チーム未完成の「働くとは何ぞや」第四回
ゲスト:とんぼせんせい

未完成の顔の生みの親。とんぼせんせいは「先生」だった

連載:チーム未完成の「働くとは何ぞや」
インタビュー:チーム未完成(しをりん、ゆりしー、ぴっかぱいせん、げっちゃん) テキスト:ゆりしー 撮影:ぴっかぱいせん 編集:竹中万季
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毎度! チーム未完成です。
この連載では、未完成が気になる人たちをゲストに招いて、アルコールと酒場の空気という神聖な力を借りて、働くことや人生について毎回お話ししております。全員分の飲み代を1万円以内に収めるという自分たちで決めたルールが一応ありまして、いつもその志だけは強く胸に抱きつつ、収められたり収められなかったりしながら、やんややんやとやっております。

今回は、「3本の線を引くだけでどこにでも現れる」でおなじみのイラストレーター、とんぼせんせいがやってきてくれました。チーム未完成の面こと顔を描いてくださった、私たちにとってジャムおじさんのような存在であるとんぼせんせい。そんなとんぼせんせいが、「とんぼせんせい」をお仕事にするまでをお聞きしました。

「とんぼせんせいが『装苑』に載ってますよ!」って言われて「ええ?」と思ったらチーム未完成が載ってた。

ゆりしー:とんぼせんせいとチーム未完成で飲むのは実は初めてですね!

とんぼせんせい:しをりんとゆりしーとはご飯に行ったことがあったけどね。未完成とのお付き合いはもう4年くらいかなあ。最初はしをりんから突然SNSで連絡をもらって、僕が東京にいるタイミングで食事をしたんですよね。そのときにチーム未完成のZINEを見せてもらったりして。

普段は京都在住のとんぼせんせい。この日はご自身の個展のため、東京に来ていました。

しをりん:過去のやりとりを振り返ると、最初は結構ちゃんとした文章で連絡してたのに、その食事を挟んで3週間後にはもう「とんぼティーチャー様」って送ってますね(笑)。

ファーストコンタクトから3週間で、パン画像と「とんぼティーチャー樣」を送る仲に。

ゆりしー:その頃はまだチーム未完成を始めたばかりで面がなくて、「何か顔を隠すものが欲しいね」という話になったときに、メンバーみんながとんぼせんせいの作品が大好きだったので、無謀にも顔を提供していただけないかお願いしたんですよね。

しをりん:お願いしたその日にはもうレスポンスがあって。

しをりんとゆりしーの「未完亭」というユニットで、とんぼせんせいの個展のオープニングレセプションでケータリングをやらせていただいたことも。

とんぼせんせい:頼んでもらえて僕もよかったです。「とんぼせんせいが『装苑』に載ってますよ!」って友人に言われて「ええ?」と思ったら未完成が載ってたり、「とんぼせんせいがCHAIのMV(※)に出てますよ!」って言われてびっくりしたり。
(※チーム未完成が制作したCHAIの『ボーイズ・セコ・メン』のMVに、面をつけてちらりと映り込んでおります)

CHAI『ボーイズ・セコ・メン』

未完成一同:(笑)。

ゆりしー:面をつけていろんなことをやってるから、とんぼせんせいに恐縮な気持ちがいつもあるんです。せんせいは、本当はどう思ってるんだろうって……(笑)。

げっちゃん:そろそろ「ちょっと!」って言われないかなって。

とんぼせんせい:いや、ありがたいですよ。面白いことやってるから。

未完成一同:恐縮です‼

乾杯! 写真撮影のときは、見えないけどいつも面の下でちゃんと表情を作ってます。

ずっと彫刻を続けていたけれど、「なんだかうまいこといかへんなあ」みたいな感覚がぼんやりあった。

ゆりしー:まずはとんぼせんせいが、とんぼせんせいになるまでを教えてください! とんぼ少年はどんな少年でしたか?

とんぼせんせい:そうですねえ……小学校の頃は割とはつらつとしてたんですけど、中学校であんまりうまいこといかなくて。まず、制服を着なきゃいけないことが嫌だったんですよ。それまでは性別をあまり意識していなかったのに、自分が男であることを、急に押し付けられたような気持ちになって。あとは不良グループにちょっと強い感じでいじられたりすることがあって、それも嫌でしたね。

ゆりしー:その頃って絵は描いていたんですか?

