社会の選択肢を増やしたい。ホテル王を目指した龍崎翔子の夢の見つけ方

社会の選択肢を増やしたい。ホテル王を目指した龍崎翔子の夢の見つけ方

ホテルはやりたいことの表層部分。次に見つけた夢とは

2019年3・4月 特集:夢の時間
インタビュー・テキスト:飯嶋藍子 撮影:小島直子 編集:竹中万季
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「将来の夢はなんですか?」幼い頃から幾度となく投げかけられるこの質問。大きな夢に向かって進んでいる人、夢の途中で悩んでいる人、とくに夢がない人……いまのあなたなら、この質問になんと答えるでしょう。

She isでは特集「夢の時間」の3月のギフトでお送りするオリジナルプロダクトとして、「HOTEL SHE, KYOTO」などをはじめ様々なホテルを手がけるホテルプロデューサーの龍崎翔子さんと一緒に「夢見るガウン」をつくりました。

「消費者としてホテルが好きなわけではない」と語る龍崎さんが、なぜホテルをつくりたいと思ったのか。幼少期からホテルをつくりたいと思い続け、大学時代にホテルの経営をはじめた龍崎さんも、道の途中で諦めかけたことがあったそう。いまも新たな夢を追い続ける龍崎さん流の夢の見つけ方から、HOTEL SHE, でももともとつくろうと思っていたというガウンに込めた思いまで、じっくり伺いました。

ガウンが入っている3月のギフト「夢の時間」のページはこちら(お申込みは3/31まで)

夢は壮大に描いたほうが自分の道を狭めない。

小学生の頃、家族でアメリカ横断旅行をしたときに宿泊したホテルの変わり映えのなさに「自分が泊まりたいと思うホテルを増やしたい」と思うようになったという龍崎さん。単にホテルをつくりたいというだけでなく、「ホテル王になる」という壮大な夢を言葉にしていた時期があったのだそう。

龍崎:親から「人間が想像できることは、実現できる可能性があるということだ」とよく言われていたんです。スターウッドとかマリオットとかホテルチェーンってすでにたくさんあるから、私がいまから「ホテル王」になるっていうのはたぶん不可能だけど、夢は壮大に描いたほうが自分の道を狭めないと思って。それと、「ホテル王」という言葉の響きに惹かれていました(笑)。

私はホテルの経営に興味があるというよりかは、新しいホテルを生み出すことにときめきを感じるタイプで。いろんな場所で、いろんなタイプのホテルをつくりたいという気持ちが当初からありました。

龍崎翔子さん

「最近はあんまりホテル王って言わないですけどね(笑)」と龍崎さんは続けます。

龍崎:実際にやってみて、ホテルは自分がしたかったことの表層部分だったということに気づいたんです。本質的にしたいことって、ホテルだけじゃないなって。自分が望む行動様式と社会のニーズが合致するって気づいたのがたまたまホテルだったんだなと。

それで、夢をもっと壮大に描こうとしたときに、なりたいのは「ホテル王」だけではないんじゃないかと気づいて。いま自分の会社で掲げている理念が「選択肢の多様性のある社会をつくる」なんですが、最近はそのような考えにシフトしてきましたね。

2019年3月21日にリニューアルオープンしたばかりのHOTEL SHE, KYOTO

龍崎さんは、2018年4月頃に行なった会社の合宿で、本当に自分がやりたいことがクリアになったと話します。

龍崎:会社のビジョンを策定する合宿をしたんですけど、そのときに昔からいるメンバーと話し合って、私たちがしたかったことって、「耕すこと」だよねって気づいたんです。かたくなってしまった地盤に鍬を入れて、耕して掘り起こしていくこと。つまり、選択肢の多様性が失われているような業界で、選択肢が増えるきっかけになるようなことをするのが私たちのしたいことだっていうのがすごくクリアに言語化されて。

それはまさに龍崎さんがホテルの道に進むきっかけとなった原体験にも通じることだったのだそう。

龍崎:小学生のときにアメリカを横断旅行したときの話ともつながった感じがしました。ハイアットのような高級ホテルにも、道路沿いにあるモーテルにも泊まったけれど、正直違いはあんまりなくて、どれもすごく退屈だったんです。ドアを開けるたびにがっかりしていたんですけど、「あれ? これってほかと違うんじゃない?」って感じたのが、ラスベガスのホテル群。

