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林央子とエレン・フライスのParallel Diaries(2020年7月)

自主隔離最後の日、重要な女性の連帯、カウンセラーに会う

連載:林央子とエレン・フライスのParallel Diaries
テキスト・撮影:林央子、エレン・フライス 翻訳:林央子 編集:竹中万季
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2020年7月20日(月)

エレン 7月20日(月) 22:00

家に泊まり客がいて、また来客もあったために、普通の状況に戻るために2日間、掃除にあけくれていた。私はとても散らかしがちな人間なのだが、自分にとって親しみのわく空間に戻し、再び私のものにする必要があった。家が大きすぎるために、完璧に掃除するのは私の力では不可能だ。いつも全力をつくしているけれど、掃除し切れたことはない。家を買うときは、そこまで考えが及ばなかった。かつて都市の住人だった人間として、突然広い空間があるのは信じられないと思うからだ。たくさんの物や本、服などをため込んだが、ブロカンテで見つけたさまざまな古い物もたくさんある。バスケットや皿など……。現在まで、スペースが問題になることはなかった。けれども私は大きな家を、ほぼいっぱいにしてしまったようだ。この夏はついに、2008年にパリを離れた時からまだパリに置いてあった持ち物のすべてが、トラックでやってくる。昔のくらしが、新しい生活のなかにやってくるのは心配だ。整理に数週間は要するだろう。何箱もの本、アートカタログ、皿などもう不要なものだが、再会が嬉しいものもある、たとえばいくつかのアートワーク、他にもあれこれあるだろう!

PROFILE

林央子
林央子

編集者。1966年生まれ。同時代を生きるアーティストとの対話から紡ぎ出す個人雑誌『here and there』を企画・編集・執筆する。2002年に同誌を創刊し、現在までに今号を含み14冊制作。資生堂『花椿』編集部に所属(1988~2001)の後フリーランスに。自身の琴線にふれたアーティストの活動を、新聞、雑誌、webマガジンなど各種媒体への執筆により継続的にレポートする。2014年の「拡張するファッション」展に続き、東京都写真美術館で行われた「写真とファッション 1990年代からの関係性を探る」展(~7/19)の監修を勤めた。同展にはエレン・フライスも招聘。現在『She is』『まほら』ほかにて連載執筆中。
Parallel Diaries

エレン・フライス

1968年、フランス生まれ。1992年から2000年代初頭にかけて、インディペンデントな編集方針によるファッション・カルチャー誌『Purple』を刊行。その後も個人的な視点にもとづくジャーナリズム誌『HÉLÈNE』『The Purple Journal』を手掛ける。また、1994年の「L’Hiver de L’Amour」をはじめ世界各国の美術館で展覧会を企画。現在はフランス南西部の町サン・タントナン・ノーブル・ヴァルで娘と暮らしながら、写真家としても活躍している。編著に『Les Chroniques Purple』(VACANT、2014年)、著書に『エレンの日記』(林央子訳 アダチプレス 2020年)。東京都写真美術館の「写真とファッション」展では新作スライドショー《Ici-Bas》を発表。

INFORMATION

連載:林央子とエレン・フライスのParallel Diaries
連載:林央子とエレン・フライスのParallel Diaries
『Purple』『here and there』の編集者が
離れた場所で綴り合う並行日記

vol.1 林央子とエレン・フライスのParallel Diaries(2020年5月)
vol.2 林央子とエレン・フライスのParallel Diaries(2020年6月)
vol.3 林央子とエレン・フライスのParallel Diaries(2020年7月)

林央子とエレン・フライスのParallel Diaries(2020年7月)

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