日本の、東京で観測できる範囲で申しますと、こないだまで長袖の上着着てたのに、いつの間にか暑いわじめじめしてるわで、愛なんていらねえよ、夏(いるけどね)的な気候ですね。
さてさて、とくにお伝えすべきこともしたいこともないのですが、ご挨拶なしに本題に入るのもあれなのかしら、ということを考えてみたりする程度の凡庸な社会性を備えたチーム未完成です。
この連載では、我々チーム未完成が毎回気になる方々をゲストにお呼びして、お酒を飲んだり飲まなかったりしながら働くことや人生についてざっくばらんにお話ししています(全員分の飲み代を1万円以内に収めるというルールも一応あったりします)。
第5回を迎えたこのたびは、アーティスト集団・Chim↑Pomからエリイちゃんが登場してくれました! やったね! この連載はいつも全体的に茶色目の居酒屋からお届けしているのですが、今回はエリイちゃんのパートナーである「Smappa! Group」会長の手塚マキさんのお店、歌舞伎町の「人間レストラン」にお邪魔してきました。
カトリック系の学校でキリスト教の考え方が叩き込まれていて、それが私の人間性の根底にあるかもしれない。
ゆりしー:この連載では毎回チーム未完成が気になる人をお招きしているのですが、芸術家ってどうやって暮らしているのか、多くの人からは見えづらい職業かもしれないなと。
しをりん:絵を描く人やものをつくって売っている人はどうやってお金になっているかがなんとなく見えるけど、Chim↑Pomはそうじゃない作品が多いから余計に。
エリイ:そうだよね、よく聞かれる。
しをりん:エリイちゃんって子供の頃はどんな子だったの?
エリイ:幼稚園から高校まで、カトリック系の学校に行ってたの。だからキリスト教の考え方が叩き込まれていて、それが私の人間性の根底にあるかもしれない。
ゆりしー:カトリックの学校で培われた人間性って具体的にはどんな部分?
エリイ:やっぱり「汝の隣人を愛せ」ってことかな。性格はずっとこんな感じだし、高いところに登ったり、泳いだりするのが好きで、めっちゃ活発だった。体育の授業とかは全然好きじゃなかったけどね!
しをりん:やらされるのが嫌いだったんだ。
エリイ:やらされるの、超嫌い。中学と高校の6年間で一回も国語の授業で起きてたことがないのに気づいて、最後の授業で今回だけは起きてみようって試したけどやっぱり寝ちゃった。
ゆりしー:高校までの学校の授業って、大体が受動的だからかな。
エリイ:確かに、だからかも。
1人だったらマジで生きていけないと思う。でも、仲間がいればなんとかなる可能性もある。
しをりん:高校生の頃はものをつくったりしてたの?
エリイ:16歳くらいからギャラリー巡りをしたりしてて、3歳の頃からずっとピアノを習ってたんだけど先生に美大を勧められて。それで美大の存在を知って、美術予備校に行き始めて、一浪してムサビ(武蔵野美術大学)に入ったの。
しをりん:へー、ピアノの先生の勧めなんだ。
エリイ:ピアノは全然上達しなかったからね。
しをりん:先生も違う方向に進んだ方がいいって思ったのかな(笑)。
ゲッツ!:Chim↑Pomのメンバーはどうやって集まったんだっけ?
エリイ:うちのリーダー(卯城竜太)が集めたの。私は会田誠さんの絵のモデルをやっていたりしてて、ほかのメンバーとは会田さんの制作の手伝いをしたりしててギャラリーで知り合った。メンバーのうち2人くらいとはChim↑Pomとして集まるまで喋ったこともなかったな。ちょうど大学3年生で結成した。
ゆりしー:就活しようって思ったことはあったの?
エリイ:一度もないなあ。
ゆりしー:その時点でアートで食べていこうっていう決意が固まっていたのかな。
エリイ:まずどこかに就職して毎日同じところに行ったりするのは不可能だと思って。朝起きることがまず絶対に無理だから。
しをりん:それをグループでやろうと思ったのは?
エリイ:1人で生きていくのが辛いから。
未完成:(笑)。
エリイ:1人だったらマジで生きていけないと思う。でも、仲間がいればなんとかなる可能性もあるかもしれないと、若かりし頃の私は思ったの。
ゆりしー:生存戦略として。
しをりん:うちらもそれに近いかも。
私はたまに息をするのも超だるい。だけど、一緒にやるメンバーがいればなんとかベッドから起きあがることもできるかもと思って結成された。
ゆりしー:結成して、最初の頃ってバイトとかしてたの?
エリイ:オカヤン(岡田将孝)は葬儀屋やってたな。土木工事をしてたメンバーもいた。私はキャバクラの客引きをしたり。キャバ嬢は私の性格的にむずかしいなと思って客引きならできるかもと。結構長い間やってて、すごい引けて、超重宝されてた。
ゆりしー:「すごい引けて」っていいね(笑)。
ぱいせん:それは歩合制的な。
エリイ:そうそう。だけど、そのキャバクラが風営法に引っかかって潰れちゃったの。その頃は500円くらいしか持ってなかったな。
しをりん:Chim↑Pomって制作のお金はどうやって捻出してるの?
エリイ:作品が売れたお金を貯めてそこから次の制作費に充てたり、私が外で得たお金を「Chim↑Pom貯金」として貯蓄しててそこから出したり。
ぱいせん:未完成と一緒! 規模が違うけど(笑)。
エリイ:自分たちで展覧会を開くときは大きめの金額がかかるから私の「Chim↑Pom貯金」から最初に出してあとで返してもらう。例えば歌舞伎町でビルまるごとを使った展覧会で作品を作るために床をくりぬいたりするお金とか。
私の実家の敷地内に、おばあちゃんが死んじゃったあとそのままになっていた広い一軒家があるんだけど、メンバーの2人は去年までそこに住んでた。Chim↑Pomの会議が終わったあと、私は違うところに帰るんだけど、彼らは私の実家に帰るの(笑)。
私が知らないだけで副業してるメンバーもいるかもしれないけど、知らない。Chim↑Pomは、とにかくみんなだるがりなの。リーダーはそうでもないけど、残り全員はマジでだるがり。私はたまに息をするのも超だるい。すべてが超だるいの。だけど、一緒にやるメンバーがいればなんとかベッドから起きあがることもできるかもと結成された。
しをりん:ちょっとわかる。私たちもお互いのケツを叩きながらやってるから。
エリイ:うちのメンバーのケツは叩いても全然響かないけどね。私の話とかマジで馬の耳に念仏だから。
未完成:(笑)。
- 1
- 2