誰かからの目線や消費されるかどうかなんて関係なく、自分の好きなものを着るようになった。
─今日のヘアメイクや服もすべてご自身で準備されたと伺いました。服はどんなものがお好きなんですか?
和田:古着が好きですね。代官山や渋谷にお気に入りのお店があって、そこで直感的にいいなと思ったものを選びます。もちろん新品のお洋服も素敵だけど、時代が反映されている部分もあるから、次の年には気分が合わないこともあって。私にとって、年代を感じさせないものが今の気分に合っているし、あれだけの品数から自分で選びとっている、というのが好きで楽しいです。
─今日はカジュアルなスタイルですが、服装はどんなものを選ぶことが多いですか?
和田:うーん……そのときの気分ですかね。女性のあり方について考え始めたときは、私服では一切スカートを履かずにズボンだけだったんですよ。「女の子」という視線で消費されていくのが嫌だったから、強い姿でいなきゃいけないって思っていました。毎日ズボンを履いて、赤や緑の強い色の服を着て。
でも、元々ミニスカートやタイトスカートは好きだったんです。だから「誰かからの目線や消費されるかどうかなんて関係なく、自分の好きなものを着よう!」となりました。卒業してからは、自分の考えていることをいろんな人と話せるようになったことで、気持ちが軽くなって服装もどんどんラフになっています。今年の夏はTシャツばかり着ていました。逆に着飾ると、着たときに気持ちがざわざわするんですよ(笑)。「自分じゃない!」「今の気分じゃない!」って思って、着替え直して、Tシャツを着てふーっと落ち着くんです。
─「気分で選ぶ」というと、「あまり考えずに選んでいる」ようにも聞こえるかもしれませんが、そうではなくて、「気分」をとても大切なものとして扱っていらっしゃるということですよね。自分の気持ちをないがしろにすると、心地いい自分でいられなくなるという。なにをいいと思うかという話から派生して、「可愛さ」や「美しさ」はどのようにとらえていますか? ご自身もよく受ける言葉だと思いますが。
和田:私は人を見た目で判断することを重要視していないので、「可愛い」と言われてもなるべく反応しないようにしていて……(笑)。そういうことをしているから「素直になりなよ」と言われるんですけど、私は人の内面を見たいと思っているので、自戒を込めて行動しています。
私は男女関係なく、恋愛感情も抜きにして、誰に対しても「愛」という言葉を使います。それは「人を思う」ことが「愛」だと思うから。
─アイドルという職業はファンやスタッフやメンバーや、いろんな人たちの気持ちをまとってステージに立たれていると思います。卒業時に「ファンからたくさんの愛をもらった」と和田さんは仰っていたように、多くの「愛」をまとっていらっしゃるように感じました。
和田:私は男女関係なく、恋愛感情も抜きにして、誰に対しても「愛」という言葉を使います。それは「人を思う」ことが「愛」だと思うから。今でもアンジュルムのメンバーが大好きで、メンバーを思う気持ちはまったく変わらないから、これは「愛」だと思います。ファンの人に対しても、「元気かな?」と思っている時点でそこには「愛」がたしかに存在しているので、愛という言葉に置き換えて考えています。私の中にある、すごく自然な気持ちです。
現実と向き合って、そこで生まれた感情や思いを形にしたいというのが、今一番の夢です。
─10月に多摩ニュータウンで行われるカルチャーフェス『NEWTOWN』では、久しぶりにファンの方々の前でパフォーマンスをされる予定です。どのようなステージになりそうですか?
和田:アンジュルムを卒業後初めて、歌をお披露目することになりそうです。あとは、Sen Morimotoさんとのコラボレーションで、ポエトリーリーディングも予定しています。元々詩のようなものをつくるのが好きだったのですが、見ている人はどんな反応をするだろう? と思って、ちょっと緊張しますね。
和田:曲は、自分の気持ちを声にしていいよね? という問いかけと、そういうことが必要だよねという願いを中心に書きました。詩は、もっとがっつり具体的な気持ちを書いています。お披露目するのは初めて作詞した曲なので、そんなに上手じゃないと思います(笑)。
─これまで和田さんが出会ってきたことのないような人たちとの出会いも楽しみですね。
和田:卒業したての頃は、新しい出会いのひとつひとつに緊張していたんですけど、今は楽しいです。『NEWTOWN』もきっと、どこか近い感覚の人たちが集まるんじゃないかなって。同志感というか、いろんな出会いが楽しみですね。気持ちがどんどん解放されていきます。
─これからの和田さんの「よそおい」は、どのように変化していくでしょうか?
和田:現実に向き合っていくのみですね。たとえば「大きなステージでパフォーマンスをしたい」というよりは、日々生きていくうえでの現実と向き合って、そこで生まれた感情や思いを形にしたいというのが、今一番の夢です。
和田:以前よりも、女性として向き合う対象も変わってきたし、増えてきたなと思います。この間、初めて友だちの結婚式に行って、結婚や母親になる可能性について考えたんですよ。どんなときも、ものごとにきちんと向き合うことでいろんな世界が見えてくると思うし、それが楽しみです。「よそおう」ことが自分の武器になる人もいると思いますが、今の私は、よそおわない自分で生きていきたいですね。
- 4
- 4