Instagramを中心にU30世代に向けて政治や社会の情報を発信するNO YOUTH NO JAPANの連載。さまざまな女性たちに政治へのかかわり方を伺うインタビューや、代表の能條桃子さんが政治を語るためのきっかけを綴るコラムをお届け。政治を語るコトバを持つということは、それぞれが自分の想いに気づくということ。政治を語るわたしたちのコトバは、わたしたち一人ひとりが生きたい社会に繋がっていくはず。
どうしていま、わたしたちには「政治を語るコトバ」が必要だと思うのか?
初めまして、こんにちは。
NO YOUTH NO JAPAN代表の能條桃子と申します。
若い世代の政治参加をもっと当たり前でワクワクするものにしたいとNO YOUTH NO JAPANを立ち上げました。Instagramを中心に、U30世代のための政治・社会の教科書メディアを運営しています。
NO YOUTH NO JAPANは大学生を中心に60名ほどのメンバーで活動しています。男性が多い「政治」という分野に関する活動をする団体としては珍しく、メンバーの9割が女性で、運営しているSNSメディアも約5万人のフォロワーのうち10代から30代の女性が8割以上を占めています。
昔は男性しか参加できなかった政治、今も男性中心に進む政治。
この連載では、20代のわたしたちの目線で、改めて「女性と政治」について考えていきます。
今回はNO YOUTH NO JAPANの連載タイトル「わたしたちのコトバで、政治を語る」に込められた想いや、どうして今、わたしたちには「政治を語るコトバ」が必要だと思うのか? という話をしたいと思います。
女性としてこの社会を生きていると、たくさんの「モヤモヤ」に出会う
突然ですが、皆さんは、今の社会にモヤモヤすることはありますか?
もっとこういう社会だったらいいのに、と思うことはありますか?
22歳の私は、たくさんのモヤモヤを抱えて生きています。
「どうして女子学生だけが子育てをしながら続けられるキャリアを考えて就職活動をしないといけないの?」
「政治の世界に女性が少ないのはどうして? いつ日本で女性首相は生まれるのだろう?」
「生理用品が軽減税率の対象外で、消費税10%なのはおかしくない?」
「少子化の理由を女性のわがままだというのはやめてほしい」
生活の中で、男性だったらこんな思いしなくて済むのかなと感じることもあります。
この社会に対してモヤモヤせずに生きられたら、どんなに幸せだろうと思うけれど、やっぱりそれは難しい。わたしたちはこのまま我慢して過ごすしかないのでしょうか。「女性である」ただそれだけで感じなければいけないたくさんのモヤモヤって、わたしたちのせいなんでしょうか。きっとそうではないと、なんとなく分かっているはずです。今あるモヤモヤを生み出す現状をなくせるように、次の世代にはそんなモヤモヤを引き継がないで済むように、今から動いていくしかない。そんな風に思っています。
モヤモヤが集まると、これが一人ひとりの問題ではなく、わたしたちの社会の問題になる
私が中学生の時、家庭科と技術科の授業は当たり前のように男女共修でした。もし、女子だから家庭科・男子だから技術科だけを受けるカリキュラムだったら、モヤモヤしたと思います。でも、この当たり前に思っている技術・家庭科の共修は約30年前(1989年)からで、それまでは男女別授業だった時代がありました。
「家庭科は女子・技術科は男子という性別役割分業に基づくカリキュラムはおかしいのでは?」というモヤモヤを抱え、政治に声をあげて変化を起こしてきてくれた人がいるからこそ、今のわたしたちの当たり前があるのだと思います。
日々、たくさんの「モヤモヤ」に出会うけど、「モヤモヤ」を誰かに伝えてみたり、SNSでシェアしてみたりすると、意外とこう感じているのは一人じゃないということに気づいたりします。このモヤモヤが集まると、これが一人ひとりの問題ではなく、わたしたちの社会の問題になります。社会の問題は、政治でも解決できます。問題の解決を望む声を政治に届ければ、変わることがあるのではないか。このプロセスを続けていくことで、わたしたちのモヤモヤが一つずつ減って、少しでも生きやすい社会がつくれると信じます。
珍しいかもしれませんが、「若者は政治に無関心」と言われている中で、私は、政治が好きです。法律などのルールを整備し、税金の使い道を決めることができる政治は、社会の問題を解決するツールだと思うから。
「女性」であることで、自分らしく生きることを邪魔されたくない。
「自分らしく」生きるためにも、やっぱり政治は大事だなと思っています。
「ここにモヤモヤした」「わたしはもっとこういう社会に生きたい」
無理に話す必要はないと思うけど、肩肘張らないこんな会話が「政治」を話すきっかけになったらいいなと思います。政治は「野球」「宗教」と並んで語ることがタブーだとされることがあります。でも、身近に感じたモヤモヤをきっかけに政治を語る光景が増えてくれば、もっと穏やかな「政治」像をつくれるのだと思います。
人格否定を伴う攻撃的な会話ではなく、リスペクトしあう「意見」の交換。
知っていることが正義ではなく、想いがベースの会話。
政局のゲームではなく、わたしたちが求める政策の議論。
そんな姿が、社会に「モヤモヤ」を抱えるわたしたちが求めているものではないでしょうか。
男性中心の「だれかの政治」から「わたしたちの政治」に
2020年9月、新政権が誕生し、大臣が出揃ったとき、そこには女性が20人中2人しかいませんでした。私がこれから80年くらい生きることになるかもしれない日本の現状に、軽く絶望しました。
「これからこの社会で生きていく22歳の私を絶望させないでくれ」と願ったとしても、多分この現状は変わらないのでしょう。いまの社会をつくってきた人たちはその人たちの正義に従って十分頑張ってきたのだから。
だからこそ、わたしはこの現状を変える一部でありたいと強く思いました。
政治をわたしたちが語ることを始めなければ、この現状はきっとゆっくりとしか改善されない。わたしたち大学生の世代も、やがて働く人が増え、結婚する人が現れ、子どもを産み育てたいという人も出てくるでしょう。変化をただ待っているだけでは、モヤモヤを抱えながらそんな時期を通り過ぎてしまうことになる。そうさせないために、皆さんと一緒にわたしたちのコトバでわたしたちのための政治を語りたい。モヤモヤがある人こそ「だれかの政治」を「わたしたちの政治」に変えていける仲間になれると確信しています。だから、この連載を通じて出会えた皆さんが一人でも仲間になってくれたら嬉しいです。今後ともお付き合いをよろしくお願いします。