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牧村朝子が語る。上から目線の「してあげる」にわたしたちは戦う

牧村朝子が語る。上から目線の「してあげる」にわたしたちは戦う

つくる力は奪えない。『パピチャ未来へのランウェイ』

2020年9〜12月 特集:自分らしく?
SPONSORED:『パピチャ 未来へのランウェイ』
インタビュー・テキスト:羽佐田瑶子 撮影:Tara Pixley 着物コーディネーター:Sato Kimono インタビュー・編集:野村由芽
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社会にとって「正常」とされる価値観と戦うには、人間相手に戦わないこと。

─ネジュマが「社会が思う女性の正装」を強要されることに苦しんだように、社会にとって「正常」とされる価値観と戦うには、どのような方法があると思われますか。

牧村:人間相手に戦わないことなのかな、と思います。意見があると、いつの間にか戦いの構図に巻き込まれていることがあるんです。でも、その構図を冷静に分析して、敵とされる人間を憎まないこと。その人を倒しても根本的なものは変わらないし、平和にもなりません。敵とされる人がどうしてこういう風に考えるようになったのか、聞くことを大切にしています。

─人を憎まず、その人にそう思わせた背景に立ち向かうこと。

牧村:はい。あとは、私は自分をこの世界の探求デバイスだと思って、概念から調べるようにしています。たとえば今回の映画だったら、なぜ女性はヒジャブが正装で、髪の毛を隠さなきゃいけないということにされたのか。なぜ脱出先はカナダやフランスなのか。疑問に思うことの概念や歴史から、手触りで知っていくことが大事だと思います。

でも、一つ例外なのは、死の危険がある場合はすぐに逃げること。対話なんて言っていられない状況もあります。

─ありがとうございました。戦うことは決して身体的な強さや暴力ではなく、歴史や概念にも目を向けて、丁寧に対話する方法もあるんだと思いました。

牧村:閉じ込められているところから追い出されることが繰り返されてきたけれど、そうじゃなくて自分で居場所を作っていけるかもしれないですよね。そのためにできることは、立場を降りた対話を個人と個人で重ねることだし、人を敵だと思わず背景や概念を知ろうとすること。もっと賢くなっていきたいと思っています。

PROFILE

牧村朝子
牧村朝子

タレント、文筆家。2010年、ミス日本ファイナリストを機に芸能界デビュー。2012年渡仏、フランスやアメリカでの取材を重ねる。2017年独立、現在は日本を拠点とし、執筆・メディア出演・講演を続けている。夢は「幸せそうな女の子カップルに"レズビアンって何?"って言われること」。出演『ハートネットTV』(NHK総合)ほか、著書『百合のリアル』(星海社新書/2017年、小学館より増補版刊行)『ゲイカップルに萌えたら迷惑ですか?』(イースト・プレス)ほか。ツイッター@makimuuuuuu(まきむぅ)

INFORMATION

作品情報
『パピチャ 未来へのランウェイ』

2020年10月30日(金)からBunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国で公開

脚本・監督:ムニア・メドゥール
出演:
リナ・クードリ
シリン・ブティラ
アミラ・イルダ・ドゥアウダ
ザーラ・ドゥモンディ
上映時間:109分
配給:クロックワークス

映画『パピチャ 未来へのランウェイ』公式サイト

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