エロくても、ボーイッシュでも、ガーリーでも、自分が好きならいいじゃん! って。(さこ)
─どのメディアもあくまでも「個人」という出発点を尊重して、それぞれが自分の興味ある方向を選択し、堂々と進めばいいという考えですよね。あとは、三者とも自分たちの世代の「女性」や「フェミニズム」の思想を更新していこうとしているところも共通しています。
haru.:たぶん、フェミニストという言葉には、男性を責めているイメージがまだ残っている。正しい定義が広まっていないから、フェミニストと言うとひかれるんだと思うんですよね。私は「性別を超えて、ひとりひとりが楽しく生きられるように」という思いをこめて『HIGH(er)magazine』をつくっていて、それが自分たちの世代のフェミニズムだとも思っています。
haru.のInstagramより。第七版までの広辞苑における「フェミニスト」「フェミニズム」の説明文の改訂を求める署名活動に参加したときの投稿。2018年1月の新装版では、改訂が決定。
つかさ:たしかに、世代によってフェミニズムの捉え方がだいぶ違ってきているよね。私は大学生のときに少年アヤさんの文章や、柚木麻子さんの小説を読んで、いままで自分が大好きだったものにフェミニズムが組み込まれていたことや、フェミニズムというものがすごく身近で、自分がいつも不満に感じていたことを表す言葉だったということを実感したんですよね。2013年にエマ・ワトソンがフェミニズムについてのスピーチしたことで、日本でもその考えが少しとっつきやすく、広まりやすくなったと思います。
─徐々に、印象が変化してきていますよね。
つかさ:『Sister Magazine』の語源も実は、「シスターフッド」(ウーマン・リブ運動でよく使われた言葉。女性同士の連帯や、仲間の理解と愛情を確認し合うために使われることもある)からきていて。「フェミニズム」っていう言葉自体横文字だし、日本で今はまだ海外から入ってきた思想というイメージが強いなと思うことがあるんですが、実は日本でも昔からたくさんの人たちが女性の権利のために闘ってきた歴史があるんですよね。
でもそれって長い間あまり焦点を当てられてこられなかったり、マイナスなイメージが先行して社会で度外視されてきたんじゃないかということもあって、なかなかぱっとわかりやすい場所にはまとまっていなくて。だから海外から入ってくる「新しい」ものに目を向けるだけじゃなくて、先人たちが残してくれたものを暗いところからもう一度探し出して、光の当たる場所に置き直すっていうのも私たち世代のやるべきことなんじゃないかなとよく考えます。
さこ:私も、アメリカに来るまでフェミニズムって怖くて過激なもの、というイメージがあって。でも昔は男性と同等の地位に立つことを主張することがフェミニズムだと思われていたけれど、いまは女性もある程度社会的な権利が整ってきて、二人の言うとおり、考え方がアップデートされてきているよね。ジェンダーの前に「個々の選択を尊重すること」がフェミニズムだと思います。
ドラッグ、セックス、ジェンダー。オフィシャルな学校という場でもっとオープンに教えてもらえたら、考え方や接し方が変わると思います。(さこ)
haru.:本当にそう。男性だから、女性だから、という性別の壁はいらないんですよね。この間男女の友だち同士でタンポンの話をしていたら、男性が「見たい!」と言ってくれたんです。タンポンを見比べながら、生理用品との違いとか、初心者用はどうだとか、真剣にみんなで話して。生理って、女性にとって重要なことだから、男性にも知ってもらえたらいいし、一緒に考えるきっかけをつくれてよかったと思いました。
ほのか:学校で性教育を男女別々にやるのが、根源的な問題だと思うんですよね。男性も女性も知っていたほうがいいことなのに、なんで別々にするんだろう。
haru.:私は高校の頃にドイツにいたのですが、学校でコンドームのつけ方を教わったよ。でも日本の学校では性について教えてくれない。自分たちの生活では大切な位置にあるのに、親にも聞きづらくて、結局本番になって初めて何もわからないまま体験することになるんです。子どものときにこそ正しい知識をわかっていないと、危ないと思いますね。
さこ:学校で教えてくれないから、自分たちのなかでもタブーになっちゃって、オープンに話せないんだよね。ドラッグ、セックス、ジェンダー。オフィシャルな学校という場でもっとオープンに教えてもらえたら、みんなの考え方や接し方が変わるんじゃないかな。