2020年5月7日(木)
エレン 5月7日 16:30
今日はエネルギーが低い。昼過ぎに散歩に行くには、暖かすぎる。後で行くかもしれない。今日は、私の村で毎週開催されている、オーガニック市の日だ。今始まるので、後から行くかもしれない。日曜日に立つ大きな市は、コロナウイルスにより閉鎖されている。けれども、この小さなオーガニック市は開催されている。なぜ日曜日の市が立たないのかが、理解できない。最近の政治的決定の大部分は、私にとって意味をなさない。スーパーマーケットは開いているのに、屋外のマーケットをすべて開催することができないのはなぜか。
今日の午後、私はスイス人の人類学者の、ウイルス危機についてのインタビューを見た。とても面白かった。彼の名前は、ジャン−ドミニク・ミシェル。私は初めて、自由で懸命な意見を聞いた気がした。まったく初めてではなかったかもしれない。同じ題材についての、イタリア人哲学者ジョルジオ・アガンベンの文章も読んだから。けれども、このインタビューの話題はもっと詳細に及んでいた。嘘ではなく、真実を耳にしたと深く感じるときは、とても気持ちが良いものだし、感動的ですらある。
私の定番のお気に入りの本を、数ページ読んだ。『アンナ・アクマトワとのインタビュー』と題された本(英語版は『アカマトワ日記』。新しいフランス語版だけが、ロシア版と同じくらい完全版だ)。これは、ただのインタビューではなかった。著者のリディア・チェコフスカヤは、アクマトワの友人であり最初の崇拝者で、彼女は30年間ほど定期的にアクマトワに会いに行き、家に帰ると、訪問のレポートを書いた。彼女が書くのは、報告だけではない。驚異的な記憶力を持つチェコフスカヤは、多くのロシア人のように数百もの詩を暗記していたが、彼女は詩を一回聞いただけで、あるいは読んだだけで、暗記することができたのだ。それだけではなく、彼女は空間や天候、服装、雰囲気など、細部へのすばらしい感受性を持っていた。そして、彼女は面白いと思ったアクマトワの言葉をすべて書き写していた。この本を読んでいると、あたかも自分がアクマトワと一緒にいるような気分になる。20世紀のもっとも偉大な詩人の一人である彼女と一緒に。私はこの本を、日本旅行を前にした1月に読み始めた。同時に他の本も読んでいたのだが、私はこの1,248ページに及ぶ本を、とてもゆっくり読みたいと思ったし、二人のとても聡明で感受性ゆたかな女性たちと、できるだけ長く一緒にいたい、と思った。だから私は、1日に数ページだけ読むことにしたのだ。
ナカコ 5月7日 17:00
午前中、英語の授業の宿題として、死刑についての作文をした。この課題をきっかけに、報復主義について考えた。試験勉強として出題されたことで、死刑が妥当かどうかという問題について深く考えることになった。復讐には終わりがない。処刑で終止符を打とうとする死刑は、その罪が社会にとって何を意味したのかを考えることを、やめさせてしまうのではないか。だから、廃止すべきだと考えた。
今日は、いくつかのニュースが届いた。それによって、私の気持ちは宙に浮いた。すべてが不確実な、未来についての知らせだったから。1日の中で、確実に「できた」と言えるものは、死刑についての文章と、今朝つくったもう一つの短い文章だけ。これはコロナウイルスの状況下で初めてこなした、仕事の文章だった。この状況の中でも私を励まし続けてくれている、山下陽光さんと後藤輝さんの活動について、花椿webに書いたものだ。