林央子とエレン・フライスのParallel Diaries(2020年7月)

自主隔離最後の日、重要な女性の連帯、カウンセラーに会う

連載:林央子とエレン・フライスのParallel Diaries
テキスト・撮影:林央子、エレン・フライス 翻訳:林央子 編集:竹中万季
  • SHARE

ここと、あそこ。hereとthere。エレン・フライスと私の交流は、彼女がパリに住んで『Purple』を編集し、私が東京に住んで『花椿』の編集部にいたころからいつも、距離を前提としていた。年2回、私はその距離を飛び越えてパリに出張に行っていた。90年代のパリ・コレクションのシーズンだ。

距離を飛び越えたところに、友達がいるというのはワクワクすることだと、はっきり自覚するようになったのは『流行通信』で「エレンの日記」の翻訳連載を始めた2000年の始めごろだっただろうか。そして私は『here and there』という不定期刊行の雑誌をつくり始めた。題名の名付け親は、エレンだった。

Parallel Diariesの題名はエレンの提案により、Tumblrをつかって始めた二人のblogプロジェクトであった。二人とも気ままにポストをしたけれど、いつしか立ち消えてしまった。その時エレンは南西仏の村の一軒家に娘と住み、私は東京の谷中に住んでいた。いま、私は息子とロンドンに住み、エレンは変わらずその一軒家に住んでいる。

コロナウイルスによるロックダウンの生活が始まって、エレンの正直な声を聞きたくなって執筆に誘うと、エレンは「一緒に書きましょう」と言った。二人の間をメールで行き来した並行日記は、その日の気分の上澄をすくいとり、私たちのすごした季節の感情を映した。

2020年7月16日(木)

ナカコ 7月16日(木)18:00 Tokyo

東京に戻ってきた。昨日と一昨日は、みけまゆみさんの占星術講座に参加していた。参加者が人生の真の目的を把握できるように企画されたワークショップだ。各個人の太陽、水星、火星、金星といったサインや、アセンダントやMCが何を表しているか。2日間にわたり9時間ずつ、5人それぞれの星について、みけさんはほぼ止まることなく話し続けていた。

クラスが終わったとき、そこで得た膨大な知識量にぼおっとなった。けれども夜になると、帰国後初めて時差に悩まされず、ぐっすり朝まで寝ることができた。人生の設計図を知ることで、心の底から安心できたのかもしれない。

エレン 7月16日(木)22:30 Saint-Antonin-Noble-Val

友達のレティシアと、息子のエミルが家にいるのは、今日まで。私たちは美しい場所へピクニックに行った。二人とも写真を撮った(私はインスタントで)。レティシアは私がウスベニアオイの花を摘むのを手伝ってくれた。彼女は90年代半ばからのとても親しい友達で、約20年間、私のアートの、そして人生の冒険のほとんどに参加してくれた。私がパリを離れてから、最初のうちしばらくは会うことがなかったけれど、このところ数年は、彼女が休日を私の村で過ごすようになった。エミルは11才で、私の娘のクラリッサは10才。とてもよい友達だ。今回、私たちは彼らが長い間話し込んでいるのに気がついた。まるでティーンエイジャーのように。彼らが本物の思春期を迎えるころには、どんな友達関係になっていくのだろうか。

PROFILE

林央子
林央子

編集者。1966年生まれ。同時代を生きるアーティストとの対話から紡ぎ出す個人雑誌『here and there』を企画・編集・執筆する。2002年に同誌を創刊し、現在までに今号を含み14冊制作。資生堂『花椿』編集部に所属(1988~2001)の後フリーランスに。自身の琴線にふれたアーティストの活動を、新聞、雑誌、webマガジンなど各種媒体への執筆により継続的にレポートする。2014年の「拡張するファッション」展に続き、東京都写真美術館で行われた「写真とファッション 1990年代からの関係性を探る」展(~7/19)の監修を勤めた。同展にはエレン・フライスも招聘。現在『She is』『まほら』ほかにて連載執筆中。
Parallel Diaries

エレン・フライス

1968年、フランス生まれ。1992年から2000年代初頭にかけて、インディペンデントな編集方針によるファッション・カルチャー誌『Purple』を刊行。その後も個人的な視点にもとづくジャーナリズム誌『HÉLÈNE』『The Purple Journal』を手掛ける。また、1994年の「L’Hiver de L’Amour」をはじめ世界各国の美術館で展覧会を企画。現在はフランス南西部の町サン・タントナン・ノーブル・ヴァルで娘と暮らしながら、写真家としても活躍している。編著に『Les Chroniques Purple』(VACANT、2014年)、著書に『エレンの日記』(林央子訳 アダチプレス 2020年)。東京都写真美術館の「写真とファッション」展では新作スライドショー《Ici-Bas》を発表。

INFORMATION

連載:林央子とエレン・フライスのParallel Diaries
連載:林央子とエレン・フライスのParallel Diaries
『Purple』『here and there』の編集者が
離れた場所で綴り合う並行日記

vol.1 林央子とエレン・フライスのParallel Diaries(2020年5月)
vol.2 林央子とエレン・フライスのParallel Diaries(2020年6月)
vol.3 林央子とエレン・フライスのParallel Diaries(7月)

林央子とエレン・フライスのParallel Diaries(2020年7月)

SHARE!

林央子とエレン・フライスのParallel Diaries(2020年7月)

She isの最新情報は
TwitterやFacebookをフォローして
チェック!

コメントする前に こちらの利用規約
必ずご確認ください

コメント

コメントはMembersのみ行うことができます
Membersについて詳しくはこちら
/ Membersの方のログインはこちら

RECOMMENDED

LATEST

MORE

LIMITED ARTICLES

She isのMembersだけが読むことができる限定記事。ログイン後にお読みいただけます。

MEMBERSとは?

202009-myself-gift07

4つのステップに分けられた瞑想体験であなただけのための時間を