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ジェーン・スーが読者の悩みにお答え。みっともなくても気持ちを言葉に

ジェーン・スーが読者の悩みにお答え。みっともなくても気持ちを言葉に

「若いこと=価値がある」という風潮についてなど

インタビュー・テキスト:野村由芽 撮影:中里虎鉄
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Q.28歳になりますが、まだお付き合いしたことがなく、時々不安でとんでもなく怖くなる
A.その怖さはどこから生まれてくるのか、考えてみる

スー:それで言うと、これも気になりますね。「28歳になりますが、まだお付き合いしたことがなく、時々不安でとんでもなく怖くなる」って。言いたいことはわかるのだけれど、「怖くなる」のはなぜ? と考えてみる。直接的に誰かに脅かされているなら話は別だけど、もし誰にも脅かされていないなら、その怖さはどこから生まれてくるのか。それはきっと、自分自身のなかにある「28歳になったら人と付き合っているのが当然」という規範。それは一人相撲ですよね。ほかの人はそんなに気にしてないかもしれない。

─「28歳でお付き合いしたことがなくて焦る」という相談は他にもありましたね。

スー:「焦ります」のほうが、まだ素直かもしれない。語尾をどう締めるかは気にしてみるといいことがあるんじゃないかなと思っています。

語尾ではないですが、たとえばパートナーが会う時間を作ってくれず、自分に敬意をあまり払ってないなと感じたとして「パートナーだったら、普通はもっと一緒に過ごすものなんじゃないの?」と言うかわりに「敬意を払われないのは寂しいから、ちゃんと時間を作って向き合って構ってくれ」と伝えるとか。本当の言葉を言う力をつけると、スッキリすることが多いですよ。

─そのことは、本当にスーさんの本を読んでいて感じたことです。言葉の使い方がすごく明快で、なんというか的確な言葉をスパスパと当てていらっしゃるキレの良さというか、そういったものをとても感じました。

『これでもいいのだ』(中央公論新社)/特設ページを見る

Q.いい化粧品は若いうちから使ったほうがいいのか
A.「安いクレンジングオイルだけは使わないでくれ」それがわたしのダイイングメッセージ

─次の質問は方向性が変わりますが「いい化粧品は若いうちから使ったほうがいいのか、ある程度の年齢になってから使ったほうがいいのか」という質問です。

スー:これは、「いい化粧品」の定義によります。この方がなにをもっていい化粧品とするのかわからないのですが、肌のことを一番に考えた正しいスキンケアって、そんなにワクワクするものじゃないというのが持論。そこに香りだとかオーガニックであるとか、そういった好みを取り入れることで気分があがって精神状態がよくなったりはしますよね。そういう付加価値がついた商品を「いい化粧品」とするか否かはひとそれぞれ。

わたしから唯一、遺言のように言えることがあるとすれば、「安いクレンジングオイルだけは使わないでくれ」です。それがわたしのダイイングメッセージ。

─(笑)。

スー:ものにもよりますが、安価な商品にはオイルではなく界面活性剤がメインのものもあって、お肌を痛めてしまうこともある。だって、自転車の鎖を触った汚れが落ちたりするんだから。どんだけ強いもので顔を洗っているんだっていう。メイク落としだけは、安いのを使うなら乳液タイプを使ってくださいって書いておいてください。ただ、オイルが悪いわけじゃなくて、オイルならそれなりの値段がするものを。

─なんでそんなもの売るんですかね。

スー:必要な油分まで洗い流して肌が乾燥したら、そのあとクリームだなんだとつけるものが増えるじゃない、客単価が上がる。

─恐ろしいシステムですね、社会は……。

スー:それが資本主義の一面だよ。

Q.女性は40歳を過ぎて、いろいろな可能性が狭まったりしますか?
A.入れ物自体の機能は衰えていく。だけどたとえばサプリとかがめちゃくちゃ効いて楽しい

─最後の質問です。「女性は40歳を過ぎて、いろいろな可能性が狭まったりしますか?」。

スー:高い山を一気に登るとか、2徹3徹をするとかはできなくなりますね。体力面での低下は否めません。そういう意味での可能性は狭まります。あとは記憶力が怪しくなるとか。そういう入れ物自体の機能は衰えていきますよね。

─前半のインタビュー(「ジェーン・スーに聞いた、年齢と女性と社会をめぐるモヤモヤのあれこれ」)でもお話しいただきましたが、40歳をこえて改めて可能性が広がったことに関してはいかがですか?

スー:体力が落ちるのと背中合わせで、たとえばわたしはサプリがめちゃくちゃ効くようになりました。昔の話ですが、友達がフィッシュコラーゲンドリンクを飲んだら爪がどんどん伸びちゃって(笑)。アミノ酸は体の足りていないところにいくので、若いから肌じゃなくて爪にいっちゃったんでしょうね。1本500円のドリンク飲んで爪を伸ばしていることにゲラゲラ笑っていたんですけど、いまはそんなことにはならない。効きを実感できるのはすごく楽しい。

─(笑)。ありがとうございます。年齢を重ねていくときに、そういう新しいおもしろみみたいなところにどれだけ目を向けられるかなのかなと思ったりしました。さきほども話にあがりましたが、ナイーブになってものごとを見てしまうときりがない。

スー:そう、きりがないんです。『それでもいいのだ』のなかでバブル世代の方と話したときに、明日のほうが今日よりもいいと思える感覚が信じられないと書きましたけど、そういう心持ちでいられるほうが幸せは幸せじゃないですか。どういう人と一緒にいたいかといったら、やっぱりそういう人と一緒にいるほうが楽しいから、人が集まってくる。だからバブル世代の人の姿勢はやっぱり羨ましいなと思いますね。

─でも今日お話をうかがっていて、スーさんがバブルの先輩に感じたような感覚を、個人的にはスーさんから受け取りました。

スー:氷河期世代を乗りこえたストリート感覚かな。そればっかりでやってきていますけどね、本当に。

─ありがとうございました。

【前編】ジェーン・スーに聞いた、年齢と女性と社会をめぐるモヤモヤのあれこれ

PROFILE

ジェーン・スー
ジェーン・スー

コラムニスト、ラジオパーソナリティ。『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』(幻冬舎文庫)で第31回講談社エッセイ賞を受賞。近著『これでもいいのだ』(中央公論新社)、『揉まれて、ゆるんで、癒されて~今夜もカネで解決だ~』(朝日新聞出版)。TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」(月~金11時~)のメインパーソナリティを務める。

INFORMATION

書籍情報
書籍情報
『これでもいいのだ』

著者:ジェーン・スー
2020年1月8日(水)発売
価格:1,540円(税込)
発行:中央公論新社
これでもいいのだ|特設ページ|中央公論新社

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