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犬山紙子×大九明子 結婚しないと孤独になるという外圧からの脱出

犬山紙子×大九明子 結婚しないと孤独になるという外圧からの脱出

『美人が婚活してみたら』に見る愛ある人間関係の築き方

SPONSORED:『美人が婚活してみたら』
インタビュー・テキスト:松井友里 撮影:中里虎鉄 編集:野村由芽
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私は結婚って男女がつがいになるうえで、使うとそれなりにお得になるという、ただの制度だと思っているんです。(犬山)

ー作品内でも結婚について「できる」「できない」と能力のように語られる描写がありますが、一人ひとりが納得できる選択であれば、結婚していてもしていなくてもよいはずなのに、結婚している方がまるで成すべきことを成し遂げたかのような感覚が、まだ今の社会の中ではあるように思います。

大九:結婚している立場の人からすると、結婚がゴールじゃないなんてことは、秒でわかるんですよ(笑)。だから脚本をつくるときにも、そういう描き方はやめましょうと、じろうさんとも話しました。

結婚ってなんなんだろうっていうことに関してはいまだによくわからないんですよね。わからないまま撮っているから、映画もそういう終わり方になっているのかもしれないですが。

犬山:それがすごくリアルだと思います。

大九:なかには、今の社会で一般的とされている「結婚道」みたいなものを受容して全うしていくような人もきっといるのだと思うんですけど。結婚した方がいいという外圧を感じている人はきっとたくさんいて、そういう状況はかわいそうだなと思いますね。

犬山:私は結婚って男女がつがいになるうえで、使うとそれなりにお得になるという、ただの制度だと思っているんです。だけど、監督もおっしゃる通り、「結婚をした方がいい」という外圧がすごいので、その制度を使わないとだめなんじゃないかという気持ちになってしまう。

あとは、結婚しないと一生孤独かもしれないという不安を抱いてしまう状況もあると思うんです。私自身も20代までは結婚願望が全然なかったのに、30歳になった頃からタカコと同じく「結婚しないと孤独死するかも」みたいな思いがずっとついて回っていて。今考えると、結婚していてもしていなくても、死は孤独なんですけどね。

映画の冒頭に登場する「死にたい」のシーン/『美人が婚活してみたら』 ©2018吉本興行

結婚相手がいなければ、なぜか孤独な人間だと思わされてしまう。(犬山)

犬山:私、タカコとケイコが喧嘩するシーンを見て、ひどいことを言い合ってるのに、羨ましくなったんです。あんな風に友達に甘えるのって、すごく難しいことだから。もしもそんな関係の友達がいたら、それって決して孤独じゃないですよね。だけど今の社会では、結婚相手がいなければ、なぜか孤独な人間だと思わされてしまう。だからこそ、例えばDVをするような相手とも離婚しづらくなってしまったりするとも思うし。

ー結婚が万能な関係だと思われすぎているかもしれないですよね。孤独を感じずに生きていくための関係性を築くのは、結婚相手じゃなくてもいいはずなのに。

大九:でも、友達とそういう関係性をつくることって、もしかしたら結婚より難しいかもしれないです。私、本当に友達がいないんですよ。ふと振り返ってみると、飲む相手もほとんど仕事の関係者で。子供の頃や学生時代からの友達も、いるといえばいるけど、年に1回集まるくらいだし、折に触れて会って話をするような関係の人はいない。だから、女同士に限らず、生涯かけてそういう関係性を紡いでいける知人友人がいることは、結婚よりも尊いなと思います。

人と付き合っていくって難しいことですよね。私自身、一人でいる方が楽だし、人間関係を煩わしいと思う人間だったのに、なぜか映画といういろんな人にやりたいことを伝えるところから始まる仕事を選んでしまって。でも、この仕事についたおかげで、ギリギリ人としての形をとっていられるなあと思うんです。

そもそも、自分のことが好きじゃないと、他人のことも受け入れられない。(犬山)

犬山:私も人間関係ではかなり傷つきながら生きてきたし、自分も人のことを傷つけてきたと思います。今はすごくあがいていて、友達が欲しいし、友達との関係を長く続けていくことを腰を据えてやろうとしているところなんです。

だけどそもそも、自分のことが好きじゃないと、他人のことも受け入れられないんですよね。カウンセラーの先生に聞いてみたら、まずは「毎日寝る前に1日の中で自分の偉かったところを褒めてみて」と言われて。それをやっていると、確かに「私、なかなかいいんじゃないか」と思えてきて、それにつれて友達のこともすごく尊く感じられるようになってきたんです。

例えば、シミとかシワみたいに、一般的にない方がいいとされているものも含めて、その人の全部が愛おしくなってくる。大げさな話に聞こえるかもしれないですけど、そうやって寄り添いあっていける関係がつくれたらいいなと思っているんです。

PROFILE

犬山紙子
犬山紙子

仙台のファッションカルチャー誌の編集者を経て、家庭の事情で退職。その後6年間東京でニート生活を送りつつ毎晩飲み歩くことで、女の友達が芋蔓式に増えていき、彼女らがアラサーになるにつれてみんな恋愛で苦戦するようになったので、それをブログにイラストとエッセイで書き始める。ツイッターでその模様が拡がり、マガジンハウスからブログ本「負け美女」を出版。多数の女性から「私の周りにも負け美女がいます!」との声があがり、共感を得て、話題になり、現在TV、ラジオ、雑誌、Webなどで粛々と活動中。基本ゲーム好きでサブカル仲間も非常に多く、その交遊関係はかなり幅広い。2014年に結婚、2017年に第一子となる長女を出産。

大九明子
大九明子

1968年、神奈川県横浜市出身。明治大学政治経済学部卒業。プロダクション人力舎スクールJCAの第1期生となり芸人を志したのち、製作者サイドへ転身。1997年、映画美学校の第1期生となり、監督・脚本作品『意外と死なない』(99)でデビュー。主な作品に新垣結衣主演『恋するマドリ』(07)、谷村美月主演『東京無印女子物語』(12)、染谷将太主演『ただいま、ジャクリーン』(13)、高岡早紀主演『モンスター』(13) 、優希美青・足立梨花W主演『でーれーガールズ』(15)などがある。松岡茉優主演『勝手にふるえてろ』(17)では、第30回 東京国際映画祭コンペティション部門 観客賞、第27回 日本映画プロフェッショナル大賞ベストテン 第1位を受賞。ほかにも、TUBEのミュージックビデオの映画化『渚の恋人たち』(16)や片桐はいり主演『キネカ大森先付ショートムービー・もぎりさん』(18)など。

INFORMATION

作品情報
『美人が婚活してみたら』

2019年3月23日(土)から新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開

監督:大九明子
脚本:じろう(シソンヌ)
原作:とあるアラ子『美人が婚活してみたら』(小学館クリエイティブ)
出演:
黒川芽以
臼田あさ美
中村倫也
田中圭
村杉蝉之介
レイザーラモンRG
萩原利久
市川しんぺー
矢部太郎(カラテカ)
平田敦子
成河
配給:KATSU-do

映画「美人が婚活してみたら」公式サイト

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