ソウルメイトはずっと探していますね。(辛酸)
ー辛酸さんは「ソウルメイトを探している」と長年公言されていて、今日さんもそのエピソードに興味があるとおっしゃっていたことが、今回の対談に結びついたというのが実はあって。さきほどのような「こっちじゃない」というほうに引きずり込まれないために、時にはソウルメイトや友達、なにかしらの連帯みたいなものが必要な場面もあるのではないかなと。
今日:なめ子さんの展示(2003年にミヅマアートギャラリーで開催された『ソウルメイトを探して…』展)を見て、「ソウルメイト」という言葉を初めて知ったんですよ。
『ソウルメイトを探して…』展(2003年)
辛酸:ソウルメイトはずっと探していますね。あんまり親しい友達がいなかったので、そういう存在を見つけたかったんですけど、私が仲良くなりそうな友達は引っ越してしまったり、離れてしまう状況に見舞われやすくて、人がまわりからどんどんいなくなっていって……。「親友以上」みたいな関係にはつねに憧れています。
今日:私は、「ソウルメイトってなんだろう? 自分にはいるのかな?」ってぐるぐる考えるうちに、私は結局、「もう一人の自分」みたいな考えに行き着いたんですよね。
夢占いでは夢のなかに友達が出てきた場合、それは自分であるということが定番で言われていると記憶しているのですが、私が友達を通して見ているものって結局自分なのかな? とか。相手が自分のことを友達だと思っているかどうかに関わらず、「相手のなかに私を見たい」という願いが友達であり続けるということなのかな……みたいなことをよく考えていて。
ー今日さんがShe isの「おんなともだち」特集に寄せてくださった絵にも、鏡写しの二人の女性が同化するような様子が描かれていました。
She is 6月特集「おんなともだち」メインビジュアル/「友だちという存在は、自分の投影であり、鏡のような距離感。共通点を見つけ、安心感が友情を保っています。手に持つハサミで、相手を自分のように形作る。無意識のうちにお互いを似せるように形作っているのかもしれません」(今日マチ子コメントより)
今日:今日の話にあったように、「あなたと私は同じ」と思い込むのはよくないと思うのですが、同じかもしれないと思うからこそ力になったり、勇気づけられたりすることもあるのかなって。私自身は、他の女性のなかに自分のある部分を見つけてしまうところがあって、それが女の人との特別なつながりや連帯を感じる瞬間でもあります。そしていまは自分と近い人に自身を投影していますが、いつかは自分とは違うなと感じている人のなかにも自分を見つけられるようになるのかもしれないとも思っているんです。
ージェンダーに関係なく、自分と他人は違う存在だということがまず前提としてあったうえで、「違う人間で、だけど時にわかり合えるかもしれない」と共通点を見出そうとするところに希望を持てるといいなと個人的には感じます。違うだけでも同じだけでも多分苦しくて、「違うし/もしかしたら同じかもしれない」という塩梅が大事というか。
辛酸:あとは、セクハラに声をあげる人が増えてきた流れを見ても、昔だったらひとりで耐え忍んでいたことを「自分は嫌だと思っている」「そこは違う」と言えるようになってきたという進歩がありますよね。
今日:個人と集団、自分の居場所がどちらかになってしまうとつらいですよね。今回の友達というテーマで言うと、友達関係に息苦しさがある場合、裏切られて悲しいのってその人のなかに自分のなにかしらが反映されていて、それに裏切られることに傷つくからじゃないですか。でも、息苦しくなったら、その関係から1回離れて、冷静に自分を構築し直す。簡単なことだと、習い事を始めることでもいい。そうすることで、友達との関係も自分のあり方も変わっていくと思います。
辛酸:昔から「類は友を呼ぶ」と言いますもんね。ストレスを感じる人がそばにいるということは、自分も似てる部分があるってことだから、素敵な人と友達になれるように、高みにいく方向に努力の矛先を向けたほうがきっといい。そういうふうに人は関わり合っていくのでしょうね。
- 4
- 4