She isの更新は停止しました。新たにリニューアルしたメディア「CINRA」をよろしくお願いいたします。 ※この画面を閉じることで、過去コンテンツは引き続きご覧いただけます。
永原真夏が音楽でつくる理想郷 「大人になっても、遊んでいようね」

永原真夏が音楽でつくる理想郷
「大人になっても、遊んでいようね」

「何者かになる」かどうかよりも、もっとずっと大切なこと

2018年3月 特集:変身のとき
SPONSORED:永原真夏『GREAT HUNGRY』
インタビュー・テキスト:野村由芽 撮影:馬込将充
  • SHARE

音楽をつくることで、架空ではなくて現実的な「理想郷をつくろう」としている。

─仕事や家族のあり方など、変化の多い30歳前後というのは、あらためて「大人としての自分」を見つめ直すタイミングなのかもしれませんね。

永原:このアルバムで、世の中にもの申したいわけではなくて、たとえば葉っぱを拾ったり、お花を見たり、散歩して飲んで笑い合ったり……音楽でそういうことができる場所をつくって、自分の表現を伝える場に好きな人たちをまた呼びたいという気持ちがすごくありました。「葉っぱ拾って、今日は楽しかったね」「じゃあね、バイバイまたね」って。大人になっても、そういうことができたらいいなって。

─たしかに、大人になると時間がなくなってくるから、寄り道したり、無駄な時間を楽しむことを後回しにしているうちに、その価値自体をだんだん忘れてしまうことってあるなと思います。

永原:そうなんですよ!

─それに社会のなかでは、喜怒哀楽を隠して、別の顔をしなきゃいけない場面も多くて、そうしているうちに自分の本当の感情をおさえこんでしまうこともあります。永原さんがおっしゃっている「葉っぱを拾う」というのは、素直な心のままに、泣いたり笑ったり怒ったりする時間を取り戻すってことにも通じるのかな、とも思いました。

永原:怒りということで言うと、今回“僕の怒り 君の光り”という曲をつくったのですが、いらだちの感情を口にするのは、意外とすごく勇気が必要でした。もともと、いさかいにはそれぞれの言い分があるなと考えるほうで、自分の活動においては、「そういう考えもあるよね!」という双方の意見を基にしたスタンスで表現し続けようと思っていました。

でも、そんな生ぬるいものでは、もはや葉っぱは集まらないのではないかと気づいて……。だから今までは「ねえねえ、葉っぱ集めようよー!」というスタンスだったのが、「マジで葉っぱ集めたいんだよー!!」ってキレるっていう。……インタビューがおかしな方向に(笑)。

─(笑)。でも、わかるような気がします。以前、Twitterで「あそんで」とか「楽しく」っていうことを「お気楽と舐められては困る」と書かれていましたよね。

永原:ああ、書きました。遊びを甘く見られちゃ困るぞ! っていう。

─永原さんがおっしゃっている「葉っぱを集める」というのは、たとえば時間の流れだとか、世のなかのマジョリティの考え方だとか、一見あらがえない何かに流されそうになっているときに、ふと立ち止まるきっかけをくれるような、ひとつの希望として提示されているんじゃないかなと。

永原:そうなんですよね。3曲目の“あそんでいきよう”という曲は、タイトルからして、「ちょっと待って、あそぼうよ!」という曲ですし。「公園」が好きだというのも、音楽をつくることで、架空のものではなくて現実的な「理想郷をつくろう」ということで、それは生っちょろい気持ちではできない。血を吐きながら葉っぱを集める必要があるんです(笑)。

大事なのは人間の感性だし、それを発する力も受け取る力も、舐めてはいけないなって。

─“ダンサー・イン・ザ・ポエトリー”には、「ポエトリー」という言葉が使われていますが、この曲は楽曲を発表する前に活版印刷の詩を先行公開したり、MVにも歌詞が大きく表示されていたり、言葉にフォーカスしている印象があります。詩や詩的な感覚というのは、永原さんのなかで大切な感覚でしょうか?

永原:めちゃくちゃ大事だと思います。というのも、音楽をやるうえで、私は楽器を弾けなかったんですよ。ドラム、木琴、ピアノ、ギター、トランペット……いろいろ試したのですが、全部うまくならなかった。楽器から自分のイマジネーションを派生させ、技術を向上させることができなかったんです。それでもどうしても音楽がやりたいと思ったときに、自分が音楽を0からつくる方法は詩以外になかった。だからものすごく大事にしているんだと思います。

活版印刷職人・三木弘さんによる“ダンサー・イン・ザ・ポエトリー”の歌詞が、楽曲に先行して公開された。

三木弘さんによる活版印刷の歌詞、小指さんが五線譜に描いたSCORE DRAWINGなどがひとつのギフトボックスに。(通販サイトを見る

─永原さんの音楽のはじまりには、詩の感覚があると。先日、台湾でライブをされたときも、「言語の通じない台湾のお客さんに伝わるのはやっぱり詩なんだ」といったことをInstagramのストーリーで書かれていたのが印象的でした。

