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38か国を旅したデザイナー小林圭。「かわいい」を見つける旅の目線

38か国を旅したデザイナー小林圭。「かわいい」を見つける旅の目線

アメリのようなアパルトマンで過ごした欧州旅行の話

2020年3・4月 特集:どこで生きる?
インタビュー・テキスト:飯嶋藍子 撮影:小林真梨子 編集:竹中万季
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「これが素敵だよね」ってデザインした人が、その国にいると思うだけでわくわくする。

小林さんは「今はどこかに定住するというよりは、もうちょっといろんな世界を見てみたい」と話します。これまで多くの国に訪れている小林さんですが、行き先を決めるときのルールがあるんだそう。

小林:夫と旅に行くことが多いんですけど、毎日アクティブに動く旅をしたら、次はなんにもしない旅をするっていうルールがあって。たとえば、以前スイスに1週間行ったんですけど、毎日、美術館や博物館、いろんなところを巡って、いろんなものを吸収して。そういう旅ってすっごく楽しいぶん、やっぱり疲れるんですよね。

そうすると次の旅はもうなにもしないって決めるんです。「このホテルのこのプールサイドが良さそうだから行こう」みたいな決め方をして、朝から晩までホテルにいて、ずっとプールサイドで本を読んだり、絵を描いたり、ホテルのなかでアフタヌーンティーをして、また水着に着替えてプールに戻ったり……「なにもしない」をしにいく旅ですね。そうやって、アクティブな旅となにもしない旅を交互にするようにしています。

「非現実を体験しにいくのにも2パターンあるんですよね」と趣向の違う非現実を求めて旅に出る小林さんですが、小林さんが好きな場所には共通点があるといいます。

小林:レストランのコースターでもいいし、ホテルのメモパッドでもなんでもいいんですけど、なにかしら「かわいい!」って感じるものがある国はだいたい好きになります。「これが素敵だよね」って思いながらデザインした人がその国にいると思うだけでわくわくするし、かわいいものを見つけられる回数が多い国ほど自分に合うなと思います。

このあいだ韓国に行ったときに泊まったのが2年前くらいにできた新しいホテルで。そこが「階段にこの素材使って、壁にこの色塗っちゃうの!?︎ めっちゃおしゃれ~! 私もこれめっちゃいいと思います!」って思って(笑)。逆に、時代を超えてもデザインが変わっていないヨーロッパの超老舗のホテルのドアプレートのデザインがかわいいと思ったりもして。その国のセンスと自分のセンスがマッチしていると嬉しくなるんですよね。

韓国、ソウルにあるRYSE, Autograph Collection Marriott

日常のなかに、どんなに小さいことでも、なにかしらの発見ができただけで旅になる。

そんな体験は小林さんのお仕事にも影響するんだとか。旅に行くたびにその土地ごとで見たものにインスパイアされ、自分のなかでの「好き」がアップデートされていくんのだそう。「パリの蚤の市ですごく素敵な印刷物を見つけたので、次の仕事は印刷を凝ってつくりたいなって思っています」と、今回の旅での刺激も語ります。

テキスタイルデザイナーの井口愛弓さんとのアートユニット「otome journal」も、互いの「好き」や「かわいい」を更新することから始まったといいます。

小林:あゆちゃんは日本にいるときから友達で、一緒のタイミングでロンドンに留学したんです。私はあゆちゃんがつくるものが大好きで、あゆちゃんも私がつくるものを大好きって言ってくれていて。私の大学はロンドンにあったんですけど、彼女はロンドンから少し離れた大学に通っていたので、住んでるところが少し遠かったんですよ。でも、かわいいものを見つけたり、シェアしたいことがあるたびに、報告し合えるといいよねって話になって交換日記を始めて。

「文章というよりは、ビジュアル交換日記みたいなものでした」と小林さんは続けます。

小林:かわいいチョコレートの包み紙とかを貼ってコラージュしたり、絵を描いたりして交換してました。お互い「かわいい」の感性が似ているし、そういうものを交換し合っているうちに、あゆちゃんがつくったいいものに対して、もっといいもので返したいと思うようになって。あゆちゃんもさらにいいもので返してくれて、「これはかわいい、まいった!」ってなったりして(笑)。そうやって刺激し合いながら、「otome journal」が始まっていきました。

2014年~2016年のジャーナル

架空の本屋さんのアートディレクションも二人で手掛けています

そのとき小林さんと井口さんが交換していたのは、あくまで日常のなかで「かわいい」と思ったもの。当時から日常のなかにも非日常的なわくわくを見つけたり、つくったりすることにすごく意識的だったのかもしれません。

小林:もし実際の旅行ができなかったとしても、日常のなかに、どんなに小さいことでも、なにかしらの発見ができただけで、旅になると思うんです。たとえば、通勤も旅だなって私は思っていて。自分のいる場所から目的地に移動すること、そういう毎日が旅だと思う。そのあいだに猫を見つけたり、昨日はつぼみだった花が咲いていたり、そういう発見をしながら日常の生活ができるとすごくいいんじゃないかなと思います。

旅するように暮らし、暮らすように旅をする。そうやってたどり着いた自分が心地よく生きられる場所って、もしかしたら、小林さんが言うように多くの発見ができる場所なのかもしれません。

旅に行くときはもちろん、旅に行けない今だからこそ、小林さんのトラベルポーチを携えて、日常を過ごしてみてください。旅のわくわく感と喜びがつまったこのポーチが、あなたの生活にきっと旅のような輝く瞬間を与えてくれるでしょう。あなたの心が赴く、生きる場所を探す旅を、このお花たちが後押ししてくれるはずです。

トラベルポーチが入っている3月のギフト「どこで生きる?」のページはこちら(お申込みは3/31まで)

PROFILE

小林 圭
小林 圭

2006年渡英。2010年にロンドン芸術大学
セントラル・セント・マーチンズ卒業。
卒業後はロンドンとイタリアでデザイナーとして働いた後、12年に帰国。
アートディレクター/グラフィックデザイナーとして自身の世界観をベースに分野にとらわれる事なく作品を展開。趣味は旅行で今まで訪れた国は現在で38カ国。
ロンドン留学中にテキスタイルデザイナー・井口愛弓とotome journal と名して交換日記を始める。現在はアートユニットotome journalとして平面から空間、広告まで幅広く手掛ける。

INFORMATION

プロジェクト情報
OYOME journal by OTOME journal.

otome journal二人が花嫁になったことで始まったプロジェクト。otome journal公式Instagramアカウントにて少しずつ公開していくそう。

Instagram

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