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現金持たない主義の市川渚が教える20代からのお金の付き合い方

現金持たない主義の市川渚が教える20代からのお金の付き合い方

無駄を排除すれば余白が生まれて、できることが増える

2018年9月 特集:お金と幸せの話
インタビュー・テキスト:飯嶋藍子 撮影:小島直子 編集:竹中万季
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「クレジットカードだと不安!」っていう意見も耳にするけど、私からしたら現金のほうがよっぽど不安。

同じ「服」というものにお金を使っていても、その意識が随分変わったことが伝わります。市川さんも「よりいろんなものに目が向くようになりました」と目を輝かせていました。

市川:今の自分の価値観だと、現金を使おうって全く思わないんですよね。現金は物理的に場所を取る・無くした時に保証がない・支払う時に時間がかかるっていう3つの理由で、メリットが少ないなって思って。

たまに「クレジットカードだと不安!」っていう意見も耳にしますが、私からしてみたら現金のほうがよっぽど不安です。例えば、財布を盗られてしまったら「100万円持ってたの!」って言っても、証明するのは難しいけど、クレジットカードだったら盗られたら止めてしまえばいいし、不正に使われてしまってもほぼ返金されるから安心ですよね。

セキュリティの観点でも現金を必要最低限しか持たないという市川さんは、財布もとってもミニマル。財布を変えたことでお金の使いかたはもちろん、考えかたにも変化が訪れたとのこと。

市川:財布は年々小さくなっていて。現金派だった時は長財布、クレジットカード派になって二つ折りくらいのサイズになり、今はスマホくらいのサイズになっています。

昔は不安だからこれも入れておこう、あれも入れておこうって財布に詰め込んでいたんですけど、今は余計なものが入らない大きさなので、自分は本当になにが必要なのかをよく考えて入れるものを選ぶようになりました。財布に入っているカード類も、その日に必要なものを自宅のカード置き場からピックアップして毎日入れ替えています。

お金の持ちかた自体が多様化している。だから財布ももっと自由になっていいんじゃないかって。

デジタルを駆使し、選び抜かれたものたちと暮らすことで、生活も考えかたも整理整頓されたという市川さん。「あまりものを持ち歩かなくてもいいと思う」と言う彼女がShe isとつくったミニマルな財布「WA012」には、どんな思いが込められているのでしょうか。

市川:もともと「財布は現金を入れて持ち歩くもの」ということが常識だと思うんです。でも、クレジットカード、モバイル決済や電子マネーのようにお金の持ちかた自体が多様化してる。だから財布という存在自体が、もっと自由になっていいんじゃないかって思って。

お金はもちろん、その人にとってのお金に準ずる大切な何かを入れて肌身離さず持ち歩けるツールになったらおもしろいし、各々の生きかたや思考、ライフスタイルに合わせて、自由な使いかたができる財布があったらいいのではと考えました。じゃあそれってどうやったら実現できるかと考えた時に、財布の機能ごとに分解して、各々が独立するようにできたら、人によって必要な機能を選択して使うことができるかなと。

「WA012」

財布はプラットフォームと2つのモジュールにわけることができる。左から、小銭入れ、プラットフォームとなるお札入れ、カード入れ

「今回つくったのは、モジュールみたいな考えかたの財布です」と市川さん。Googleがかつて実施していた「Project Ara」というモジュールパーツ組み立て式のAndroidスマートフォンのプロジェクトがとても好きだったそうで、「WA012」にも「Project Ara」と通じる精神が見受けられます。

市川:「Project Ara」は、スマホのベースとなるプラットフォームに、各々のユーザーが必要な機能だけを選んで搭載したスマホをつくれるっていうもので。たとえばカメラを充実させたい人はカメラを2つつけられるし、指紋認証がほしい人はそのモジュールを搭載できるっていう。

生きかた、価値観、持つもの、すべてが多様化して、「こうあるべきだ」ということが強要されなくなってきた世の中だからこそ、財布も人によって本当に必要なものを選んで、その人なりに使えたらと思って、こういうかたちにしました。

市川さん手描きのコンセプトラフ。「WA012」という名前はWALLET[A]+CASE[1]+CASE[2]とモジュールの組み合わせから名付けられている

「WA012」はプラットフォームとなるお札入れと、小銭入れ、カード入れの2つのモジュールで構成されています。それぞれの機能について市川さんは丁寧に説明してくださいます。

