誰もが自分自身を「取るに足らないもの」だと思わないで済むためのお手伝いができたら。(長田)
―女性が自分らしく、心地よくいること。みなさんのお仕事や活動は、そういう意味でも世の中を変えていくことに関わっていると思うんです。そのあたりについては、どんなふうに考えていらっしゃいますか?
長田:心地よくいるためには「私は心地よく暮らしていい」と思えることが大事。まじめな人ほど「私なんて……」という思考に陥りがちですよね。
美容は自分自身を「取るに足らないもの」だと思わないで済むためのきっかけをつくってくれると思っているから、それを通して「取るに足る大切な私」という下地をつくるお手伝いができたら、と考えているんです。そういう気持ちも込めて書いたのが『美容は自尊心の筋トレ』。「モテるため」でも「若返るため」でもない、「自分を大切にするための美容」という意味で「自尊心」という言葉を使いました。
―美容ライターとしてのコンテンツづくりにとどまらず、「花鳥風月Lab」では、生のお花を使った制作物で、ひとりひとりが生きやすい社会をつくるようなさまざまな活動を応援していますよね。
長田:生きやすい社会をつくるために頑張っている人たちに、存在自体がやさしい生きているお花を添えて「応援しています」と伝えています。
河村:お花っていい距離感ですよね。
傷ついて帰ってきたときには抱きしめたる! って思ってます。(河村)
―河村さんはいかがですか?
河村:お店で、自分から女性の生き方についてあえて話をすることはありません。遊びに来てくれるのは若い女の子が多いから、ということもあるかも。自分自身も20代なかばのころは、すごく恋愛の比重が大きくて、「生き方」という大きなテーマのことなんて考えていなかったんです。ただお花を買いに来てくれた人にそういった話をするよりも、真剣にブーケのことを教えたいし。でも、一人ひとりの女性、ひいては人間を大切にしているということが、にじみ出る空間をつくれていたらいいなとは考えています。
世の中にはつらいことがたくさんあるし、お客さんもスタッフの子も、どこかでかならず壁に直面するタイミングがやってくると思う。そういうときに、MAG BY LOUISEを思い出してよりどころにしてもらえたらうれしい。傷ついて帰ってきたときには抱きしめたる! って思ってます。
長田:すごくいいですね。自分が模索する姿を見せつつ、押しつけない姿勢が素敵。
自分で自分の声を聴いてあげられたらいいですよね。(長田)
―河村さんのお店みたいな居場所があるだけでも、自分のことをありのまま認められるきっかけになる気がします。
長田:もしそういう場所が近くになくても、自分で自分の声を聴いてあげられたらいいですよね。少しでも自分の本音に耳を傾けてあげられたら、「無理しなくてもいいかも……?」と歯止めをかけられるだろうし。しんどすぎる事態を回避するために、立ち止まって対策を練る視点も生まれるはず。
河村:私、自分の声を聴くの得意です。もう聴こえない振りができない(笑)。
長田:でしょうね~(笑)。そこに耳を澄ませられる人じゃないと、せっかく始めたお花屋さんを不定期営業にする決断はできないと思う。
―こうしてお話を伺ってみると、お三方がメインフィールドにしている「お花」「美容」「ヘアケア」は「自分が心地よくいること」や「自尊心」といったキーワードで、ゆるやかにつながっているのがよくわかって面白かったです。
山﨑:おふたりのお話を伺って、いままさに「自分はこうありたい」とか「世の中をこうしていきたい」といった想いを持っていらっしゃる方も、きっと少なくないのではないかなと感じました。
だからこそ、ささやかなヘアケアという時間かもしれないけれど、私たちはその心地よさにこだわって商品開発を続けていきたい。そして「いち髪ナチュラルケアセレクト」が、みなさんにとって自分の声に耳を澄ませるきっかけになったらいいな、と思います。
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