永原:台湾でライブしたときに、はじめは、「你好」とか「謝謝」って言っていたんです。でもなんだかお客さんも私自身もしっくりきていない感じがして。私は母国語である日本語の詩をすごく大事にして、音楽表現をしているのだから、「どうせ歌詞なんてわかりっこないから、私も心を大事にしよう!!」って思って歌ったら、お客さんが「ワーー!」って喜んでくれて。

人に何かを伝えたいときに、言語や文化が違っても、自分が大切にしているものをブレさせる必要はないんだなとそこで気づきました。大事なのは人間の感性だし、それを発する力も受け取る力も、舐めてはいけないなって。

永原真夏+SUPER GOOD BANDの台湾ライブを終えて。

─永原さんが言っている「詩」というのは、完成された作品や、表面的な言葉ではなくて、言葉や歌が生まれるそもそものはじまりにある感情そのものを指しているのかもしれませんね。

永原:そう! 詩というのは、もともと文字が生まれる前から、音楽やハミングとして、ずっとあったものですよね。もちろん作品の側面もあるけれど、人類の歴史上ずっとずっと長く続いてきた、人間の感情の源流にある生理的な現象なんじゃないかと感じていて。なので私はあまり詩を大げさにとらえずに、「感情をポエティックにアウトプットすることも、そりゃ当然あるでしょう?」ぐらい生活のなかでも身近なものとして捉えているんです。

PROFILE

永原真夏
永原真夏

2015年7月よりソロプロジェクト「永原真夏+SUPER GOOD BAND」を始動。

SEBASTIAN Xのヴォーカリスト、ピアノユニット音沙汰としても活動中。
作詞・作曲はもちろん、グッズなども本人が手がけている。

ソロとして1stEP『青い空』(2015年7月)、1st Mini Album『バイオロジー』(2016年3月)、2nd EP『オーロラの国』(2016年11月)、3rd EP「みえないちから」(2017年3月)、10年分の写真を納めたフォトブック『Fortissimo』(2017年7月)、4th EP「HAPPY GO LUCKY」(2017年11月)をリリース。

2018年2月14日には同年3月にリリースされるアルバムより先行発売で、7inchアナログ「あそんでいきよう / フォルテシモ」をリリース。

そして3月7日にソロ初となる1st Full Album「GREAT HUNGRY」をリリースすることが決定している。

INFORMATION

リリース情報
リリース情報
永原真夏
『GREAT HUNGRY』初回限定盤(CD)

2018年3月7日(水)発売
価格:3,000円(税込)
DDCB-94018
[収録曲]
01. ダンサー・イン・ザ・ポエトリー
02. 僕の怒り 君の光
03. あそんでいきよう
04. オーロラの国
05. HAPPY GO LUCKY
06. うさぎ春日
07. 原チャリで荒野を行くのだ
08. Quatz Waltz
09. FIRE
10. フォルテシモ
11. SUPER GOOD

[LIVE REC] ※初回限定盤のみ付属
リトルタイガー
応答しな!ハートブレイカー
ホームレス銀河
青い空
オーロラの国

Amazon

永原真夏
『GREAT HUNGRY』通常盤(CD)

2018年3月7日(水)発売
価格:2,500円(税込)
DDCB-14058
[収録曲]
01. ダンサー・イン・ザ・ポエトリー
02. 僕の怒り 君の光
03. あそんでいきよう
04. オーロラの国
05. HAPPY GO LUCKY
06. うさぎ春日
07. 原チャリで荒野を行くのだ
08. Quatz Waltz
09. FIRE
10. フォルテシモ
11. SUPER GOOD

Amazon

永原真夏
『あそんでいきよう/フォルテシモ』(7inch)

2018年2月14日(水)発売
価格:1,836 円(税込)
HR7S084
MV&BOOKS online
TOWER RECORDS ONLINE

イベント情報
『谷川俊太郎展』

2018年1月13日(土)~3月25日(日)
会場:東京オペラシティアートギャラリー
開館時間:11:00~19:00(金、土曜は20:00まで)
休館日:月曜(2月12日は開館)、2月11日、2月13日
料金:一般1,200円 高大生800円
※中学生以下無料
http://www.operacity.jp/ag/exh205/

永原真夏が音楽でつくる理想郷 「大人になっても、遊んでいようね」

SHARE!

永原真夏が音楽でつくる理想郷
「大人になっても、遊んでいようね」

She isの最新情報は
TwitterやFacebookをフォローして
チェック!

RECOMMENDED

LATEST

MORE

LIMITED ARTICLES

She isのMembersだけが読むことができる限定記事。ログイン後にお読みいただけます。

MEMBERSとは?