些細な工夫で部屋で過ごす時間も豊かに。原倫子が描く女性の暮らし

半熟卵のサンドイッチを頬張ったり、夜の読書に耽ったり

2020年5・6月 特集:ここで生きる
テキスト:ときとう藤花 編集:竹中万季
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「ここ」で生きることを想う。目の前にあるものを観察し、愛で、時にはメンテナンスすることで。あるいは、想像という目に見えない雄大な景色にアクセスすることで。生きる手触りを確認して、重ねていく。いまここで暮らす自分を励まし、いつかのここを耕していこう。

今回は「ここで生きる」ということに紐付いた絵を描くイラストレーターと、その作品をご紹介します。絵や作家自身の暮らしの中に流れる空気にふれることで、あなたがより心地よくおうちで過ごす手がかりに、そして「ここ」の解像度を上げるきっかけになれば幸いです。

原倫子『卵の黄身は半熟』

第199回『ザ・チョイス』入選などの経歴を持ち、書籍、雑誌などエディトリアルを中心に活動するイラストレーターの原倫子さん。作品だけでなく、文章が添えられた絵日記も頻繁に更新されるInstagramでは、色彩豊かに描き留められた日常のワンシーンを多数見ることができます。

そんな彼女の絵の中から、室内で過ごす女性を描いた三枚をご紹介します。作品に描かれた女性は、半熟卵のサンドイッチを頬張ったり、夜の読書に耽ったりと、うつりかわる一日の時間を大切に過ごしているようです。何かに少し多く時間を割いてみることや、好きなものにとことん没頭すること、ときには体の力を抜いて心身を解放すること。きっとこういった些細な工夫ひとつで、ひとりでいる時間は無限に豊かになるのだと気付かせてくれる作品群です。

原倫子『夜の読書』

原さんに「部屋でのお気に入りの過ごし方や、こだわりはありますか? また、それらを反映した作品で気に入っているものがあれば教えてください」という質問を投げかけたところ、こんなお返事をいただきました。

インドア気質で、隙あらば家で過ごします。絵ばかり描いて過ごしているので特別な過ごし方は……あまり無いのですが、家の猫たちにちょっかいを出すこと、庭の植物を観察すること、横になって本を読みながら寝落ちすること。ときどき時間のかかるいい匂いのする煮物(おでん、豚の角煮、ジャムなど)を火にかけながらぼーっとすること。記事のためにピックアップして頂いた作品は、考えてみれば全て私の生活を反映したものです。些細な心の揺れ、記憶からこぼれていってしまうようなことを描き留めておきたい。

「夜の読書」という作品がとりわけ気に入っています。ブローティガンの『アメリカの鱒釣り』を読んでいた頃の日記をもとにスルッと描けた絵で、ちからの抜け具合がいい塩梅だと思っています。

身近なものをまなざす時間と、リラックスをする時間の両方を設けている彼女の日々が、作品に反映されているのですね。ルーティンだと感じてしまう暮らしでも、クローズアップしてみれば毎日少しずつ違う出来事が起き、違うことを思っている。そうやって生活は築き上げられていくものです。原さんや、彼女が描く女性たちのように、オリジナルの「ここ」を作り上げ、寛ぐ時間と心の揺れを大切にできたら素敵です。

原倫子『誰にも言えない』

PROFILE

原倫子

長野県出身。東京都在住。
多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。MJイラストレーションズ卒業。
フリーランスのイラストレーターとして2017年より活動。
書籍、雑誌を中心に活動。主な仕事にマガジンハウス「&Premium」挿絵、「&Interior」表紙イラストレーション、PRONTO「あさのラテ」カップなど。
装画を担当したポール・オースター 著、柴田元幸 訳『ブルックリン・フォリーズ』新潮文庫より5月28日に発売。

<主な展示履歴>
2019 個展「Sweet Spot.」ギャラリー・ルモンド
2018 個展「的皪(てきれき)」HBギャラリー

ときとう藤花

町歩きと買い物が趣味の編集アシスタント

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