「サーカスサーカス」(連日サーカスを行っているホテル)とか「フラミンゴ」(カジノや巨大なプール、フラミンゴなどの野生動物がいる庭園もあるホテル)とかに行ったときに、「ホテルってこんな自由になれるんだ!」って思ったんです。変わり映えしないホテルとラスベガスのホテルのギャップが大きすぎて衝撃でした。「世界観をつくり込もうと思ったらここまでできるんだ」って思えたし、それを感じられたことが、自分がホテルに対して感じていた違和感を認識するきっかけになったのかなと思います。

消費者としてホテルが好きなわけではないという龍崎さんですが、ホテルへの違和感を感じるたび「ホテルをつくりたい」という気持ちがより強まっていったと言います。

龍崎:中学・高校のときに親の出張について行くことがよくあって、ホテルの予約を私がしていたんですけど、地方都市のホテルって、駅からの距離、部屋の広さ、価格、朝食の有無、温泉の有無くらいでしか選ぶことができない。それぞれのホテルの違いって定量的なものでしかなくて、質的な違いがほとんどないと思ったことが、「ホテル、やらねば!」という気持ちを強めたんです。いま会社で掲げている「選択肢の多様性のある社会をつくる」という理念は、そうした原体験がもとにあって。

幼少期からの満たされなかったホテル欲を自力で満たすためにいまの仕事をやっているんです。「ホテルって斜陽産業じゃん」とか「経済的合理性ないよ」みたいなことをたくさんの人に言われてきて、そのたびに「みんなわかってくれないけど、私がこの問題に気づいているなら私が解決するしかない!」と奮い立って。わかってくれない人が多かったからこそ、私がやらなきゃっていう使命感が生まれたと思います。

「ホテルなんてぜったい無理じゃん」っていう無力感がすごかった。

幼少期からホテルに対する強い思いを持っていた龍崎さんですが、「夢が変わったタイミングが何度かあるんです」と話します。

龍崎:小学5年生くらいから、東大に行って、ハーバードに行って、ホテルを経営するっていうキャリアプランがあって。でも、中学受験に失敗して、めちゃくちゃ自信喪失したんです。そのあと軌道修正して東大に入ったけれど、また「ホテルとか無理じゃない?」って思う出来事があって。

大学1年生のとき、起業のためのビジネス経験を積みたいと思って、貿易関係の仕事をしているOBの手伝いでおむつの輸出の仕事をしていたんですよ。それが全然うまくできなくて。いま思えば、やりたくてやっている仕事ではなかったからという部分もあったんですけど、当時はかなり自信をなくして、「こんなこともできないなら、ホテルなんてぜったい無理じゃん」っていう無力感もすごくて。

よくある大学生活も、龍崎さんにとっては不安の種だったそう。

龍崎:毎日友達と飲みに行ったりサークルに行ったりしているこの生活って大丈夫なのかなって不安に思っていたんです。通学のときにチャリこぎながら泣いてましたもん(笑)。「ホテルをやる」っていうのも、思いはあっても具体的にどう始めたらいいのかわからなくて、無理じゃないかって思った瞬間はたくさんありました。

漠然と「ホテルをやりたい」という思いだけを抱えて過ごしていた龍崎さん。ビジネスの現実や難しさに直面した当時を振り返ります。

龍崎:どうやってホテルをつくるか、という勉強すら当時はしていなかったんですよね。まずはインバウンドに関する動向を知りたいというのと、運用資金に回すために一旦お金を貯めようと思っておむつの輸出の仕事をやりながら、ビジネス基礎力をつくるための試行錯誤を続けていました。

PROFILE

龍崎翔子
龍崎翔子

ホテルプロデューサー。2015年にL&G GLOBAL BUSINESS Inc.を立ち上げ、「ソーシャルホテル」をコンセプトに掲げ北海道・富良野の「petit-hotel #MELON 富良野」や京都・東九条「HOTEL SHE, KYOTO」をプロデュースする。2017年9月には大阪・弁天町でアナログカルチャーをモチーフにした「HOTEL SHE, OSAKA」を、2017年12月には北海道・層雲峡でCHILLな温泉旅館「ホテルクモイ」をオープン予定。

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