市川:従来の財布のように使いたいのだったら、お札ケースについている紐の部分に小銭入れやカード入れをひっかけて使えばOKです。

お札入れは中身が見えないので、見せたくないものを入れたり、金具を押すだけで開閉できて楽なので、取り出す頻度が高いものを入れるのもいいと思います。名前のとおりお札を入れるのももちろん、領収書とか、あとはおみくじを入れてもいいかもしれないですね(笑)。

開閉が楽なお札入れは、片手で簡単に開閉することができる

市川:小銭入れは中身が見えるので、たとえば小銭入れだけ独立させて、温泉やプールなどに行った時にアクセサリーを入れたりするのもいいですね。カード入れは、Suicaなどを入れるとサッと取り出せて便利。小銭入れと同様、中が見えるようになっているので、お気に入りの写真を入れたりしてもかわいいかも。これも独立して使えるので、名刺入れとしても使えます。

小銭入れだけを取り外して使ってみても

「各々のニーズに合わせて、とにかく自由な発想で使えるのがポイント」と話す市川さん。話を伺っているだけで、いろいろな可能性がある財布だということがわかります。「WA012」は1つのプラットフォームと2つのモジュールで構成されていますが、市川さんはさらなる拡張性を考えているそう。

市川:プラットフォーム(ベース)やモジュールのバリエーションを増やすことができれば、もっと拡張性のある財布になります。たとえば、ベースの素材をレザーにしたラグジュアリーバージョンをつくったり、モジュールも中が見えないような素材のものをつくったり、スマホが合体できるような新しいパーツをつくるのもありですよね。

市川さん手描きのコンセプトラフ。さらなる拡張性についても記載されている

「WA012」を使うと、なにが本当に自分に必要なのかがわかるようになりそうです。自分以上でも自分以下でもない、今の自分のサイズにぴったりあった心地良い財布ができあがっていくのではないでしょうか。

市川:この3つのパーツは機能が分かれているので、使う時に「自分はここになにをなんのために入れよう」って考えなければならないんです。不要なものがわかりやすく可視化されるので、持ちものをどんどんミニマルにできると思います。

既存の財布は、「ここは小銭を入れる場所」「ここはカードを入れる場所」とものすごく決められていますよね。でも、私はそれを決める気はまったくなくて。一応カード入れっぽい形状にはなっているけど、もしかしたら「これは手持ちのフォトフレームだよ」って言う人もいるかもしれないし、「名刺ケースでしょ」って言ってくれてもいい。その自由さを存分に楽しんでほしいです。

市川さん自身も、お金への意識の変化からお財布を変化させ、とてもスマートにお金を管理しています。そんな市川さんのこだわりが詰め込まれたこの財布を使えば、取捨選択の感覚がどんどん研ぎ澄まされていきそうです。

市川:私自身、なにごとも研ぎ澄ませていきたいと思うタイプなので、無駄は可能な限り排除しています。無駄を排除することで余白ができるから、逆にできることが増えると思うんです。何事も余白がないと入り込む余地がなくなっちゃいますからね。だから、無駄を排除していくことはすごく好きだし、おすすめの作業です。

ひとつのものを見た時に「これはこうである」って決めるよりも、「こうも使えるかもしれない」って考えたほうがおもしろいじゃないですか。そんな思考から生ずる余白に改めて気づかせてくれる財布です。だから、「こんなのにはものが入りきらないよ!」っていう人にぜひ使ってみてもらいたいです。

(後編「市川渚が教える、カードやアプリを使った納得感のあるお金の使い方」に続く ※She is Members限定記事)

市川渚さんとつくった財布が入っている9月のギフト「お金と幸せの話」のページはこちら(お申込みは9/30まで)

PROFILE

市川渚
市川渚

ファッション・コンサルタント。ファッションデザインを学んだ後、海外ラグジュアリーブランドのPR、有名クリエイティブエージェンシーのコミュニケーションマネージャーを経て、2013年に独立。ファッション関連企業を主なクライアントにデジタルを軸としたファッション・コンサルタントとして、デジタルコミュニケーションのコンサルティング、WEBサイト/キャンペーンなどのクリエイティブ・ディレクション、プロデュース、制作などを手がける。他にも、ウェブメディア「DiFa」の立ち上げやクラウドファンディングプラットフォーム「CAMPFIRE」顧問、京都精華大学非常勤講師、コラム執筆、セミナー講師、モデルなどとして、活躍は多岐にわたる。

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