とんぼせんせい:漫画の真似ごとをしたり、美術部に入って油絵を描いてたんですけど、あくまで趣味程度でしたね。それで、高校で進学校に入れば周りの環境も落ち着くだろうと思って、頑張って進学校に入ったんですけど、今度は勉強についていけなくなって。当時から日本語ラップやファッションが好きだったんですけど、愛知の田舎に住んでいたし、「サブカルチャー」なんていう言葉も知らなかったから、そういう「ちょっと変わったものが好き」っていう感覚もどうしたらいいかわからなくて。鬱屈としながら1人で名古屋まで服を買いに行ったりしてました。

進路を決める時期になって、周りの人が大学受験の勉強をしているなかで、自分はどうしようかなと思っていたんですけど、好きだったファッションの勉強をしようと思って。どうやら美術大学に入ればそういう勉強ができるらしいとわかって、いくつか受験をしたなかで、結果的にファッションの専攻じゃなくて、京都精華大学の立体造形専攻に受かったんです。

げっちゃん:私、生まれ変わったら京都で大学生活送ってみたい! 森見登美彦の小説のイメージ。

とんぼせんせい:確かに、実際あの感じはわかりますね。自由自治の感覚がすごくあって、校舎内に立て看板がいっぱいあったり、そういう雰囲気がいいなと思って入ったんです。

お通しは山盛りのなめこおろし。あつあつのコロッケは、中身が肉じゃがに似ている変わり種。

しをりん:大学に入った時点で、ファッションについてはもういいやって感じだったんですか?

とんぼせんせい:いや、好きでした。なので、ファッションを彫刻に落とし込めたらいいなと考えていて、布を使った立体作品を作ったりしてましたね。

しをりん:じゃあ、今のとんぼせんせいの作品とは違って結構抽象的な作品というか。

とんぼせんせい:そうですね。だから当時は現代美術の世界でなんとかなったらいいなと思って、大学卒業後に京都市立芸術大学の大学院の彫刻専攻に入ったんです。そうすると、同じ大学院には、もうすでにギャラリーと契約してる人たちがいたりするんですよ。その頃、若干アートバブルっぽかったこともあって。大体そういうのは「ユガ」の人たちなんですけど。

げっちゃん:湯葉?

一同:(笑)。

とんぼせんせい:京都だしね! あの、「油画」です。

げっちゃん、湯葉にびっくり。

げっちゃん:まさかと思ったけど!

とんぼせんせい:ええ(笑)。油絵の方が売りやすいし、飾りやすいですから。そうやって同じ大学院に才能のある人たちがいっぱいいて、僕もずっと彫刻を続けていたんですけど、「なんだかうまいこといかへんなあ」みたいな感覚がぼんやりあって。

PROFILE

チーム未完成
チーム未完成

しをりん、ゆりしー、ぴっかぱいせん、げっちゃんの落ち着いた大人の女性4名によるクリエイターごっこ集団。各々が、写真、デザイン、似顔絵、ライティング(文章)、番組構成、音楽制作、DJ、ガヤなどの一発芸を持ち、2014年夏に渋谷センター街に彗星の如く出現した気でいます。パンと書かれたステッカー、パンのZINE、パンのグッズ、パンのアパレル、パンの楽曲等を次々と発表し、主にアートイベントの賑やかしとして活躍しています。最近、映像制作にも手をつけ始めました。

とんぼせんせい
とんぼせんせい

愛知県生まれ。京都市立芸術大学 大学院 美術研究科 彫刻専攻 修了。
2011年から「三本の線を引くだけでどこにでも現れる」をコンセプトに多岐にわたり活動。
最果タヒ 著「きみの言い訳は最高の芸術」や、スモール出版「DIALOGUE BOOKS」シリーズへのイラスト提供、ポニーキャニオンのキャラクターディレクションなどを行う。
その他、個展・グループ展・イベント・ワークショップ参加など多数。
2018年から京都造形芸術大学 情報デザイン学科の専任講師も務める。

INFORMATION

連載:チーム未完成の「働くとは何ぞや」
連載:チーム未完成の「働くとは何ぞや」
「どうやって食ってるの?」って人に酒の力を借りてねほりはほり切り込む

第一回ゲスト:刺繍作家・小菅くみさん
第二回ゲスト:伊波英里さん
第三回ゲスト:LIP・田中佑典さん
第四回ゲスト:とんぼせんせい

イベント情報
She is✕チーム未完成✕Cookpad Do! 『デッ活 ~パンでDo! する出会いのデッサン~』

「Cookpad Do!」(クックパッド・ドゥ)ローンチイベントとして、She isと、Girlfriendsでもあるクリエイター集団「チーム未完成」がタッグを組み、パン×デッサン×料理のまったく新しい出会いイベント「デッ活」を開催します。

2018年12月16日(日)
12:30開場 / 13:00〜15:30
会場:クックパッド本社
出演:チーム未完成

She is✕チーム未完成✕Cookpad Do! 『デッ活 ~パンでDo! する出会いのデッサン~』

チーム未完成の「働くとは何ぞや」第四回ゲスト:とんぼせんせい

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