイト・シルバーによる世論調査分析メディア『FiveThirtyEight』
6. 「多様性」を軸にさまざまなコンテンツを提供しているミレニアル世代の女性向けメディア『Refinery29』
7. 採点レビューで著名、コラムやインタビューも充実しているエンターテインメント系メディア『Pitchfork』
8. アンダーグラウンドでユースな才能を発掘、ビューティ、ファッション、デジタル、アートに強い『DAZED』
1.『Vox』(新興webメディア)
『Vox』は、2014年に開始されたリベラルなニュースメディア。日本では、Netflix配信の解説番組『世界の"今"をダイジェスト』を制作したことで有名です。
2.『NowThis』(動画ニュース)
『NowThis』はビデオメディアの代表格。1か月のビデオ視聴数は25億にのぼるほどで、2018年のアメリカ中間選挙の際にはブラッド・ピットとレオナルド・ディカプリオが投票を呼びかける動画を配信しました。
3.『The New York Times』(レガシーメディア)
『The New York Times』はアメリカを代表するレガシーメディア。近年は『日本のワーキングマザー 妻の過大な負担・夫の過少な支援』など、日本語記事もリリースしています。ドナルド・トランプ大統領との戦いの歴史にもあるように、イメージ的には「リベラル・メディアの総本山」と言えるでしょう。
4.『Forbes』(ビジネス)
いわずと知れた『Forbes』は老舗の経済誌で、毎年発表される長者番付は様々な国で話題となります。数字データが多いので、ビジネスの動きがキャッチできるのが強み。2019年の『もっとも裕福なたたき上げ女性』リストでは、80人中11人がビューティやスキンケア産業を営んでいるため、パーソナルケア産業の成長を実感できます。
5.『FiveThirtyEight』(統計リサーチ)
『FiveThirtyEight』は2012年アメリカ大統領選挙の予想を50州すべて的中させた統計学者ネイト・シルバーによる世論調査分析メディア。「2020年4月4日時点では新型コロナウイルスの症例数はあまり有用な指標ではないこと」など、専門的な観点が丁寧に解説されています。
6.『Refinery29』(女性向け)
『Refinery29』はミレニアル世代の女性向けのメディア。オスカー女優ローラ・ダーンを主演としたフェミニズム・ウエスタンな短編映画『The Good Time Girls』など、「多様性」を軸にさまざまなコンテンツを提供していて、2016年には「67% project」が注目されました。これは、米国女性の67%がサイズ14以上の衣服を着ているにもかかわらず、メディアで描かれる同様の体型の女性像は全体2%ほどに満たない問題にフォーカスをあてた企画。
7.『Pitchfork』(エンターテインメント系)
音楽メディア『Pitchfork』は採点レビューで著名ですが、コラムやインタビューも充実しています。32人のアーティストがコロナ禍に聴く音楽を紹介する記事では、Christine and the QueensのTame Impala『Slow Rush』評が素敵です。
8.『DAZED』(アート系)
オルタナティブ系で重宝しているのは、英国ロンドンを拠点とした『DAZED』。アンダーグラウンドでユースな才能の発掘を指標としていて、ビューティやファッション、デジタルが充実しているのですが、アート分野も強力です。
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